船団護衛

船団護衛とは、元来は海上輸送路確保のための対策の一つである。
島国であるイギリスや日本、更には大洋を輸送経路とする経済体制を持つ社会にとって、その輸送路を絶たれることは死活問題であり、それを守り抜くことは、必須の要件である。

武装を持たない、或いは貧弱な武装しか持たない商船は、艦艇航空機の格好のターゲットであり、一方的な攻撃を受けるに等しい。
これを守るための手段として、艦艇を護衛につける方策が採られる。
ただ、艦艇の数は、商船に比べて極めて少なく、商船一隻ごとに護衛をつけることは不可能である。
ここで、船団護衛方式が生まれる。
何隻かの商船をグループとし、これに護衛をつけるのである。
そして、その規模が大きくなるほど、割り当てられる護衛艦の数が比例的に増加可能であることはいうまでもない。
ただ、船団を組む場合、その航行速度は、性能の平均ではなく、最も遅い船に合わせることとなり、性能の異なる船を組み合わせることは効率的でない。
また、あまりにも規模が大きくなりすぎると、どこからでも攻撃される、すなわち、攻撃正面が拡大してしまうという問題を抱える。

また、護衛の艦艇の数以上の船団数は組めなくなるから、自ずと制限が生じる。
現在のわが国の場合、例えば浦賀水道を航行する船舶を見れば、大型タンカーやLNG船は、毎日5隻前後は通過している。
航行日数を勘案すれば、一往復で洋上にある船は、ざっと50-100隻となる。
そして日本全体を考えれば、この数倍が必要であり、1船団50隻程度の商船に護衛をつけることになる。
この商船は、大型タンカーやLNG船というエネルギーに限った数字であるから、消費物資等の輸送に当たる貨物船は、このほかに手当てが必要となるから、かなり厳しいといわざるを得ない。


船団護衛
中央に輸送船団。外周に護衛艦艇を配置。
Pict_0821.

Pict_1152.
単位(ヤード)


護衛艦二隻を船団の前後におき、哨戒ヘリを上空に配置。
Pict_1374.

ここで考えられるのが、航路帯護衛である。
船舶の航行する航路帯周辺を、艦艇が警戒し、クリアーな状態を保ち、商船はその安全圏内を、可能な速度で速やかに航行する。
この場合は、船団や商船の数には無関係で、航路帯の範囲によって、護衛の艦艇の必要量が決まる。
当然ながら、航空基地のレンジ内は、艦艇ではなく、航空機が哨戒に当たれば、艦艇が守るべき航路帯は、更に限定されてくる。

更には、相手の動静がつかめているなら、航路周辺を離れて、出撃してくる敵を潰せばすむということになる。

海峡封鎖などは、この一環である。
護衛から掃討というのも、作戦の一つである。


航路帯護衛
Pict_0820.

防空要領
Pict_0819.
HVUは空母、船団など。


空母を含む防空域
Pict_0822.

参考
ソマリア沖海賊対策/護衛艦派遣
海上封鎖
通商破壊
船団護衛




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新規作成日:2007年1月17日/最終更新日:2008年5月9日