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絵のない絵本式乗馬教室 ( 第23鞍 )

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「来年度の予算案では82兆6524億円だそうですが?」

腸内細菌は100種類で、100兆個、重量にして1.5kgとも言われています。こっちの方が多いです。人間は70兆個の細胞でできているので、自分の細胞より腸内細菌の方が多いのです。」

「細菌って、1時間に1回くらい分裂するんでしょう。もしそうなら、1.5kgあって、1時間たつと3kg、2時間後に6kg、3時間で12kg、4時間で24kg、5時間で48kg、6時間で96kgということになりませんか?寝ているうちに、おなかが破裂しませんか?」

「いえ、大丈夫です。便として排泄されます。便の3分の1は腸内細菌で、約100兆個の細菌が含まれているそうです。つまり、大部分が便とともに出て、残っているものが繁殖して、1日たつと戻るわけです。」

「先生、腸内細菌って、どんなものがあるんですか?」

「まず、善玉菌と悪玉菌に分けて説明するとわかりやすいと思います。」

「悪玉菌の代表的なものとして、大腸菌、エンテロトキシンという毒素を出して食中毒の原因となるウェルシュ菌ブドウ球菌などがあります。タンパク質が消化されるとアミノ酸になります。悪玉菌はアミノ酸を食べます。悪玉菌がアミノ酸を食べると、アミンスカトールインドールといった化合物ができます。これらは便やおならの臭いを悪化させるfだけでなく、有害です。インドールやアミンは、細胞のがん化を促すことが知られています。だから、日本人の食生活が肉を多食するようになって、大腸ガンが猛烈な勢いで増えたのです。特に、ダイエットをすると便の量が減るので、便が長時間大腸にとどまり、これらの悪玉菌がふえます。そうするとこういった有害物質も増加して、腸から吸収され、肌荒れが起こるだけでなく、大腸ガン、乳ガンが増加します。」

「なお、スカトールやインドールは極微量化粧品に添加することもあります。」

「エエー」

「人間って、一日にどのくらいおならをするんですか?」

「一日に1から1.5リットルと言われていますが、食べ物によっても違います。一般に、タンパク質より、デンプンの方が多いといわれています。デンプンを腸内細菌が分解すると、炭酸ガスが発生します。それから、ゴボウやサツマイモには、食物繊維が多いので、消化されないこれらの繊維が腸内で発酵すると、大量のガスを出します。従って、肉を多食した後では臭いのが少量、サツマイモなどを多食するとあまり臭くないのが多量に出ます。」

「そういえば、サツマイモと言えば、青木昆陽ですよね。」

「そうです。青木昆陽と言えば、目黒不動です。」

「え、どうしてですか?」

「昆陽のお墓が目黒不動にある関係で、昆陽の命日が12月28日なので、それにちなんで8のつく日が縁日になっています。」

「目黒不動はどうやって行けばいいんですか?」

渋谷駅東口から五反田行きの東急バスで目黒不動尊で降りればいいです。ここでは、道が狭いので何とバスを誘導する人が常駐しています。また、縁日には路線が変更になります。なお、少し手前の大鳥神社前か元競馬場で降りて、目黒寄生虫館を見てから徒歩で行くことを勧めます。もし、おなかがすいていたら元競馬場のバス停の近くの五十番という店の巨大な肉まんを買うことを勧めます。とてもおいしいです。」

「肉まんは肉とデンプンでできているので、バランスの良い臭いのおならが出るんですか?」

「さあ、ねえ。」

「ところで馬は草食なので、馬のおならはあまり臭くないんですか?」

「そのとおり。一列になって乗馬する時など、よく前の馬がおならをして、臭いをかがされますが、それ程臭くありません。」

「おならにはどんな成分が含まれているんですか?」

「主成分は窒素です。知らないうちに飲み込んだ空気に由来します。馬は胃の入り口に弁のようなものが付いているので、飲み込んだ空気をげっぷとして出すことができません。そのためよけいたくさんおならが出るのです。この窒素が、60から70%含まれると言われています。それから水素と炭酸ガスがそれぞれ10%くらいでしょうか。後は、酸素とかメタン、さっき出てきたスカトールなどの微量成分です。」

「水素を燃料に使えませんか?」

「使えます。といっても、おならではなく、鹿島が開発中ですが、家畜の糞や生ゴミなどを高温メタン発酵させて出てきたバイオガスに含まれるメタンから水素をとりだし、燃料電池として利用するのです。」

「燃料電池ってなんですか?」

「水素と酸素を化合させて出てくるエネルギーを取り出します。反応の結果できるのは水なので、非常にクリーンなエネルギーです。これで走る車も開発されています。この車はおならとして排気ガスではなくて水蒸気を出すわけです。」

「へーエ、そうなんだ。」

「善玉菌って何ですか?」

「そうそう、善玉菌の説明がまだでした。」

「代表的なものに、ビフィズス菌腸球菌、ユウバクテリウムなどがあります。善玉菌は糖質を栄養として使います。糖は水素と炭素と酸素でできているので、糖質が分解されると水や炭酸ガスだけでなく、酢酸や乳酸ができます。これが腸内を酸性にします。このため、悪玉菌の増殖を押さえます。そうすると、便通が良くなります。従って、腸内がきれいになります。悪玉菌の優勢な腸内はアルカリ性で、この状態が長時間続くと腸の老化を促進するとされています。また、成人ではビフィズス菌が優性ですが、老化が進むとともに減少し、人によってはなくなってしまうこともあります。」

「善玉菌を増やすにはどうしたらいいんですか?」

オリゴ糖を摂ることです。腸に達したオリゴ糖は善玉菌の栄養として利用され、善玉菌が増加します。」

「ああ、そうそう、腸球菌の中で、エンテロコッカス・フェリカスという菌は特に免疫力を高める力が強いということも最近わかってきました。」

「そういえば、最近、バンコマイシン耐性腸球菌・VREって騒がれているけれど、VREってなんですか?」

その前に日和見感染の説明をして置いた方がいいでしょう。日和見感染とは、病原性も低く、繁殖力もそれ程強くないので、普段はおとなしくしていて問題にならない常在菌が、老化や手術などで免疫力が衰えると、繁殖を始め感染症の原因になることです。」

バンコマイシンは抗生物質です。数年前まで、これによく似たアボパルシンという抗生物質が日本、北米、ヨーロッパなど、特にフランスでニワトリの成長を促進する目的で、家畜の飼料に添加されていました。一般に、使用期間が長いほど、使用量が多いほど、その抗生物質に対する耐性菌が多くなります。家畜に使う抗生物質は人間に使うより大量です。その結果バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)ができてしまいました。そして、鶏肉などを介して、人間にも感染しました。この抗生物質は現在では使用禁止になっていますが、もう、手遅れです。」

「この菌で問題になるのが、日和見感染です。VREはその他の抗生物質にも耐性なので、有効な抗生物質がありません。」

「非常に、悲観的で怖い話があります。」

「何でしょう?」

「耐性菌という奴は耐性遺伝子を持っているから耐性なのです。ところで、プラスミドってなんだかわかりますか?」

「わかりません。」

「細菌の遺伝子は染色体とプラスミドのどちらかにあります。プラスミドはリング状をした小さなDNAです。遺伝子によって染色体上にあったり、プラスミドの上にあったりします。VREのバンコマイシン耐性遺伝子はプラスミドにあります。このことを良く覚えておいて下さい。」

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は知ってますよね?」

「はい。ブドウ球菌は鼻の奥の粘膜などに住んでいる菌で、長年ペニシリンが使われて来たのでいつの間にか耐性になり、ペニシリン耐性菌にも有効なメチシリンにも耐性を獲得し、しかもその他の抗生物質にも耐性で、日和見感染症の原因菌の一つとなっていて、現在有効な抗生物質はバンコマイシンしかないんでしょ?ところで、ペニシリンはどうやって細菌を殺すのですか?」

「高等動物と細菌の細胞は大きさが違うだけでなく、色々違いがあります。細菌にあって高等動物の細胞にないものあるいは機能を叩けば、細菌だけが死にます。その一つとして、細菌には細胞壁があります。細胞壁は巨大な分子構造をしているので、全てを細胞の中で合成することはできません。そこで部品の形で合成して、細胞の外へ部品を出します。それを最終的に組み立てる酵素をペニシリンは働かなくするのです。ペニシリンの耐性菌は、ペニシリンを分解する酵素を出します。メチシリンはこの酵素で分解されないので、耐性菌にも有効でした。しかし、MRSAは細胞壁を合成する酵素が変化して、メチシリンが結合できなくなって、つまり、効かなくなってしまいました。」

「MRSAに有効なのは、唯一、バンコマイシンです。このために、バンコマイシンは貴重な抗生物質なのでMRSAの感染症の治療にのみ使われます。ところで、さっきのプラスミドですが、染色体にある遺伝子はその種の中でだけ遺伝しますが、プラスミドは種を越えて細菌同志でやりとりすることがあります。つまり、二つの菌が巡り会うと、VREのバンコマイシン耐性遺伝子をMRSAがもらうということになります。こうなると、バンコマイシン耐性MRSAができてしまい、治療に使える薬がなくなってしまいます。」

「それって、かかったら死んでしまうということですか?」

「そうです。」

後記:2003年5月頃、米国で、この菌の存在が確認されました。

ESBLってなんですか?」

「さっき出てきたペニシリンを分解する酵素ですが、これをペニシリナーゼといいます。第3世代のセフェム系という分類にはいる抗生物質はペニシリナーゼで分解されません。多くの菌がペニシリン耐性を獲得してしまった現在、これらの菌に有効な第3世代のセフェムは貴重な抗生物質です。ところが、ペニシリナーゼに突然変異が起こり、第3世代のセフェムを分解してしまう、いわばスーパーペニシリナーゼと言ってもいいような酵素を持つ菌ができてしまいました。」

「結核が最近増えてきて、それも耐性菌が多いそうですが?」

「数年前、日本で結核の治療に使われている11の薬のうち、10に耐性を持った結核菌に感染した看護婦が亡くなったという例がありました。世界的に耐性菌が増えてきて、大問題になっています。」

「どうして、耐性菌が増えてしまったのですか?」

「結核菌はどういう菌かというと、増殖がゆっくりな菌です。抗生物質は細菌が分裂している時に効きます。そのため、結核の治療には半年以上も薬を飲み続けなければなりません。中には、ストレプトマイシンのように筋肉注射でしか効かないものもあります。交通の不便なアフリカなどでは使えません。」

「貧乏な人の多い国では、結核の症状が消えるとお金がかかるので薬を止めて働きに出てしまうことがままあります。そうすると、完治していないので、また、症状が出てきます。そこで、また病院に行って薬をもらいます。これを繰り返しているうちに、耐性菌が出てしまうのです。」

「でも、私はBCGをしているので、結核にはかからないんでしょう?」

「BCGのBはbovine、つまり、ウシという意味です。ウシの結核菌を弱毒化したものです。結核に対する免疫力はあまり強くは付きません。成人する頃には、免疫が消えてしまいます。

怖い話ですね。

「あ、ずいぶん話が長くなってしまいましたね。では、練習を始めましょう。」

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