ミラージュ A’
カミューの書く詞は切ない
使われている言葉や内容はむしろ毅然とした物の方が多い
それなのに、どこか寂しくて満たされていないような印象を受けるのだ
シュウの曲がメロディアスだから錯覚するのかとも思った
でもカミューから新しい詞を見せてもらうたびに胸に棘が突き刺さるような気がするのだ
華やかな笑顔を見せるカミュー
力強く自信に満ちた目をしているカミュー
悪ぶってみせるカミュー
そのどの表情からも思いつかないような必死の思いがその詞から伝わってくる
誰か見つけて。私を見て。私に微笑んで。お願い、私を捨てないで。
こんな事を人に言ったら、まさかと笑い飛ばされるだろう。
けれど、マイクロトフにはそういう風にしか聞こえない
そしてそれは間違っていないという確信さえある
そうでなければ感受性の豊かな若者達にこんなに支持されるはずがない
だから不安になる
もしかしたら俺ではカミューを幸せに出来ないのだろうか
もしかしたらカミューは俺ではない別の誰かを見ているのではないだろうか
カミューの本当の幸せを願うのだったら、その誰かを連れてきてやるべきではないのか?
けれどマイクロトフはその考えをねじ伏せて沈黙を決め込む
俺はカミューの側にいたい
他の誰かにこの場所を譲る気には到底なれない
それがカミューを不幸せにしているのだとしてもカミューが嫌だと言わない限り、ずっと隣にいたいのだ
これは俺の我が儘だ
そう分かっていても…
だから、せめて笑っていてほしい
カミューが微笑んでくれさえしたら、俺はこの罪悪感から逃れることができるのだ
そうしてずっとカミューの側にいられるのだから
ワハハハハハ、恥の上塗り
顔洗って出直してきます(死)


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