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聖ジョージ部隊は連日機体を繰り出してなにやら作業をしている。
訓練と言うよりも、何かを掘り起こして埋めているといった作業をしていた。
ズバリ、埋めたりしているのは対ドール用の地雷であった。
主にその作業をしているのはβ小隊で、マッピングしながら丁寧に地面に埋めている。
地図にそのズレが無い様に慎重に慎重を重ねていた。
掘り起こす事になっても、苦労をしないようにという配慮もあった。
さて、この地雷の利点は、ある程度の重量以上で無いと反応しない事が挙げられる。
人には無害であると言う事である。ただし、車両やドール等に反応する。
ある種のフィルターとして、役に立ってくれるのだ。
『藤川隊長、こちら終りました』
「あぁ、わかった。地下に何か変な物があったか?」
『えっと、何かの施設ですかね? 変な空洞、やけに綺麗な……通路ですかね?』
「そのデータはしっかりと採っておいてくれ。後で報告する」
『了解』
地雷を埋めるのと平行して、地下に何か異物が無いか調べる事も行っている。
これは、藤川の指示でもあった。もし、元々地雷が埋めてあったとしたらと警戒した結果である。
それは杞憂だったのだが、物事には絶対は無い。
順調に作業をこなして行くβ小隊。うかつに車両なども行動できないような状態になっていく。
「こっちは全て完了だな」
『はい、トラブルなしです』
「異物はどうだ?」
『記録終えました。何だか、地下通路でもあるみたいですね』
「そんなものは無い筈なんだが……まぁ、良い。報告するときに隊長に聞けば良いだけのことだな」
藤川がそう言って、小隊全体に帰還を指示する。
その際、自分の埋めた地雷を踏んで怪我しないようにと、冗談なのか、真剣な注意か判らない指示を発していた。
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神の居ないこの世界で−A5編− |
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