弾道ミサイル防衛

BMD:Ballistic Missile Defense


弾道ミサイル防衛全般
国防総省の中に弾道ミサイル防衛局(BMDO)が設置されており、弾道ミサイル防衛計画の管理、指示、実施に関し責任を有している。計画は次の三つの領域から成る。これらは、戦域ミサイル防衛(TMD)国家ミサイル防衛(NMD)、先端弾道ミサイル防衛技術である。BMDは、国防、技術拡散対策を支援することにより、国の安全保障の中心的役割を担っている。合衆国が海外での信頼できるプレゼンス、弾道ミサイルの拡散が脅威を与え危険が増大している重大な地域紛争に対応できる能力を維持するBMDの要求内容が決定される。合衆国への地域的な脅威に対して、BMDは合衆国に国益を守る大きな行動の自由と部隊配備の強制による地域民への恐怖を伴わない安全保障上の責任を行使できる余裕をもたらす。BMDは、連合と同盟の連携を強固にすることができ、また、危機にあっては、攻勢的手段に頼ることなく対応することが出来る。最後にBMDは、我々の抑止戦力の信頼性を強化し、抑止が失敗した時の必要な防護手段を与える。


TMD 戦域ミサイル防衛
戦域ミサイル防衛は、我々の展開した部隊と同盟、友好国を守るように計画された。TMDは速やかに展開でき、また部隊とともに移動出来なければならない。TMD脅威は、射程と能力に関して多種であるので、一つのシステムで全てのTMD任務を遂行することが出来ない。これが我々にFamily of Systemsの構想を余儀なくさせ、このアプローチが成功裏に戦域ミサイル脅威を無効にすることが出来る。Family of Systemsアプローチは下層---これらのシステムは大気圏内の比較的低高度で迎撃する---と上層---これらのシステムは大気圏外の長距離で敵のミサイルを迎撃する---の両方を用い縦深防衛を確実にする。
TMD:Theater Missile Defense

PATRIOT Advanced Capability-3(PAC-3)
PAC-3は下層TMDシステムであり、既存のパトリオット対空ミサイル防衛システムの構造を基に構築したものである。BMDOと陸軍は、パトリオットの有効性をかなり向上させた。ここ数年、我々は、短距離の弾道ミサイルに対しパトリオットの精度を向上させたPAC-2弾頭強化ミサイル(GEM)を配備してきた。加えて、PAC-3構成1対空ミサイル防衛システムは間もなく完全配備される。また、PAC-3構成2を配備し始めた。これは、PAC-2とGEMインターセプター両方用いたものである。これはまた、レーダー、通信システム、遠隔発射能力の改造と他のシステムの機能向上を組み込んでいる。

Dcim1312/DSC_9604. Dcim1310/DSC_9353.

Navy Area Defense System(海軍下層システム)
海軍下層システムは海軍のプレゼンスと強さを有効に利用した低層TMD能力である。また、既存のイージスシステムとスタンダードミサイルを基に構築されている。通常任務で世界中に展開している海軍の艦船は現在、潜在的に脅威のある海域にいるか、緊急に向きを変え位置を変える必要がある。海軍のTMD能力は、敵対行為が暴発する前または地上配備型の防衛システムが戦域に搬送される前に近隣の地上兵力をTMD能力で防護するために紛争地域の海域に配備することが出来る。同様に重要なことは、海軍下層防衛は、例えば、港湾、沿岸の空港のような重要な揚陸地点を防護することが出来る。海軍下層計画は、イージス武器システムが戦術弾道ミサイルを探知、追尾し迎撃できるように改良すること、スタンダードミサイルII、ブロックIVの改良に焦点をおいている。

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Medium Extended Air Defense System(MEADS)
作戦運用、戦術的に、わが軍は広大な陸地と敵味方の間隙が大きい人口過疎な戦場で戦う。地上軍指揮官は、作戦の戦域に到着し主要部隊終結地域で部隊を構成する時対空脅威に遭遇するリスクを負う。MEADSは、下層システムであり、陸軍及び海兵隊のこのようなリスクを将来低減しようとするものである。何故ならこのシステムは、短距離戦術弾道ミサイル、巡航ミサイル及びUAVから360度の防護を考慮した機動地上部隊への唯一のTMDシステムであるからである。これは迅速に移動できまた攻勢作戦中の機動部隊の防護が出来なければならない。MEADSは重要な対空、ミサイル防衛機能を有するように計画されている。この計画は国際共同計画であり、合衆国、ドイツ、イタリアの複数国家間の責任分担が行われMEADSの価格見積もりを削減させる。

Theater High Altitude Area Defense(THAAD)
THAADはTMD Family of Systemの重要な要素である。上層THHADは緊要な現場からの要求事項に応え、長距離で戦域レベルの弾道ミサイルを高高度、目標の飛翔経路の遠いところで迎撃できる。これは戦域弾道ミサイル脅威に対し、複数回迎撃できるより多くの余裕時間を与える。特にこれらのミサイルは大量破壊兵器となる弾頭を運搬するので遠距離高高度で破壊しなければならない。

PATRIOT Advanced Capability-3(PAC-3) は、従来のPATRIOTのランチャー1セルに対して4発装填されていたが、改良型では、1発となっている。
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上から
PATRIOT Advanced Capability-3(PAC-3)
PATRIOT Advanced Capability-3(PAC-3)改良型。
Theater High Altitude Area Defense(THAAD)


Navy Theater Wide System
海軍下層システムのためイージス艦とスタンダードミサイルに改良を加えているが、NTW計画はより技術的に高度なものが要求されるので下層システムに継続して改良を加えたものである。NTWは、迎撃ミサイルにより多くの改良を加え、目標の上昇、中間飛翔経路、最終突入経路、大気圏外で目標を迎撃するようデザインしている。加えて、BMDOは改良された、より長距離の迎撃ミサイルを必要とする拡大した戦闘空間に対応するためイージス武器システムを改良するため海軍と調整する。

Joint Theater Missile Defense Program Efforts
BMDOの活動において、特に、統合TMD計画は、たくさんの別個の計画への直接支援、別個に計画を進めている各計画の優れたところを紹介する。これらには、BMC3Iにおける共用性が含まれており、統合TMD作戦を遂行するに当たって必須である。BMDOは各軍種が早期警戒と情報の収集を改善させ、通信の共用性を確実化、そして指揮管制センターの改善を加えるインフラの確立のため努力を傾注する。

Battle Management/Command , Control, Communications & Intelligence(BM/C3I)
主な目的は、共用性と拡大した脅威のシナリオの対応に満足できる統合したTMD能力を完成することである。統合の観点から見ると、BMC3は、統合の戦域レベルのTMDを構成するため、各種の独立した武器システム開発の努力、誘導,連接標準、機器とシステムの統合、複合センサーの分析と統合,迎撃体並びに戦術指揮センター等を監督している。加えてBMC3Iは、試験評価、モデル作成、シミュレーション支援、司令官のTMD評価プログラム、合衆国・イルラエルアローシステム配備可能性検討プロジェクトとCEC評価をも含んでいる。これらは、合衆国のTMD計画全般の成功に絶対的に重要である。それらは、アーキテクチャーを結びつける膠のようなものであり、強固な全体は、各部品の集合より確実である。

NMD 国家ミサイル防衛
NMDシステムは、合衆国を限られた長距離弾道ミサイルから守るため開発されている。地上システムは2000年の半ばに作製されるが、展開型にするか固定型にするかは、技術の開発状況、受容性、潜在的脅威、国際条約の考慮、他の軍朱との優先順序等によって決定される。NMD統合計画事務局が設立され、各軍種間の共用性を実行する責任を有する局長のポストが定まった。鍵となるNMDの構成は、地上発射型の迎撃体(GBI)、Xバンドレーダー、早期警戒レーダー、BM/C3と宇宙センサー技術である。
NMD:National Missile Defense


弾道ミサイル防衛支援技術計画
BMDOの技術投資戦略は、明白に将来のミサイル脅威を想定しこれに対応する技術を押上げるものである。我々は、連邦政府がスポンサーの他の調査研究及び企業のミサイル防衛に役立つ適切な調査研究投資を推進する。我々は、新しい技術を適当なシステムに統合、実地に評価しその利点を追求する。このやり方によって、五つのBMD技術保障が近い将来の改善を促進したり、現在の調達計画の中に組み入れたり又は、先端のBMD能力が進化するミサイル脅威に対抗する能力を提供する。我々のこれまでの技術投資は、現存するまた進展するミサイル脅威に対抗するため、現在の邀撃体、センサー、レーダーの能力に組み入れることが出来る。BMD計画が戦略環境に応じ採用されたので、我々は、ミサイル防衛計画を取得・配備するために劇的に現計画への努力の移行と1980年代の半ばから後半の技術開発から現計画への資源の配分を実施した。技術投資の許す限り70%をTNDに20%をNMDに配分しているのは事実である。我々は組織的な戦略計画である技術マスタープランを作成した。これは、欠く事のできない任務の達成を助ける案内書である。


2004 BMDの現状
2004.10.6-10 横浜港 JAPAN AEROSPACE 2004 第11回国際航空宇宙展 アメリカ海軍 Navy BMD ブースでの説明によれば、アメリカ海軍での実戦配備は2004.11からであり、日本の海上自衛隊での配備は2007頃であろうという。
初の実戦配備となるのは、CG70 LAKE ERIE である。
アメリカ海軍では、 CG70 LAKE ERIE、 CG73 PORT ROYAL、 DDG54 CURTIS WILBUR、 DDG56 JOHN S MCCAIN、 DDG62 FITZGERALD、 の5隻が既に、あるいは間もなくシステムの改修を完了し、2004.11以降、SM3を搭載して順次配備される。
既にこのうちの数隻は、日本、および日本海に配備され、北朝鮮の弾道ミサイルの警戒にあたっている。

Dcim1311/DSC_9412. Dcim1311/DSC_9422. Dcim1311/DSC_9411. Dcim1311/DSC_9413.

2006.8 極東地域でのSM3搭載による実戦配備艦第一号。
CG67 SHILOH
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2007.12.17 ハワイ沖で迎撃試験に成功したDDG173こんごう。
海上自衛隊のSM3装備艦の第一号であるとともに、アメリカ以外でSM3発射試験を行った最初の艦である。
Dsc_2664.

2008.7 迎撃・探知システム搭載
巡洋艦
CG67 シャイロー
CG70 レイク・エリー
CG73 ポート・ロイヤル
駆逐艦
DDG53 ジョン・ポール・ジョーンズ (探知システムのみ)
DDG54 カーティス・ウィルバー
DDG55 スタウト
DDG56 ジョンSマケイン
DDG59 ラッセル
DDG60 ポール・ハミルトン
DDG61 ラメージ
DDG62 フィッツジェラルド
DDG63 ステゼム
DDG65 ベンフォルド
DDG69 ミリウス
DDG70 ホッパー (探知システムのみ)
DDG73 ディケイター
DDG76 ヒギンズ (探知システムのみ)
DDG77 オケーン


2008 BMDの現状
2008.10 横浜港 JAPAN AEROSPACE 2008 第12回国際航空宇宙展 アメリカ海軍 Navy BMD ブースでの説明によれば、SM3 BLK2の実用化は2015頃のようである。

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SM3 BLK1、SM3 BLK2


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SM3 BLK1 KW

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SM3 BLK1 3段目ブースター


発射情報探知、発射探知・追尾、上空撃破、終末段階撃破
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迎撃範囲
SRBM/MRBM:SM3、IRBM:SM3、ICBM:SM3、SRBM/MRBM:PAC3
Pict_1323a. Pict_1323b. Pict_1323c. Pict_1323d.

参考
防空システム イージスへの系譜
イージス防空システム
弾道ミサイル
日本の弾道ミサイル防衛
2006.6テポドンへの対応
Mk41 VLS
CG47 TICONDEROGA 型
DDG51 ARLEIGH BURKE 型
護衛艦 DDG173 こんごう 型
護衛艦 DDG177 あたご 型


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新規作成日:2003年4月21日/最終更新日:2007年12月18日