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我々は最強でなくてはならない。
それが、最低条件であり絶対条件なのだ。
崩れる時が有るなら、その可能性を摘み取らなくてはいけない。
もし、摘み取れない時がきたなら、それは聖ジョージ部隊がなくなる時だ。
それを十分に理解しているラインハルト。場所は世界政府の議会、味方は殆ど居ない。
「ラインハルト君。世界最強の部隊とは、本当に聖ジョージ部隊かね?」
「はい」
静かにそう言い放つラインハルト。
それを当然のように聴きうける議会のメンバー。
事実、実力に実績等を加味しても、これほどの部隊は存在しない。
伝説の傭兵部隊と恐れられたサイレンスよりも恐れられている現行部隊なのだから。
「では、平定者と比べてみてはどうかね?」
突然言われて、ラインハルトは不覚にも混乱した。
何故そんな事を言われるか解らないという感じである。
それをつけこむ様に議会のメンバー各自が思い思いに発言を始めた。
「平定者に襲撃されている施設の方向性を考える」
「襲撃に耐えられるはずの施設の全てが打ち破られている」
「どちらが強いかは誰にもいえない。実際に戦ってみなければ」
喚かれる意見を纏めるとそんな感じである。
それに対して、意味は無いではないかと呆れるラインハルト。
腐敗を一掃するには平定者の存在は問題ない。そういう認識だった。
「最強であると言う証明をすれば良いのですか?」
ラインハルトはくだらないと言う表情で言い放つ。
議会が一瞬だが、沈黙した。
「それとも、平定者とは争う理由があると? 単に、どちらが優れているか、それを知りたいだけでしたら、退出しますが」
「そういう訳ではない」
「では?」
「我々は不安なのだよ、もし平定者が我々に牙を向いたら、どうなるか解らないのでな」
無駄に長くする事が好きでしょうがない議会。
ラインハルトは話が長くなるのを覚悟した。面倒ごとが起こると。
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神の居ないこの世界で−A5編− |
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