「自分で会社つくった方が時間の自由が利くはずだと思って。
で、ほとんど一日中ワヤンのことを考えています。」


―加清さんのご職業はグラフィックデザイナーですよね。

はい。

―それは学校でグラフィックの勉強をなさっていた?

いえ、あの、グラフィックの勉強は実地です。

―えっ?! 音楽の方がもともと、専門なんですね?

そうですね。

―不思議なかんじですね。もともとは音楽を専攻されていて…

はい、学校の先生になろうと思って。

―でも会社につとめてグラフィックの勉強をして、独立して、会社をもった。

はい。

―それは「クルタクルティ」をつくるのと、何か関係はありますか。

まったく、関係ないです。ぜんぜん違うところで。
でも、ま、自分で会社つくった方が時間の自由が利くと思ったんです。でも実際はそんなにうまくはいかないもんですね。

―会社をつくられたのは、いつごろのことなんですか。

99年です。

―仕事は忙しいですか。

忙しいときもあれば、暇してるときもあります。

―ワヤンに関わっているときと、仕事しているときと、ウエイトとして、どちらが大きいのですか。

仕事してても、家事してても音楽きいてても、なんでも、なにかあると、これ使えるな、ワヤンにいけるな、そういうふうに考えちゃうんです、結局。なので、ほとんど一日中ワヤンのことを考えつつ、考えちゃいいけないときは、いっしょうけんめい仕事してます。

―仕事中のBGMは?

イメージトレーニングを兼ねてガムラン。練習中のガムランの曲をかけながら…でもそれって仕事に集中できませんよね。だから、締め切り前とかは、切り離して、いっしょうけんめいやってますよ、仕事も。

―今回(練習を)見させてもらって、プロフェッショナルに見えるのですけど、これだけでやっていこうとは思わないのですか。

日本では現実的にとても無理だと思うんです。ジャワの生活にはワヤンはなくてはならないものですけれど。日本ではワヤンを知らない人の方が多い。で、いま自分たちは、とにかくひとりでも多くの人に知ってもらいたいなと思って、続けているところです。まだまだ勉強しなければならないこともたくさんあって。いま自分たちがやっていることは、いまはこれと思っているけれど、また(インドネシアへ)行ったり来たりしながら勉強を続けていけば、こうしよう、ああしようってなっていくから。その段階だと思っています。できればもちろん、スーパーダランになる。

―“スーパーダラン”! “スーパーダラン”っていうんだ!

向こうでは、“ダランセタン”といって。セタンって、サタンのこと。“神がかり的なダラン、神業的なダラン”みたいに言われているダランもいます。

−加清さんがスーパーダランになる日が楽しみです。




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つねに前向きな姿勢が、まぶしいです。次は、ワヤンというスローな世界にひたることで変わってきた加清さんの想いについて伺います。