現代艦艇の種類

空母

航空機を運用する艦。
大型の物は、アメリカ海軍のみが保有しているが、これに準じた物は、フランス、ロシアなどにもある。
また、規模の小さい物として、VSTOL機を運用する軽空母は、イギリス、イタリア、スペインなど、幾つかの国でも運用されている。
CVN : Multi-Purpose Aircraft Carrier (Nuclear) : 原子力空母
CV : Multi-Purpose Aircraft Carrier : 空母
AVT : Auxiliary Aircraft Landing Training Ship : 練習空母
DSC_0131. p0026/p0026008.

(水上戦闘艦)

現代では、巡洋艦、駆逐艦、フリゲートなどは、艦種を明確にする物と言うよりも、艦の大小、戦闘力の強弱と言う、相対的なウエイトが大きい。
従って、ロシアのキンダ級巡洋艦より、スペインのイージスフリゲートの方が、大きく強力だと言う例も多々ある。
アメリカ海軍においても、スプルアンス級駆逐艦の船体にイージス装置を搭載した艦を、当初はミサイル駆逐艦としていたが、当時のアメリカの巡洋艦よりも強力であると言う理由から、巡洋艦に格上げされた経緯がある。
艦種記号としては、それぞれにおいて存在しているが、戦力単位として論ずる場合には、外洋作戦可能な艦艇を、水上戦闘艦と総称する場合も多い。


(ミサイル艦)

ミサイル巡洋艦、ミサイル駆逐艦、ミサイルフリゲートなどという、ミサイル搭載艦。
欧米では、対空ミサイルを塔載する艦をいい、旧東側の艦を言う時は、対艦ミサイル搭載艦を指している。
これは、それぞれにおいて、ミサイル化発祥の経緯から来る物であった。
現代では、対艦、対空、対潜、各種ミサイルが整備されており、ミサイルを塔載していない艦の方が珍しくなった事もあり、ミサイル艦という呼び方はされない場合もある。
が、あえてする場合には、対空ミサイルを塔載する艦と、ロシアのように大規模な対艦ミサイル搭載艦を、ミサイル艦と呼んでいる。


巡洋艦

元来は、航洋性のある、戦闘艦であり、基本的に単艦で行動し、敵国の通商破壊、自国の通商保護、索敵哨戒などにあたる艦であった。
その後、装甲や強力な攻撃力(大砲)を備え、装甲巡洋艦、巡洋戦艦として、戦艦に次ぐ艦種に発展しているものもあった。
現代では、水上戦闘艦のうち、大型有力な艦を巡洋艦と呼ぶようになっている。
CGN : Guided Missile Cruiser (Nuclear) : 原子力ミサイル巡洋艦
CG : Guided Missile Cruiser : ミサイル巡洋艦
DSC_3026. DSC_2999. p0053020ice.

駆逐艦

元来は、小型高速な水雷艇を追跡破壊する為の、水雷艇駆逐艦という、小型高速の戦闘艦であった。
その後、水雷艇の任務を併せ持ち、艦隊の補助戦力の中核となっていった。
冷戦初期に、アメリカ海軍では、響導駆逐艦である大型駆逐艦をフリゲートと呼ぶようになったが、これは、巡洋艦より小型という、帆船時代の序列に基づいた位置づけである。
また、アメリカ海軍では、護衛駆逐艦も発生している。
太平洋戦争後は、対艦魚雷を降ろし、代わって対潜兵装を重く、また、対空ミサイルを装備する艦も出現し、現代では、対潜、対艦、防空、あらゆる海上戦闘をひととおりこなせる艦となっている。
イギリスを除く西ヨーロッパでは、フリゲートが大型化し、駆逐艦という艦種が消滅しつつある。
尚、海上自衛隊では、駆逐艦は護衛艦と呼んでいる。
DD : Destroyer : 駆逐艦
DDG : Guided Missile Destroyer : ミサイル駆逐艦
DDH : Helicopter Destroyer : ヘリコプター駆逐艦
DL : Frigate : フリゲート、響導駆逐艦
DE : Destroyer Escoat : 護衛駆逐艦
DSC_4378. p2007012.

フリゲート

元来は、航洋性のある、小型の戦闘艦であった。
帆装時代の名残の艦種としてのフリゲートは、やがて巡洋艦へと発展し、消滅したが、やがて、船団護衛や、対潜哨戒の中核として、駆逐艦よりも簡易な艦として、多数が建造される事となった。
アメリカではこれを、PF パトロール・フリゲートと呼び、ヨーロッパではフリゲート、コルベットと呼んでいる。
また、冷戦初期に、アメリカ海軍では、響導駆逐艦である大型駆逐艦をフリゲートと呼ぶようになったが、これは、巡洋艦より小型という、帆船時代の序列に基づいた位置づけであり、ヨーロッパでのフリゲートは、小型快走艦というカテゴリーに由来している。
フリゲートに対する日本語が存在していないが、現代の艦種としては、大型の艦は駆逐艦と総称しても差し支えない状況である。
むしろ、航洋戦闘艦という訳が与えられるべきではなかろうか。
また、小型の艦は、フランスでは護衛艦、哨戒艦と扱っている。
FF : Frigate : フリゲイト
FFG : Guided Missile Frigate : ミサイル・フリゲイト
FFT : Training Frigate : 練習フリゲイト
DSC_2128. DSC_3001.

コルベット

元来は、小型の戦闘艦であった。
帆装時代の名残の艦種としてのコルベットは、消滅したが、やがて、船団護衛や、対潜哨戒の中核として、簡易な艦として、多数が建造される事となった。
アメリカではこれを、PF パトロール・フリゲートと呼び、ヨーロッパではフリゲート、コルベットと呼んでいる。
現代では、沿岸警備艦艇として位置づけられている。
フリゲートに対して、コルベットと言う表記が見られるようになったが、日本流に言うなら、哨戒艦と言う事になろう。
ミサイル塔載の場合、ミサイル艇に分類する場合がある。
ただ、魚雷艇は、魚雷艇と言う艦種で扱われており、コルベットと呼ばれる事はなかったが、これは、コルベットと魚雷艇が、別の艦種、任務として共存していた為である。
PC : Coastal Patrol Craft : 沿岸哨戒艇
DSC_2978.

ミサイル艇

対艦ミサイルの時代となり、従来の魚雷艇から発展した艦種。
搭載するミサイルの大型化に伴い、船型が大型化し、コルベットに位置づけられる艦もある。
PHM : Guided Missile Patrol Combatant (Hydrofoil) : 水中翼ミサイル哨戒艇
PG : Fast Attack Craft Missile : ミサイル艇
PG : Patrol Guided Missile Boat : ミサイル艇
p1626016. R0015025. DSC_2978.

潜水艦

水中に潜む事のできる艦艇。
当初は、必要時に海面下に潜る事ができる程度の「可潜艦」であったが、原子力水深艦の出現により、ほぼ無制限の水中行動も可能となっている。
また、通常動力の潜水艦も、高性能化により、1ヶ月程度の海中潜伏も可能となっている。
SSBN : Ballistic Missile Submarine (Nuclear) : 原子力弾道ミサイル潜水艦
SSN : Submarine (Nuclear) : 原子力潜水艦
SSA : Auxiliary Submarine : 実験潜水艦
SSB : Ballistic Missile Submarine : 弾道ミサイル潜水艦
SSG : Guided Missile Submarine : ミサイル潜水艦
SSGN : Nuclear Guided Missile Submarine : 原子力ミサイル潜水艦
SSRN : Radar Picket Submarine (Nuclear) : 原子力レーダーピケット潜水艦
SSK : Killer Submarine : 対潜潜水艦
SDV : Swimmer Delivery Vehicle : 特殊戦部隊用小型潜航艇
AGSS : Auxiliary Research Submarine : 調査潜水艦
DSC_1753. DSC_3576.

掃海艦艇

機雷戦艦艇とも言う。
厳密には、掃海艦艇は、掃海業務とその支援だが、機雷戦艦艇と言えば、機雷の敷設を含む事になる。
機雷の敷設は、航空機による散布が、短時間に処理できるが、専用の敷設艦艇も多く見られる。
海上自衛隊では、現在、機雷敷設艦の艦種は存在しないが、掃海母艦がその機能を有している。
また、陸上自衛隊の、94式水際地雷敷設装置(この場合水際は「すいさい」と読む)が、実質上、小型の水陸両用の敷設艇である。
MCS : Mine Countermeasures Support Ship : 機雷戦指揮艦
MCM : Mine Countermeasures Ship : 掃海艦
MHC : Minehunter Coastal : 沿岸機雷掃討艇
MSO : Minesweeper Ocean : 航洋掃海艇
MSC : Minesweeper Coastal : 掃海艇
MSB : Minesweeping Boat : 小型掃海艇
MSI : Minesweeper Inshore : 掃海艇
MST : Minesweeper Tender : 掃海母艦
MST : Minesweeper Tender : 掃海母艇
MCL : Minesweeping Control Ship : 掃海管制艇
MMC : Minelayer Coastal : 機雷敷設艦
p1624003. p1624005. p1624006. p1624001.

揚陸艦艇

両用戦艦艇とも言う。
両用戦とは、水陸両用作戦で、海上より兵員を輸送し、海浜に着上陸させ、陸上へ侵攻する、いわゆる上陸作戦の事である。
海上自衛隊では、輸送艦艇と呼んでいる。
LCC : Amphibious Command Ship : 揚陸指揮艦
LHD : Amphibious Assault Ship (Multi-Purpose) : 強襲揚陸艦(多目的)
LHA : Amphibious Assault Ship (General Purpose) : 強襲揚陸艦(汎用)
LPH : Amphibious Assault Ship (Helicopter) : 強襲揚陸艦
LPD : Amphibious Transport Dock : ドック型輸送揚陸艦
LSD : Dock Landing Ship : ドック型揚陸艦
LST : Tank Landing Ship : 戦車揚陸艦
LKA : Amphibious Cargo Ship : 貨物揚陸艦
LPA : Amphibious Transport : 揚陸輸送艦
AALC : Amphibious Assault Landing Craft : 強襲揚陸艇
LCAC : Landing Craft, Air Cushion : エアクッション型揚陸艇
LCU : Landing Craft, Utility : 汎用揚陸艇
LCM : Landing Craft, Mechanized : 機動揚陸艇
LCPL : Landing Craft, Personnel, Large : 人員揚陸艇
LCVP : Landing Craft, Vehicle, Personnel : 車輌人員揚陸艇
p0910001. p1382026. DSC_3060. DSC_4003.

参考
軍艦(海軍艦艇)の呼称
艦艇の種類(時代と変遷)
空母の変遷
揚陸艦
現代艦艇の種類
フリゲート
搭載機運用設備




戻る TOPに戻る

新規作成日:2003年4月7日/最終更新日:2003年4月22日