魚雷
魚雷
魚形水雷、略して魚雷と呼ばれる。
太平洋戦争前は、遠距離より船舶を撃沈可能な兵器であった。
一般に、空気を燃焼させて動力としていたが、大日本帝国海軍では酸素を使用し、航走波が目立たず、かつ高速長射程で、非常に有力な兵器であった。
ミサイルが発達した今日では、水上艦搭載の船舶攻撃兵器としての位置づけは影を薄めたが、代って対潜攻撃兵器として主要な位置を占めている。
また、潜水艦にとっては、有力な位置を占めている。
現在の魚雷の動力は、電池式が主流である。
魚雷の種類
長魚雷
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対潜魚雷
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短魚雷
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ロケット魚雷
シュクバル Shukval (突風) Shkval (Squall)
ロシアが開発したロケット魚雷で、水中を約200ktで航走する。
先端のノズルから気泡を発生し、これによって魚雷本体を覆うことによって水中抵抗をなくし、ロケット推進によって高速を発揮する。
無誘導で射程が短いといわれるが、その高速力により、一旦発射されれば回避は困難である。
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魚雷発射管
魚雷発射管
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SSN758 ASHEVILLE 魚雷発射管
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短魚雷発射管
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魚雷の動き
無誘導魚雷
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ホーミング魚雷
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有線誘導魚雷
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ウエーキホーミング魚雷
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対潜魚雷
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魚雷攻撃方式
魚雷発射射線
魚雷は当初は現在のミサイルに劣らない高価な兵器であり、目標に対して慎重に発射され、一目標に一発必中を狙うことも多かった。
ただ、確実に命中、撃沈するためには、複数本の発射が必要で、同時に数本を発射することになる。
このとき、扇状に範囲を持たせると、目標の速度や針路変更に対しても、ほぼ確実にどれか命中させることができる。
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射三角
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魚雷発射射線
昔の魚雷は、発射後そのまま直進するが、現代の魚雷は、発射後、指定針路に変針し進むことができる。
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航空雷撃
航空機による魚雷攻撃は、投下後、魚雷が一旦海中深く潜ってから上昇してくる。
そのため、浅い海面においては、海底に当たってしまう。
太平洋戦争開始直後の真珠湾攻撃においては、日本海軍の開発した浅海雷撃法により、低空で進入、投下、そして安定板のついた航空魚雷により、沈下が抑えられ、浅い海域でも攻撃ができた。
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魚雷深度
舷側を破壊しようとしても、戦艦などは強力な装甲を持っている場合、破壊力が弱められてしまう。
しかし、船底を狙った場合、装甲重量の問題から防御も薄く、容易に破壊できる。
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魚雷の構造
初期の魚雷
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誘導魚雷
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斜盤機関
魚雷などに用いる機関で、ピストンの往復運動を回転運動に変換する機構を、クランクではなく、斜盤を用いるもの。
91式魚雷
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魚雷の起爆方法
・慣性起爆方式
目標に直撃、衝突する衝撃により起爆。
・近接起爆方式
目標付近で起爆。
目標が近くに存在することを検出して起爆。
近接起爆方式における艦底直下での爆発は危害効果大。
・音響を利用した近接センサ。
航跡(ウェーキ)を誤探知
波、うねりに弱い
・パッシブ磁気を利用した近接センサ。
目標物が発生する磁気による地磁気の歪み量を検出するため、目標艦艇の磁気量に依存する。
地磁気の影響を受ける
目標艦艇の磁気ステルス化が進むと検出できなくなる
・アクティブ磁気方式の近接センサ。
送信磁界により発生させた、誘導磁界を感知する。
目標艦艇の磁気量に依存しないため、磁気ステルス化に有効。
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誘導方式
音量差方式
A,B二枚の受波装置により、受ける音波の量の差がゼロとなるように変針する。
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位相差方式
A,B二個の受波装置により、受ける音波の位相差がゼロとなるように変針する。
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魚雷の射程
九一式魚雷
2,000m / 42ノット
九三式魚雷
22,000m / 52ノット
33,000m / 41ノット
40,400m / 36ノット
89式魚雷
27海里 / 40kt
21海里 / 55kt
魚雷の防御
魚雷防護ネット/桁
艦艇の舷側に桁を装備し、停泊中に展張して魚雷防護ネットを展張し、魚雷攻撃から船体の損傷を防ごうとするもの。
魚雷の高性能化により廃止された。
装備艦、格納状態、展張状態、防御の状況。
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デコイ
ホーミング魚雷に対して発射され、擬似推進音を発することにより、魚雷の誘導方向を誤らせるもの。
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マスカー
船体を気泡で包み、音響遮蔽も行われている。
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参考
⇒ 艦載兵器あらかると
⇒ 海上自衛隊の対潜作戦の系譜
⇒ 海上自衛隊の対艦作戦の系譜
⇒ 海上自衛隊の潜水艦作戦の系譜
⇒ 舶用機関
⇒ 魚雷
⇒ 信管
新規作成日:2005年9月3日/最終更新日:2020年9月28日