●講師 町田 忍さん
少年時代より,グリコのおまけやパッケージ,空き缶類
など,興味を持った物はとことん収集するだけに留まらず,見
落とされがちな庶民文化をあらゆる角度から徹底的に探求し,
新聞,雑誌,テレビ,ラジオで発表してきた。特に,銭湯の研
究においては第一人者で,15年以上かけて全国を尋ね歩い
た銭湯は1,600件を越える。
日本ペンクラブ,日本旅行作家協会会員、ホリプロ文化部所属
[主な著書]
「銭湯へ行こう」、「銭湯へ行こう,旅情編」、「銭湯MAP東京」(TOTO出版)
「マッカーサーと征露丸」(芸文社)、「Z級食べ物ラベル図鑑」(洋泉社)
「納豆大全」(小学館)、 他
共著 ;「町並み細見,西日本」、「The霊柩車」、「東京の温泉,銭湯」
●テーマ 昔ながらのお風呂やさん
破風建築をみながら
参加者42+1名
●受講メモから;
・江戸時代から庶民の社交の場として親しまれてきた銭湯の話。
・全国の銭湯約1600箇所を訪ねた町田さんが、スライドを用いて、土地による違いを紹介。
・東京型銭湯は唐破風屋根を特徴とする。ルーツは、中国ではなく日本のオリジナル。銭湯に採用したのは、震災(大正12年)後に墨田区向島の「カブキ湯」が始まり。
・この唐風は、関東の特徴で全国に分布するものではない。
・京都型には、唐破風の入り口は無く、2階に居室がある。東京型は吹き抜け。
・東京型には、立派な庭を持つものが多いが、関西や地方には無い。
東京型銭湯 京都型銭湯・東京にはペンキ絵とタイル絵が多い(東京の1200軒のうち300軒にペンキ絵)
・ペンキ絵も東京が発祥で、大正元年神田猿楽町の「キカイ湯」に描かれたの評判になり、東京中に広がった。
・題材は「富士山」が多く、絵の中や下段に企業や商店の宣伝を入れていた(PR媒体)。
・現在、東京には4人の専門絵師が居る。
・母親が子に絵を見せながら入れるようにと、女湯には乗り物やおとぎ話を題材にしたものも多い。
・最近は、番台がカウンター形式、露天風呂など近代的な銭湯が増えている。
・一方で、古い形式をモダンに取り入れる銭湯も登場(用賀など)・紹介された銭湯の数々
あけぼの湯(浅草)
大黒湯(北千住、昭和4年に建てられた東京型の代表例、豪華で有名)
(天井に100枚以上の絵、九谷焼のタイル絵)大黒湯
桜湯(荒川、タイル絵)
二十世紀浴場(三ノ輪、帝国ホテル建造に使ったスクラッチタイルの余りを使用)
桜湯(北海道、北海道には洋風スタイルが多い)
稲穂湯(小樽)
日の出湯(川口)
飛騨神岡の鉱山に建てられた銭湯(2階がビリヤード場)
大和湯(多治見)
日の出湯(関市、明治43年築の漆喰づくり)
衛生浴場(須崎)
源ヶ橋浴場(大阪、昭和12年、ニューヨーク(入浴)の自由の女神や金の鯱を屋根に、パチンコやラブホテルの先駆けか)
ふなおか温泉(ケヤキ板一枚の透かし欄間が見事)
ふじのもり湯(マジョリカタイルが見事)
海水湯(品川、幾つかのタイプの浴槽を備えた新しいタイプの銭湯)
・番外編(霊柩車の話)
唐破風様式を使うのが霊柩車。極楽浄土への入り口。銭湯も風呂につかって極楽気分。
東京タイプは金箔をあしらった例の霊柩車
名古屋は、さらに豪華で裾廻りにも飾り
大阪・京都は、白木づくり
富山には、赤い霊柩車。