自衛隊のインドネシア・スマトラ島沖大規模地震及びインド洋津波被害関連への支援

平成16年12月26日午前10時頃(日本時間)にインドネシアのスマトラ島沖を震源として発生した大規模な地震・津波により被災した地域で救助活動を行うため、自衛隊の各種活動が始まった。

筆頭に行われたのは、海上自衛隊の派遣である。
テロ対策特措法に基づく協力支援活動等によりインド洋に派遣され、任務終了により帰国の途についていた護衛艦「きりしま」、「たかなみ」補給艦「はまな」が、引き続き、タイ周辺海域における国際緊急援助活動に従事し、遺体収容などを行っている。

年が明けて、航空自衛隊では、C130輸送機が派遣され、現地輸送支援が行われている。

そして海上自衛隊では、輸送艦「くにさき」、護衛艦、補給艦「ときわ」などを派遣する。
陸上自衛隊では、CH47Jヘリコプター3機、UH60Jヘリコプター2機、の5機により、現地輸送支援が行われる。

今回、海上自衛隊と陸上自衛隊では、初めて大規模な共同作戦が行われる。
すなわち、輸送艦「くにさき」をベースとして、ヘリコプターの現地基地とし、隊員の宿舎として現地活動に当たる。

海上自衛隊の輸送艦は、従来は海浜からの着上陸タイプの艦型の物ばかりであったが、輸送艦「おおすみ」型においては、全通型のヘリコプター発着甲板を備え、通常2機の大型ヘリコプターの運用が可能であるとともに、艦内には1000名規模の宿泊スペースが確保されている。

「空母」と称すれば、やれ戦争だと大騒ぎする向きが多く、為に、機能も表現も控えめとされていたが、今回のように、陸上交通が寸断され、内陸部への輸送手段はヘリに頼らざるを得ず、しかし支援施設が陸上にもてない場合など、このようにヘリコプターを運用可能な艦艇は、非常に有効なものである。

今回搭載してゆくヘリは合計5機。
CH47Jは大型のため、露天繋止となるものの、UH60Jは、元来が艦載ヘリコプターとして開発されたものであり、尾部が折りたためることから、全長を短くした上で、エレベーターにより、艦内に収容することも可能だ。
そのため、露天繋止の機数が増やせることになる。

5機の搭載は、1/10に横須賀沖で実施され、飛来したヘリコプターを1機づつ着艦収容する方式がとられた。
従来の、「おおすみ」型輸送艦による支援においては、物資輸送や、車両運搬が中心のため、甲板上にこれらを並べていったが、今回は、さながらヘリ空母の様相を呈している。
「おおすみ」型輸送艦には、航空機支援(メンテナンス)のための大規模な機能はないが、ヘリコプター搭載護衛艦がこれを補う。

さて、言うまでも無く、ヘリ甲板が大きければそれだけ多くのヘリを有効に運用できるわけで、また、艦内格納庫が広ければ、これを更に拡大可能である。
現在計画中の13500t型DDHが、もし現時点で洋上にあれば、極めて重要な位置をしめたことは言うまでも無い。

年間1日、ドック入りのときにしか稼動しないとさえ言われた、タイ海軍の空母、「チャクリ・ナァベルト」も、現在、インド洋で活躍している。





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新規作成日:2005年1月12日/最終更新日:2005年1月12日