アルフレッド・セイヤー・マハン
アルフレッド・セイヤー・マハン Alfred Thayer Mahan
1840年9月27日-1914年12月1日
アメリカ海軍の軍人・歴史家。最終階級は少将。
マハンは海洋戦略の古典的理論家であり、その著書は世界各国語で翻訳されている。
彼の著作はヴィルヘルム2世や秋山真之も愛読した。
大艦巨砲主義を助長したとして批判の矢面に立たされる事もある。
彼に因んでいくつかの艦船がマハン(ex:USS Mahan)と命名された。
19世紀フランスの兵学者ジョミニの影響を強く受けている。
彼の戦略は、根拠地と交通線を重視していた。
彼の戦略を忠実に継承しているのは、ソ連海軍だといわれる。
彼の論理は、類似点とともに、相違点をも分析することに重きが置かれている。
経歴
1840年9月27日: ニューヨーク州ウェストポイントで、陸軍士官学校の教授であったデニス・ハート・マハンとメアリー・ヘレナ・マハン夫妻の間に生まれる。
12歳でメリーランド州、セント・ジェームズ神学校送られる。
親の希望に反してコロンビア大学で2年間学んだ。
1859年: 海軍兵学校卒業。
1861年: 少尉に任官。南北戦争ではフリゲートのコングレス、外輪船のポカホンタス、ジェームズ・アジャーに乗艦した。
1865年: 少佐。
1872年: 中佐。イロコイ号の副長として幕末・明治維新の日本を実見した。
1885年: 論文「メキシコ湾と内海」が評価されたことから大佐に昇進して海軍大学校の初代教官を務め、海戦術の教育を担当した。
1886年: 海軍大学校、校長兼海軍史、海軍戦略教授。
1886年-1889年: 海軍大学校長。
1890年: 「海上権力史論」発表。
1892年-1893年: 海軍大学校長。
1893年: シカゴの艦長としてイギリスを訪問する。
1894年: オックスフォードとケンブリッジから名誉博士号を受け、ヴィクトリア女王、皇太子、首相、海軍協会などから招待を受ける。
1896年: 退役してからは、アメリカ歴史学会会長及びハーグ平和会議のアメリカ代表団顧問を務めた他は研究に専念しており、「ネルソン伝」、「米西戦争の教訓」、「フランス革命とナポレオン帝国におけるシーパワーの影響」、「海軍戦略」を発表した。
1899年: 第一回ハーグ平和会議アメリカ代表団顧問。
1902年: アメリカ歴史学会、会長。
1914年12月1日: ワシントンD.C.で心臓疾患で死去。
著書
The Gulf and Inland Waters (1883)
The Influence of Sea Power Upon History, 1660-1783 (1890)
The Influence of Sea Power upon the French Revolution and Empire, 1793-1812 (1892)
Admiral Farragut (1892)
The Interest of America in Sea Power, Present and Future (1897)
The Life of Nelson: The Embodiment of the Sea Power of Great Britain (1899)
Lessons of the War with Spain, and Other Articles (1899)
The Problem of Asia and Its Effect Upon International Policies (1900)
Types of Naval Officers Drawn from the History of the British Navy, with Some Account of the Conditions of Naval Warfare at the Beginning of the Eighteenth Century, and of Its Subsequent Development During the Sail Period (1901)
Sea Power in Its Relations to the War of 1812 (1905)
Naval Administration and Warfare: Some General Principles, with Other Essays (1908)
Naval Strategy Compared and Contrasted with the Principles and Practice of Military Operations on Land (1911)
Armaments and Arbitration; or, The Place of Force in the International Relations of States (1912)
The Influence of Sea Power Upon History, 1660-1805 (abridged ed, 1980)
邦訳の著作
・The Influence of Sea Power Upon History, 1660-1783 (1890)
「海上権力史論(上・下)」(水交社訳, 東邦協会, 1896年)- 近代デジタルライブラリーにて閲覧可能(全国書誌番号40015155)
「海上権力史論」(北村謙一訳, 原書房, 1982年12月, 2008年6月)ISBN 978-4562013265 ISBN 978-4562041640 - 原著の5・6・9・11・12・13章を割愛の他、各所を抄訳したもの
・The Influence of Sea Power upon the French Revolution and Empire, 1793-1812 (1892)
「仏国革命時代海上権力史論(上・下)」(水交社訳, 東邦協会, 1900年)- 近代デジタルライブラリーにて閲覧可能(全国書誌番号40015156)
・The Interest of America in Sea Power, Present and Future (1897)
「太平洋海権論」(水上梅彦訳, 小林又七, 1899年)- 近代デジタルライブラリーにて閲覧可能(全国書誌番号41019230)
・Naval Strategy Compared and Contrasted with the Principles and Practice of Military Operations on Land (1911)
「海軍戦略」(尾崎主税訳, 千倉書房, 1932年)
「海軍戦略――陸軍作戦原則との比較対照」(尾崎主税訳, 原書房, 1978年)
「マハン海軍戦略」(井伊順彦訳, 中央公論新社, 2005年2月)ISBN 978-4120036118
・The Life of Nelson: The Embodiment of the Sea Power of Great Britain (1899)
「ネルソン伝―英国水師提督」(海軍教育本部編, 大島貞益訳, 博文館, 1906年)
「ホレーシオ・ネルソン」(平沼淑郎訳, 実業之日本社, 1922年)
日本で編まれたアンソロジー
「アメリカ古典文庫(8)アルフレッド・T・マハン」(麻田貞雄編, 研究社, 1977年)ISBN 978-4327365080
「戦略論大系(5) マハン」(山内敏秀編, 芙蓉書房, 2002年)ISBN 978-4829503065 - Naval StrategyおよびThe Influence of Sea Power Upon History, 1660-1783の抄訳抜粋
参考
⇒ アルフレッド・セイヤー・マハン
⇒ 海上権力史論
新規作成日:2009年12月30日/最終更新日:2009年12月30日