日本の弾道ミサイル防衛

北朝鮮の弾道ミサイルなどの脅威に対抗する為、我が国でもいよいよ弾道ミサイル防衛が具体化してきた。

既に、アメリカのTMD、BMD、TBMD、などと称される、弾道ミサイル防衛システムの開発に一部共同参加しており、開発完了と共に順次導入が進むものと思われる。

具体的には、洋上での哨戒と迎撃を、海上自衛隊のイージス艦が担当し、本土に達した低空域での迎撃を、航空自衛隊のペトリオット(地対空誘導弾)が担当する。

これには、海上自衛隊のイージス艦2隻と、航空自衛隊のペトリオット(地対空誘導弾)PAC3部隊4個高射群が割り当てられる。
指揮官は、航空自衛隊が当たるが、実際の局面、すなわち弾道ミサイルの発射を捕捉した時点において、即断を要する問題でもあり、事前の調整と脅威レベルにより、現場指揮官(艦長等)に発射の権限が委譲されている必要も有ろう。

現時点では、ソフトウェアやハードウェアとも、十分に対応する能力は持っておらず(本体性能としてアメリカ自身でも不十分な状態)、目下改善の研究開発が進められている。

部隊運用としては、航空自衛隊のペトリオット(地対空誘導弾)PAC3部隊4個高射群は、通常の防空体制と共に24時間365日態勢で任務に就くが、海上自衛隊のイージス艦は、ミサイル発射が懸念される事態となった段階で、日本海にはりつき、約1ヶ月間の待機体制を取るものと思われる。

これは、イージス艦は元々護衛艦隊の中核であり、本来の任務が海上交通路確保であり、また所要定数と、実動待機率との関係から、やむを得ない態勢でもある。

非戦時で、唯一弾道ミサイルが脅威という局面では、このような運用が可能であるが、有事において、海上護衛を行いつつという局面では、イージス艦の融通が極めて困難を来すことは目に見えている。
これは、(たちかぜ型、はたかぜ型の代替による)イージス艦の増勢があったとしても、ついて回る問題である。

更に、航空自衛隊のペトリオットによる迎撃は、あくまで弾道弾落下段階であり、外した場合のリスクも大きく、洋上防空艦隊としての、独立した定数によるイージス艦の常駐配備が望まれるところでもある。


2003年8月29日、防衛庁はミサイル防衛(MD)導入費として、2004年度予算概算要求に1423億円を盛り込んだ。
これは、イージス艦1隻の改修費、ペトリオット(地対空誘導弾)PAC3部隊1個高射群(空自)の整備費である。
ちなみに防衛庁は、2004年〜2007年にかけて毎年イージス艦1隻、ペトリオットPAC3部隊1個高射群の整備を進め、2010年度には4隻・4高射群体制のMD体制完成を目指している。
初のMD対応艦・部隊は、イージス艦「こんごう」と、第1高射群(入間)の予定。
なおMDの導入に伴い、「防衛計画の大綱」を改定するとともに、「中期防衛力整備計画(2001−2005年度)」についても見直し、イージス4艦体制によるMD構想を明記する方針だ。


2004.10.6-10 横浜港 JAPAN AEROSPACE 2004 第11回国際航空宇宙展 アメリカ海軍 Navy BMD ブースでの説明によれば、アメリカ海軍での実戦配備は2004.11からであり、日本の海上自衛隊での配備は2007頃であろうという。
アメリカ海軍では、 CG70 LAKE ERIE、 CG73 PORT ROYAL、 DDG54 CURTIS WILBUR、 DDG56 JOHN S MCCAIN、 DDG62 FITZGERALD、 の5隻が既に、あるいは間もなくシステムの改修を完了し、2004.11以降、SM3を搭載して順次配備される。
既にこのうちの数隻は、日本、および日本海に配備され、北朝鮮の弾道ミサイルの警戒にあたっている。

Dcim1311/DSC_9412. Dcim1311/DSC_9422. Dcim1311/DSC_9411. Dcim1311/DSC_9413.

2006.8 極東地域でのSM3搭載による実戦配備艦第一号。
CG67 SHILOH
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ペトリオット PAC3
弾道ミサイル防衛の一環として2007.4導入された、航空自衛隊の地対空誘導弾。

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Dcim1321/DSC_0401. Dcim1312/DSC_9603.

2007.12.17 ハワイ沖で迎撃試験に成功したDDG173こんごう。
Dsc_2664.

発射情報探知、発射探知・追尾、上空撃破、終末段階撃破
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迎撃範囲
SRBM/MRBM:SM3、IRBM:SM3、ICBM:SM3、SRBM/MRBM:PAC3、
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参考
防空システム イージスへの系譜
イージス防空システム
弾道ミサイル防衛
弾道ミサイル
2006.6テポドンへの対応
航空自衛隊 バッジシステム
日本の地対空誘導弾
護衛艦 DDG173 こんごう 型
護衛艦 DDG177 あたご 型


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新規作成日:2003年9月6日/最終更新日:2006年9月6日