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警報が鳴った瞬間に街は静寂に包まれる。
人の居ないゴーストタウン。
もしその時に、街以外の人間が訪れたら。それが、第一印象になってしまうだろう。
それほど迅速に街の人は避難などを済ます。
大人達は、以前受けた記憶に蝕まれて怯えた。
目に見えぬ脅威に怯える子供と関わりたくないものが近づいている事に怯えている。
街には、通りには、誰も出なくなる。
恐怖が過ぎてなくなるまで。
脅威が過ぎてなくなるまで。
息を潜めて、見つからないように、見つけないように、自宅に避難場所にこもるのだ。
何度有っても慣れる事は無いだろう。
それが、恐怖と共に、嫌悪と共に、人間の負の感情と共に刻まれているものならば。
終わりの合図が鳴るその時まで、それは続けられる。
鳴るまでは街に静寂に包まれたままだ。
例えどんな事があろうとも。
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神の居ないこの世界で−A5編− |
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