もう俺は頑張った、だからここまでで良いだろ?
このまま、もう休んで帰ってもいいじゃないか。
待て、俺は託されたものを果していない。
それに、まだ手はある。
待て、その先を考えるな、帰れなくなる。
何故そこまで考えないといけない。
兄さんや姉さんはなにを願い、俺に殺されたかを思い出せ。
俺はそれを踏みにじって生きていけるほど強くない。
死んだ人間の願いに縛られて、俺は一体なにになるつもりだ。
それに、今このまま死んだ振りをすれば、あいつは見逃してくれる。
そんな甘い幻想、抱いて生きていけない。
遠いあの日に託された思いは果さないといけない。
それが俺の……
自分の命以上のことが大切なんて事は認めたくない!
何故そんな考えになる!
そもそも、何故俺の手はこれほど血にまみれている!
何故、こうも苦しい!
何故だ!
それでも俺は、このまま生きていけるほど強くない。
だから俺は……
もっと以前は明るかった!
世界が、生活が、景色が、見えるもの全てが!
何故こんなにも暗く、沈んで見えるのは何故だ!
俺はロンギヌスに乗って、誓いを果たさないといけない。
何故なら、生きたまま、死人にならないように。
それが俺に出来るせめてもの償いだから。
俺を生かしてくれた、あの人たちに出来る最後の償いだから!
戦え、あの人たちの為に。
戦え、あの人たちが安心して眠れるために。
涙を見せるな。まだ、終わってはいない!
例え、俺という存在がなくなろうとも!
恐怖するな!
戦うんだ! あの人たちの為に!
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神の居ないこの世界で |
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