神の居ないこの世界で−A5編−


→秋子と名雪、2人(の考える戦略)は似た者同士

     全ての機材と人員の到着、必要な物の運び込みが終わって少し日数を置いて、名雪は戦闘員全員を招集した。 「配置発表をする、その前に……」  名雪の涼やかな声色がなる。  α、β、γ、Ω全ての隊員が会議室に集まっていた。 「地図に新たな物を付け加えるね」  藤川からの報告の物を付け足した物である。  建物の敷地内の端から伸びる何か、地下通路のようなもの。  それが、ある所で崖部分と垂直になって水中まで落ちていた。  水中から先は点線になっていてどうなっているか判らない。 「さて、世界政府のお偉い様はこの事を隠しておきたかったみたいだね。  ここは昔、潜水艦の造船所だったみたい。よほど秘密裏に作りたいのか大変な物を作りたかったのか。  まぁ、何か問題の含んだ物を作ってて、ばれそうになったもしくは、終ったから慌ててこれを隠したみたい」  藤川が報告したものを指で撫でながら名雪は言う。  ゆっくりと指を離して、正面を向いた。 「さて、我々の任務はここの拠点を守ること。それをきっちり頭に入れておいて」  いつもの張り付いた笑みのまま、意味有り気に名雪は言う。  誰もが不思議そうな顔をした。 「別に、平定者を全滅させるわけでもないし、知らなかった通路がいくら破壊されようが知った事ではないよ。  この施設とGEナンバーが無事ならばそれで良いということ。私はそういった命令を受けた。  他に指示はないしね。こんなつまらない任務で命を落とすと言う事は絶対にしないように心がけてね」  一瞬、動揺からか雰囲気が乱れるがすぐに持ち直した。  名雪はそれを確認してから、正面、複雑に作り込まれた防壁の通路を指差しながら、口を開く。 「では、配置を発表します。β、γ小隊は連携して正面からの外敵に警戒。こちらが打って出る必要はないよ。  もし深入りする敵が居るなら、銃撃を主体にして引き込んで殲滅。引き込む前に地雷の餌食になると思うけど。  地雷を捜索しながら繰る敵が居る場合は任意に迎撃。ただし、被害0を目指すこと。いいね?」  書類をそれぞれの小隊長に渡して、名雪はそれを読むように指示する。  β小隊は今回の任務は全員動けるので総勢で藤川を含めて10人である。  対して、γ小隊は2人、小池とヒュントであった。 「つぎ、α小隊は地下から入り込んでくる者に対応してもらう為に本部で待機。  あ、本部って言うのはこの施設の事ね。理由を説明すると、水陸両用型を水際で叩き落して欲しいから」  香里に書類を手渡してから、最後に美樹たちを見る名雪。  とりあえずの配置は全て済んでいた。 「Ω小隊は、エリアK、アイビー付近に潜伏してもらいます。もしかすると出番が無いかも知れないけど……  まぁ、保険だと思ってもらえれば良いよ。もしそこら辺で武力行動が起こったら、それを根こそぎ削り尽して」  手渡した書類を美樹は読む。  呼ばれなかったことに関して、多少の苛立ちのようなものを感じていたがそれが無くなっていた。 「Ωだけが、ここの防衛じゃないけど、こっちの方が気が楽でしょ?」 「……そうですね」 「良かった」  美樹の同意に名雪は胸を撫で下ろす。  もしここに残って、敵を迎撃すると言われたらどうしようかと思っていた。  Ωははっきり言って防衛任務には向いていない。攻勢の姿勢が強すぎるのだ。 「質問が有ります」 「なに? 藤川君」 「この任務はいつまでですか?」 「世界政府のお偉い様は魑魅魍魎だからね……多分平定者が襲撃をするまでじゃないかな?」  まさか、世界政府の皆様は魑魅魍魎と言われているとは思わないだろう。  一瞬だが、藤川は呆ける。しかし、すぐに気を取り戻して続けた。 「では、隊長の見立てを聞きたいのですが……」 「うん、そうだね……正面に来る機数までは判らないけど、正面は囮もしくは陽動だと思ってる」 「囮ですか?」 「うん。だって平定者の目的は仲間の奪還だからね、本命はここからやってくる」 「本命とは?」 「うん、以前αが捕り逃した機体といつも平定者が活動している際に見える黒いのだね」  高橋が、一瞬だが捕り逃した機体という言葉に反応する。  藤川もその言葉で、高橋の方を向くが、高橋の表情を見てすぐに視線を戻した。  名雪は新たに付け加えた通路を指差して続ける。 「あの頃だったらこんな布陣は採用しないけど、今なら採用できる。  私は、貴方達の成長を知ってるからね。さて、他に質問ある? 無ければ全体の打ち合わせはおしまい。  詳しい任務の説明に関しては個別に私が指示するから。何もない? じゃあ解散」  質問が無いと判って、名雪はとりあえず解散を口にする。  それぞれの小隊が席を立って部屋を出て行く。  大まかな事しか伝えられないのは確かに不安だが、後で詳しい事を伝えるといわれているので、という感じだ。  香里はサンティアラと高橋に先に行くように指示して部屋に残った。 「ちょっと聞きたいんだけど、良いかしら?」  ブリーフィング(と言っても配置だけだが)が終ってから、香里は名雪に話しかけた。  疑問と言うよりも、純粋に不思議だと思うことがあるから。 「うん、良いよ」 「誰も不思議に思ってなかったみたいだけど、下のことに気が付かずに正面突破を図る可能性を無視してない?」 「それは無い、と思うね」 「どうして?」  名雪は話が長くなるから座ろうと言って、香里を手招きする。  香里はそれに従って名雪の隣に座った。 「以前、平定者と戦った時あったよね?」 「えぇ。オチビちゃん2人を確保した時のあれよね」 「うん。あの時に確信したんだけど、平定者にはお母さんもしくはそれに似たタイプの指揮者が居る」 「へぇ」 「撤退の時の追撃を避ける方法、タイミング、全てが似てるの」 「それとこれは関係ないでしょ?」 「あんまり関係ないけど、無いわけじゃないよ」  香里は真剣に名雪の話しを聞いている。  名雪は楽しそうな表情で、続きを口にした。 「お母さんクラスの指揮者だったら、正面突破は絶対に避けるよ」 「犠牲が大きいから?」 「それもあるけど、何より時間がかかる」 「あ……」  そういえば、と香里は大きく目を見開いた。  名雪はそうでしょ? と言う感じで香里に理解しているかと確認する。 「時間制限が無かったら他に手もあるけど、あったら私でもこの方法が最善だと思う。  ただ、最善というだけなんだけどね。お母さんだったら、犠牲を極端に嫌うから」  平定者の襲撃は夜中だ。しかも装甲の色は漆黒。  日中に行動しようと思ったら、装甲の色が仇となる。  加えて言うならば、増援を呼ばれた時点で平定者の作戦は失敗の可能性が高い。  正面突破を図り、傷ついた状態で、しかも弾薬等が少なくなってくる。  そんな状態でも暗闇の中であれば、どうにか逃げる事は出来るかもしれないが、日中では難しい。  下手をすると挟撃の危険があるなど。時間が長引けば長引くほど、平定者に対する利点が無くなっていく。  もっとも、敷き詰められた地雷のおかげで突破するのに時間がかかるようなっている。  名雪と言う存在を知れば知るほど、正面突破は現実的では無いと判るだろう。  聖・ジョージ部隊にしてみれば、増援など頼むつもりもないが。 「それに圧倒的な物量を投入されちゃったら、向こうは勝てないもんね」 「投入するつもりはないんでしょ?」 「あたりまえだよ。私達だけで十分だもの。わざわざ借りを作る必要ないから」  準備も、藤川君が頑張ってくれているから万端だしね。と名雪は微笑んだ。  香里は静かに考えながら、ならば、と考える。 「香里の考えている事を答えようか?」 「えぇ」 「正面に囮を置く、もしくは陽動を行って海側の崖をよじ登るなんてプランかな?」 「よく判ったわね」 「……香里、海側の固定砲台を忘れたの?」 「あ!」  言われて、ようやく気がついたとばかりに驚く香里。  名雪は楽しそうに微笑んだままである。 「そう、正面に囮か陽動を仕掛けるまでは良いんだよ」 「崖を上ろうと思ったら……蜂の巣ね」 「固定砲台はドールに比べて壊れにくいから壊すっていう選択肢は選び辛いし、何より海の上に足場がない」 「それに、それぞれの砲台には情報員を配置してあるから……破壊工作も出来ない?」 「そうだよ。だから、あの方法しか考えられないの。それに、仮面と剣だっけ? あれは水陸両用じゃない」 「そうね……」  香里は親指の爪を噛んで、思考する。  しかし、何も思い浮かばない。あのプランが一番まともに見えるからだ。 「水中に散布できる機雷も有るけど、仮面と剣の前ではザルと言っても良いしね。  もちろん散布するよ。船舶が近づいてもらったら困るもん。  お母さんなら、このプランが最善だと思うはずだよ。戦術面でのお母さんの事は私が一番よく知ってるしね。  水中から全勢力投入も考えられるけど、水から上がってきて怖いのは仮面と剣だけだし。  その際はβ小隊を呼び戻せば良いだけの話。それに両用型は水中からだと戦力は陸に上がったら中途半端になる。  お母さんも考え付くと思うけど、すぐに諦めるよ。だって、私達の事を調べれば無謀だって気がつくしね」  なんたって、私の基本戦術は全てお母さんに教えてもらった物だからと、胸を張る名雪。  そうね、としか頷けない香里。 「もともと、ここは正面突破しか出来ないようになってるしね。  もし、本当に正面だけに戦力を集めるなら、それを確認してからでも遅くないよ」  自信を持って名雪は言い切る。  香里もα小隊の機体それぞれのスペックを思い浮かべて納得していた。
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     船の中の暗闇に包まれている格納庫の中に1人。祐一がロンギヌスを見上げている。時間は深夜。  作戦を行うにはまだ日数が有るが、毎晩祐一がここに来るのは一種の作業になっていた。  誰も咎めはしない。祐一がそれを望むのなら、と止めるような事はしなかった。  それに、いつもの作戦前のいつもの風景なである。  だから、誰も話しかける事は無いはずだった。 「何をしているんですか?」  声をかけたのは麻耶である。  この時間にこの場所に居る事が珍しい人物であった。 「何もしていない……そう、なにもな」 「そうですね、まるでスイッチの入る前の機械みたい」  真っ直ぐに祐一を見詰めて話す、麻耶。  祐一は機体から目を離して麻耶に向かい合った。 「機械みたいだと?」 「えぇ、最近は本物の機械みたい。繕う事をやめたんですか?」  麻耶の言う事は麻耶の素直な感情。観察を続けていたのだ。  作戦が有ると言う事は麻耶も知っている。  子供達には何も言っていないが空気が変わったと、不安がっていることも事実だ。  麻耶は麻耶で必要な事をするべく、用意をしている。  だから、わざわざ格納庫に足を運んでいたのだ。必要な物を確保する為に。  話はそれたが、回りの人達が見慣れているから見逃しているのかもしれない。  ふとした瞬間に、祐一の表情が消える。  周りがそれに気がつかないのは、誰も居ない時誰にも見えていないときだからだろう。  気を抜いたふとした瞬間。誰も見ていないと判った瞬間。  麻耶は逃さずにそれを観察していた。 「どうして、とは聞きません。でも、気持ちが悪い」 「そうかもな……」 「貴方達の言う仲間だった者が、同じ境遇の人間がそんなに気になりますか?」 「あぁ。自分でも自分が抑えられなく位に……な」  自嘲を浮かべる祐一。麻耶は皮肉げな笑顔を浮かべた。互いに表情は何となくでしか判らない。  ただ、お互いに気配で何となくの表情がわかっている。 「貴方はもしかして、ここを弄られているんじゃないですか?」  こんこんと、頭を指して言う麻耶。  窓から差し込んだ月明かりが麻耶を照らす。 「あぁ、それは否定しない。頭は弄られているだろう……自分でもおかしいと思っているさ」 「だから、ですか。いつまでも縛られる? はっ! だから機械みたいなんですよ」  麻耶は信じられないと呟きたかった。信じたくないかもしれない。  もし、頭を弄られていたら、自分さえも見失う可能性があったのかと。  あの集団の中に埋没してしまう可能性があったのかと。  だから、怒気に任せて口を開く。そうでもしないとここから逃げたくなる。 「君が羨ましいよ。自分で決められる術を持っているんだから」 「頭に刷り込まれたものには逆らえないですか……ふん、気にいらない」 「自分が馬鹿な事をしているとは理解している。迷惑をかけているともな」 「えぇ。そうでしょうね。せめて、大切な居場所は壊さないで下さい」 「うん?」 「私も、ここは。居心地が良いですから」  麻耶はこのまま出て行く。どうやら今日は必要な物の回収を諦めたようだ。  祐一は何も言えずにロンギヌスを見上げるだけだった。
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     さて、例の場所に近い港。有夏の縄張りであった。  相沢海運所有の敷地内に止められたkanonの2つの船舶。  今回は総力戦覚悟である。その為にこの場所の守備は限りなく薄くなる。  当然の事ながら、佐祐理に舞も仕事をこなしながらこの場に来ていた。  もちろん、戦力を持ち込んでである。表向きとしては、相沢海運との交渉と言う事になっていた。 「あはは〜、皆さん久しぶりですね〜」 「……久しぶり」  舞と佐祐理が一緒になって祐一達の乗っている船に乗り込んできた。  今から対策会議を始めようという雰囲気だったので、佐祐理と舞は適当に席に付く。  揃っているメンバーは秋子、美汐、真琴、祐一。これで全員が揃ったと秋子は全員の顔を見渡した。 「では、皆がそろったので……概要を説明します」  秋子はそう言って、それぞれに書類を渡し始める。佐祐理のだけが薄いのに、佐祐理自身が気がついた。  恨めしそうな視線を秋子に送ってから佐祐理は書類を読み始める。概要は陽動を正面で起こし、膠着状態にする。  その際に、水中から地下造船場に本命が突入、目標を奪還をする。そんな計画だった。 「読みながら、聞いてください。多分相手は私達の計画が判っている筈です。ですが、これが最善です」  秋子のその言葉に誰も反応をしない。いや、反応できずにいる。  ただ、佐祐理だけが眉を八の字にして資料を読んでいた。薄いのが不満なのである。 「相手が知っていると判っていて、あえてこの方法をとるのですか?」 「はい、色々と考えてみたのですが……どれも無理が有ります。時間制限が無ければまた別なんですけどね」 「あの……なんで佐祐理はここに残るのですか?」 「佐祐理さんのあの機体は目立ちすぎますから」  佐祐理の使う片腕の砲台は他に例を見ないことのほうが多い。  AYAが活動していた頃よりもかなり時間を置いてるとはいえ、目だつ作戦には出るのは危険と秋子は判断していた。  例え、戦力が落ちたとしてもだ。 「……うむむむむ、納得できませんよ〜」 「佐祐理さん。もしもの時のために、ここを守ってくれないか?」 「ふぇ? 何でですか? 祐一さん」  祐一の要請にどうしてと言う表情を浮かべる佐祐理。  真っ直ぐに佐祐理の目を見詰める祐一。 「相手は聖ジョージ部隊だけじゃないと思ってる」 「そうなんですよねぇ……どうやら聖ジョージには余り動きがないのですけど、政府官僚の私兵の方々が騒がしくて……」 「…………わかりました」  捨てられた子犬という感じの雰囲気を纏いながら渋々残る事を決める佐祐理。  それを見て秋子と祐一は安堵の溜息を吐いた。 「では、詳しい説明をします。正面は私、真琴、美汐さんです」 「わかりました」 「わかったのよぅ」 「他に、マリオネットで美汐さんが4機、私が8機、率いて行きます」 「正面ではどんな事をするのですか?」 「化かし合いです」  真琴に美汐の表情が珍しい事に一緒になる。  化かし合いって何ぞやと。 「正面はあくまで陽動です。私が名雪なら、地雷でも埋めてると思いますし……  でも、攻めなくては海側から攻めるほうに戦力が行ってしまいます。  怪我をしないように攻めて、相手戦力をその場に縫い付けるんです。5分の力を9分位に見せるわけですね」  その説明に美汐は頷き、真琴は微妙そうな顔で頷いた。  真琴の微妙な表情に気がついた美汐は後で説明しますと言って真琴がようやく安心した。 「さて、正面を攻める際のいやらしい攻撃はまた後で説明します。  次は海側、潜水艦造船所から侵入して奪還する班に祐一さんと舞さん」  秋子は2人に視線を配る。祐一も舞も、それに頷いた。  佐祐理だけが、舞を恨めしそうに見ている。 「たぶん、α小隊、つまり、近接格闘戦に特化した部隊を配置してきます。  力押しというよりも実力勝負になると予想します。私が名雪でも同じ選択をすると思いますし」  そう言えば、という感じで真琴が首を捻った。  こうなった真琴は欲求に素直である。手を上げて発言を求めた。 「あぅ……名雪って誰?」 「あら?」 「あれ?」 「へ?」 「真琴……」 「……」  上から順に秋子、祐一、佐祐理、美汐、舞である。  秋子と祐一は言っていなかったか? という感じの表情。  美汐は目を瞑って目蓋の上から目を揉んでいる。頭が痛いと言う感じだろうか。  舞と佐祐理は呆れている感じだ。それらの態度、視線に真琴はうぅっ、と怯む。  代表して(ただ単に隣に居たというだけかもしれないが)美汐が真琴に声をかけた。 「真琴、水瀬名雪って聞いた事無いですか?」 「あぅ〜、知らないものは知らないわよぅ……」  ここまで有名な名前を知らないというのは珍しい。  真琴はよほど新聞やニュースを読まないみたいだ。  ちなみに、秋子と祐一はもちろん知っているのは当然のこと。  佐祐理、舞、美汐は秋子の苗字と名雪の容姿から、親類か何かと思っている。  世間の評価や名雪の立場から、今回の交渉は絶対に巧く行かないという事も。 「後で説明しますから、それで良いですか?」 「うん、秋子さん」  とりあえず、この話題は避けてという感じで次にと秋子。  祐一と舞へと改めて視線を配った。 「舞さんは、祐一さんのストッパーです。出来る限り2人で行動してください」 「判った」 「まかせて」  舞は祐一のストッパーといわれて一瞬だが、祐一は眉をしかめようとした。  だが、考えてみれば自分には止める役の人間が必要だと思い直す。  自分が抑え切れなくなる可能性もあると、判っているからだ。  秋子にしてみれば、これしか選択肢がないということも有るのだろう。  水陸両用型で聖・ジョージ部隊に対抗できる機体が無い。  いつもなら、秋子や美汐そして真琴が言葉で諌めて何とか祐一が暴走しないようにと計らってくれる。  しかし、今回はそう出来ないのだと、祐一は考えた。 「決行の日時はまだ決めてませんが、シミュレーターで何度か演習をします。  まだ、データを組んでないので出来次第皆さんにお知らせしますので」  秋子は侵入組みに向けて、そう言った。  そして、最後に佐祐理に向かって視線を配る。  佐祐理はなんとも微妙な表情でそれを受け止めた。 「佐祐理さんは姉さんとの商談という形でここに当分の間、居てもらいます」 「どういった内容ですか?」 「姉さんに新しい武器や機体を売りつけるという感じでしょうか?」 「あはは〜、余り楽しくなさそうですね」 「後は、ドール戦略の指南だと思ってください。後、姉さんに会ったら絶対に驚きます」  秋子はまだしっかりと会話していない佐祐理にそう忠告する。  自分の姉ひいては、祐一の親なのだから、真面目になって欲しいと思っている。  有夏自身は至って真面目のつもりなのだが、秋子から見るとかなり恥ずかしい。 「あはは〜、楽しみですね」 「今日は姉さんは仕事で居ませんけど……明日なら居ます」 「では、近いうちに挨拶とおしゃべりに行きますね」  これにてとりあえずの、会議は終了となった。  のんびりする事は、祐一の精神衛生上、良くないことだと秋子も理解している。  だから、決行までの時間は余り残されていなかった。 To the next stage

     あとがき  はい、戦闘準備完了です。どうもゆーろです。  地図や場所に関するデータをぼかすのはわざとです……ただ単に技量がないんですよね(苦笑  戦略の読み合いをして、食い違った方が面白いとは思うのですが……  巧く表現できないと思ってしまうんですよね。ともかく次は戦闘を書けるわけで。  単純に戦闘を考えて書くほうが気が楽だという、理由も有ります。  では、拍手コメントのお返しを。 >名雪はまさに狂愛ってかんじですね。そろそろ聖ジョージとも決着 >途中で送ってしまったorzまあ楽しみにしていますので頑張ってください  前回の名雪さんは書いてて楽しかったですね。  どうやら、私はそういった人種を書くことに楽しさを覚えて……どうにかしないとなぁ……(遠い目  対決は次回からになると思います。楽しんでもらえるように頑張りますね。 >有夏、晴子、由紀子。この三人結構好きです。出番増やしてください 9/11  この3人(主に由紀子と晴子)、喧嘩ばかりしているのですけど良いのでしょうか?  好きなのですか、ありがとうございます。うん、どうしよう……本編では有夏さんしかもう出ないって決まってますし。  SSSで彼女らの始まりを書いてみようかなと思ってみたり。そのうち書くと思います。多分…… >やっぱり茜は最高だー 9/11  SSSの感想ですね。ありがとうございます。  本編だと、ちょい役に甘んじる彼女。戦闘技能がないので仕方が無いのですが。  とにかく、楽しんでもらえて幸いです。 >名雪さん怖いですね(・∀・; 9/11  最高の褒め言葉ありがとうございます(笑  怖いといわれて、白い目で見られている可能性もあるんですけどね。  名雪さんファンの方、いらっしゃったらごめんなさい、悪気はないんです。 >日常編おもしろいです。 9/12  SSSですね。日常編といわれると結構複雑なのですけどね。  勢いだけで書けるのは確かに楽で良いですね。ただ、思いつくまでが大変ですが。  では、また楽しんでもらえるように頑張りますね。 >特色としてはONEとAirの期待の中間と言った感じ。 の期待は機体では?w 9/12  誤字脱字の指摘ありがとうございます。修正しておきました。  こういう事はよくあるので、これからもよろしくお願いしますね。 >これからも、執筆がんばってください 9/12  はい、頑張ります。楽しんでもらえるように頑張りますね。  このペースが保てると良いのですけど…… >がんばってください!! >祐一の活躍に期待してます >名雪の壊れっぷりにも期待してますw 9/13  多分、同じ人だとおもいます。違っていたらごめんなさい。  同じ時間帯だったので、違う可能性もあるんですけどね。  ともかく、楽しんでもらえるように頑張ります。 >祐一VS名雪の一戦目、気になります。GE-09の様子からして、祐一側が勝利するのは難しそうなので。 9/13  最初で最後の一戦になると思います。  その勝利の定義付けが難しいんですよね。  どうなるかは、次回以降のお楽しみということで、よろしくお願いします。 >(SSSのリクエスト)祐一が天照と月読の前で、どちらの機体が良いか言わさせられる話を希望します。 9/13  はい、リクエスト承りました。次回のSSSにて実現したいかと思います。  う〜ん、こうなると、素戔嗚もしゃしゃり出てくる可能性も……  こういったリクエストなら書きやすいですね。ありがとうございます。  では、続きを頑張りますね、ゆーろでした。  


    管理人の感想


     ゆーろさんからのSSです。
     戦の前段階ですね。  秋子さんも名雪嬢もお互い相手の手は読めているようで。  まぁどの程度細かいところまで読めているかは分かりませんけど。  名雪嬢はちょっと秋子さんの事を侮っているのかな?  それなりに時間経過してるし、彼女も成長しているとは思っていないのでしょうかね。  案外そこらへんの過ごしてきた年月が勝負の決め手になったりして。

     しかし麻耶嬢はきついなぁ。  あのタイプは話に刺激を与えてくれますが、実際にいたら絶対嫌われますよね。(苦笑  刺々しい態度が、どうも私には子供に見えてたりするんですが。(爆


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