戦っている時のあの機体を綺麗だと思ってしまった。
不覚にも、そして、迂闊にも。
彼の破壊しようとする動きが美しいと思ってしまった。
何故、どうして、真剣勝負をしているのに。
彼の動いている肉体を見たいと思ってしまった。
不覚にも、そして、迂闊にも。
彼が繰り出すしなやかな動きを華麗だと思ってしまった。
何故、どうして、気持ちに揺らぎなんて何も無いのに。
戦っている動きが見事だと思ってしまった。
不覚にも、そして、迂闊にも。
戦っている彼に心惹かれる自分が居る事に気がついてしまった。
何故、どうして、あんなにも、見捨てられたのに。
彼が敵で自分と対峙する存在だと知ってしまって悲しいと思ってしまった。
不覚にも、そして、迂闊にも。
一撃一撃が、彼に認められているようで嬉しいと思ってしまった。
純粋に彼に近づけている、自分が誇らしいから。
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神の居ないこの世界で−A5編− |
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