今まで子供だと思っていた名雪は既に私の遥か先を歩いています。
元々、才能も有ったのでしょう。
既に私よりも巧い戦闘の展開の仕方すらあります。
その才能が嬉しくも有り、恐ろしくも有ります。
そして、私が名雪にできる事はもう何も無いでしょう。
それが嬉しくあり、寂しくもあります。
私に出来る事は殆どが名雪も出来る事でしょう。
エリアにおいて、軍において、私は用無しになるのは時間の問題です。
私はどうすれば良いのでしょうか。
いつからか開いてしまった胸の大きな穴。
気が付かない振りをして歩き続けてきました。
でも、気が付かされてしまいまいました。娘の名雪の手によって。
この胸に空いた大きな穴を埋めるにはどうすれば良いのでしょうか。
教えてください、訓えてください。
何故この大きな穴があいてしまったのか。
不安なのです、怖いんです。
自分がバラバラになるのが、失われてしまうのが。
私は、こんなにも失う事に怖がる人間では無かったと思いたいのです。
祐一さんに出会えればこの胸にあいた大きな穴は埋まるでしょうか?
バラバラになりそうな私を繋ぎとめてくれるでしょうか?
私はそれを知りたいのです。
だから、私は家族も地位も名声も、全てを棄てて祐一さん、貴方に会いに行きます。
私が私であるために。
もし祐一さんに出会ったとき貴方はどんな顔をするでしょうか?
そのときにはこの胸の穴は小さくなってくれるでしょうか?
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神の居ないこの世界で |
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