艦船写真の写し方(夜景撮影)
夜景
夜はまた、一風変わった幻想的な情景となります。みなと祭の時や、外国からの訪問艦艇は、イルミネーションを行ったりします。
全景を写す時に艦の前でフラッシュを焚いている人がいますが、照明弾程度の明るさと持続性なら効果がありますが、カメラ付属のフラッシュではまったく効果がありません。
三脚を立てての長時間露光が必要です。
で、とりあえず撮影すると
のようになります。
が、ここで、よく見ると、光の点が 三角になってしまっています。これは、レンズの特性で、いくら高価なレンズでも多少なり起こります。
対策は、絞りを、1−2段 余計に絞ります。
のようになります。
上手く調整できると(概ね絞りをf8以上に絞ると)、光芒が現れます。
光芒は、絞りの羽の交差点によって出てくるものなので、完全な丸型絞りでは出来ませんが。
が、反比例して、露光時間を 1−2段長くする必要があります。
実際のデータは、現場の局面により、大きく異なりますが、私の基準として、フィルムが ASA400の場合、f5.6 で 2-4秒前後になります。
熟練者は、基準とした値の、前後も1枚づつ写しています。適正露出は、計算値どうりには行きませんから。
なお、自動露出はあまり、お勧めしません。
単純な測定値だと、写りはしますが、暗闇を写したことしか、良く分かりません。
好みの問題もありますが、船体に明るさがさして始めて、幻想的な姿を醸し出してくれます。
特に夜間撮影は、経験の累積が物を言うので、撮影時のデータを記録しておくと良いでしょう。
また、都市部は夜空が明るいので、焼き増し時に「焼き込む」ようにしてもらうと、より深みが増します。
夜間撮影の場合、周りにも写しに来ている人がいるので、お互い譲り合って仲良くやりましょうね。くれぐれも、撮影者の前を横切らないように。待ってる人がいたら、手短に。
幻想的な効果を発揮させるものとして、クロスフィルター などがあります。
のようになります。
好みの問題ですが、派手すぎもします。
詳細比較⇒艦船写真の写し方(フィルター)
イルミネーション方式
FF952 Seoul、AOE58 TaeCheong、DD154あまぎり、DD158うみぎり 夜景(94.12.23 横須賀)
ライトアップ方式
FFG331 VANCOUVER 夜景(98.5.22 東京 晴海)
三脚とレリーズ
三脚は出来るだけ頑丈なもの(=重いんだこれが)。
立てるときは、脚を最大限拡げて安定させます。
脚の長さは長くなるほど揺れやすくなるので、必要かつ十分な長さに。
また、三脚がなくても、何か台になるものがあれば、その上に乗せて安定すれば十分です。
極端な話、地面においてしまったほうが、揺れません。
この例では、レンズ先端に敷いて角度を固定し、カメラ本体右下にストラップを敷いて水平をとっています。
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この例では、三本脚のお手軽椅子にカメラを載せています。座面が平面ではない分、乗せる位置を調整すると、角度もつけられます。
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撮影時には、一般にレリーズを使用します。
これは、シャッターを押す際の振動を、カメラ本体に伝えないためのものです。
代替策としては、タイマー撮影を応用します。
また、カメラによっては、ミラーアップとシャッターの時間差を広げて、要は遅延させて振動を防ぐ機能「低振動モード」もあります。
手ぶれ補正
カメラ本体に備わっているものや、レンズに搭載されている場合があるが、この機能によって、3段分程度、稼げるといわれる。
すなわち、本来シャッター速度1/8とされる状況において、1/16,1/32,1/64と3段相当と同じ手ぶれ補正効果があれば、手持ちでも夜景が写せてしまう場合もあるわけだ。
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左:手ぶれ補正off、右:手ぶれ補正on
感度
本来は低感度フィルムに対して、長時間露光によって、美しい作品が仕上がる。
フイルムの時代、ASA100に対して、感度のASA400というのが夜間撮影の標準とされていた。ASA800やそれ以上のものも出ていたが、高感度ゆえの粒子荒れの問題もあり、難しいところだ。
デジカメの時代となり、フイルム感度の問題は、撮像感度という、デジカメ本体の問題となった。
当然、高感度になるほど画質が荒れる。
が、昨今の機種では、かなりの高感度でも耐えられるものも少なくないようだ。
その意味では、撮影状況と画質の天秤となる。
撮影環境の条件が良いならASA400前後がよいだろう。
条件が悪いなら、画質を犠牲にどこまで感度を上げるかということになる。
露出
露出はどのくらいが良いのか。
写真の好みにもよるのだが・・・。
以下に、段階露出による比較をみてみよう。
+0.0 (1") .
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+0.3 (1.3") .
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+0.7 (1.6") .
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+1.0 (2") . |
+1.3 (2.5") .
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+1.7 (3") .
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+2.0 (4") .
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+2.3 (5") .
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+2.7 (9") .
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ASA400, Aモード,5.6, Tokina AF287 28-70mm/F2.8-4.5
これは、デジカメによる例だが、フィルム撮影の場合は、多少明るめに撮影しておき、プリントの時点で「焼き込む」ように指示する事をお勧めする。
通常、私は、ASA400,f8-5.6,+2.0補正で4"前後(8"-1/2)程度を基準としているが、デジカメの場合は暗さに強いので、+1.7補正程度にしている。
尚、原則論としては、オート測光による自動露出撮影ではなく、マニュアル露出撮影が基本である。
これは、長時間露光となるため、正確な露出計算ができなかったり、自動露出撮影自体が動作しなかったりするためである。
ただ、一般に露出計を別に持ち歩く向きも多くはないので、カメラで測光し、その値をマニュアルモードとして設定することになる。
また、注意点として、一般の一眼レフカメラの測光素子は、ファインダーに近い部分にあるため、ファインダーから強い光が逆流する場合(逆入光)、正しい測光ができない点である。
すなわち、三脚にカメラをセットし、ファインダーを覗かずにレリーズ撮影する場合、ファインダーは後方からの光を受けてしまうことになるのである。
逆入光対策としては、手などでファインダーへの光を防ぐか、あるいはマニュアル露出撮影とすることである。
ホワイトバランス
光には「色温度」という性質があり、フィルムに対して影響を及ぼしている。
下記は、デジカメによる例だが、本来は「電球」の示す色ではないだろうか。
ただ、夜景の作品としてみた場合、単に「写真」であるよりも、暖かみを感じさせる方が好ましい場合であったりする。
ASA400, Aモード,f8, +1.7〜0.0, Tokina ATX280 28-80mm/F2.8
ASA400, Aモード,f5.6, +0.7
ASA400, Aモード,f8, +0.7
雲に注意
また、日程の都合があるので、条件は厳しいのだが、天候にも注意したい。
雲、特に都市部の場合、地上の明かりが雲に濃淡をつけてしまう。
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この写真は、日暮れ間もない頃だが、一部に雲があり、な〜んとなく美しさにかける。
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この写真は、十分暗くなってからだが、一部に雲があり、白さを見せている。
全面曇天の場合、空が暗くなりきらないのである。
強い光に注意
撮影中にはあまり気が付かないものですが、照明灯などがあると、画面の中央を対称点にしてレンズ反射が写ってしまうことがあります。
レンズ本体の中には何枚ものレンズを組み合わせている関係で、こうなってしまいます。
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左の写真はレンズ反射が写ってしまった場合。右は撮影位置や照明の位置関係を変化させ、レンズ反射があまり起こらないようにした場合。
点光源に注意
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夜景撮影には三脚固定は鉄則だが、実際には若干ぶれていても実害は少ない。
しかし、点光源の場合には軌跡として記録されてしまう。
この例は、撮影終了直前に動かしたものだが、点光源の軌跡は目立つが、その他の部分は影響は見えていない。
雨の水滴に注意
レンズに水滴が付いたままだと、鮮明度が落ちるばかりでなく、光が乱反射して写りこんでしまう。
雨天や海上等での波の飛沫にも注意し、適宜ふき取るようにしよう。
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洋上撮影
夜景撮影には三脚などによる固定と、長時間露光が必須要件だ。
が、撮影ポイントの関係から、洋上からの撮影もテーマである。
乗ってる船は動くし揺れるし、フィルム感度を高くすると画像が荒れるし、シャッター速度も限界があるし、条件は悪い。
それでも、横揺れに対しては(一方向に揺れっぱなしだと転覆してしまうので)一瞬止まる位置があるから、この瞬間にタイミングを合わせれば多少は稼げる。
また、自船の動線から、目標に対して移動の少ない位置と時間を選ぶことがポイントだ。
レストランシップなどは、停船に近い状態もある。
大伸ばしにしてしまうとブレが目立つが、そうでなければある程度は我慢の範囲だ。
なんといっても、地上からは得られないアングルが味噌である。
もちろん、1枚必中は無理だろう。シャッター速度を変えながら数枚押さえておけば、多少は当たっている。
また、画像処理を前提とするなら、写っていればなんとでもできるというものだ。
横浜港 マリンタワーと客船。ASA400 1/3 F4
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ヴァンテアンからの撮影。左は晴海ふ頭、右2枚は国際観艦式イルミネーション。
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窓越し撮影
展望室などからの撮影では、ガラス窓越の撮影となる。
が、一般に室内側は明るく、室外は暗いので、ガラスは鏡のように、室内の明るさで反射してしまう。
これを防ぐには、ガラス窓とレンズの筐体に隙間を作らないことで、ガラス面に圧着するか、紙などの何かで室内の光を遮蔽すると良い。
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発砲焔
大砲の射撃の瞬間の発砲焔は、だれしもが押さえたいものだ。
実際の発砲焔は、0.1秒とも0.03秒とも言われ、連写を駆使しても、なかなか撮影する事は困難だ。
が、夜間の場合は、状況が異なる。
真っ暗闇の中であれば、シャッターを開いていても、何も写らないのだ。
これを逆用すれば良いのである。
Mモード(bulb)とし、三脚、レリーズにより、目標を定め、シャッターを開き待機し、発砲の後、シャッターを閉じる。
もちろん、不必要に早めにシャッターを開けておく事は、ノイズが映り込むリスクがあるので避けたい。
しかし、限界まで、射撃の瞬間まで待つ必要はさらさらなく、瞬間を逃せば、以降写るのは暗闇だ。
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花火
夜空を彩る花火。
Mモード(bulb)とし、三脚、レリーズにより、目標空域を定め、開花の瞬間(0.1秒を争う必要はないが)に、シャッターを開き、開花が十分揃った頃に、シャッターを閉じる。
ASA400、f8 で、4〜8秒前後である。
単発の場合は暗めになるし、多数連発の場合は飛んでしまうので、ころあい加減は目分量である。
あらかじめ、打ち上げ状況が完全に掌握できていれば良いのだが、実際にうち上がってみないと何とも言えない部分も多く、開花の状況を判断する為にも、シャッター速度を固定する事は危険でもある。
どのみち、夜間の長時間露光なので、1/10秒の差を争うものではないから、レリーズの操作間隔を自分で数えても影響はない。
打ち上げ高度、開花の範囲、周囲の明るさなど、要素は多い。
また、風向きによって、煙が立ち込め、白く写り込む場合も注意が必要だ。
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⇒ 艦船写真の写し方(花火)
近景と夜景
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暗いところでストロボ撮影すると背景が暗くなってしまう。
こういった場合は、近影をストロボで、遠景はスローシャッターの長時間露光とする。
遠景の夜景のみではなく、何かを絡めて撮るのも面白い。
この場合、遠景は長時間露光で、近くのものはストロボで照らすとまとめやすい。
このとき、ピントをどちらに合わせるかは作品しだいだが、遠景をぼかすと明るくなりやすい。
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海面反射
水辺の夜景は、海面にも映し出される。
このとき、シャッター速度が長いほど、海面の漣が均一化されることは言うまでもなく、単に、シンメトリーなものとはならない。
そしてまた、風の強さによって、漣のたち方も変り、海面反射の状況も変る。
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露光間フォーカシング
花火などで、長時間露光の間に、フォーカシングを行うと、花びら模様が出来上がる。
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左の写真は観覧車での試験。
右の写真は実際の花火で、フォースを外した状態から露光間にフォーカシングしたもの。
露光間ズーミング
ある意味、お遊びの部類に入るかもしれないが、長時間露光している間にズーミングを行うと、放射状の軌跡となる。
ワイド側、テレ側どちら側から始めるかは、構図次第である。シャッターを押した後はファインダーはブラックアウトするので、勘に頼ることになる。
ズーム時間も、一様にズーミングするか、半分程度固定位置とするか、さまざまである
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軌跡のお遊び
シャッター速度の設定を間違えて、期せずして写してしまった絵が面白そうなので、試してみた。
一枚目がその失敗、ラストは本来の撮影。
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パレード
一般論としては。。。
測光モードは中央部重点測光。オートで1枚写して確認。ISO400-800。
多分、明るく写るので、露出補正-1。そして確認。
明るく写るなら、露出補正-2、様子見ながら-3。。。
背景は真っ暗のほうがいいでしょ。
オートで撮ると、その真っ暗なところを明るくしてくれようとカメラくんが頑張るから、シャッター速度が落ちます。露出補正-2できるなら、いままで1/10になっちゃったところが、1/40程度になってくれます。
あと、もう一つ
マニュアル設定にして、1/15で撮影。 ISO400-800。
暗くしかならないなら、感度を上げる。
手ブレする、明るく写るなら、シャッター速度を上げる。
パレードの明かりも明暗が差があるので、オートでやっていると、暗いときに引っ張られるが、このやり方だと、1個の電球の明るさはいつでも同じに写ります。
なので、電球が少ないものとかも、見たまま写ります。
あとは、おうちでレタッチもできるから^^
D70 ISO800 M f5.6 1/20 28-70mm
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D100 ISO800 M f5.6 1/20 15mm
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水上ショー
目標が遠距離の場合より、近距離のほうが、画面上の移動距離が大きくなるのでブレが目立ちやすい。
望遠によって手振れの可能性が大きくなるが、これは三脚等で対策ができる。
キャラクターなどの動きは、比較的ぶれやすく、シャッター速度を稼ぐ必要がある。
D90 ISO1600 A-0.7 f6.3 1/25 21mm
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D70 ISO1000 A-0.3 f5.6 1/30 135-155mm
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D70 ISO1000 M f8 1/50 150-185mm ちょっとブレ。
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D70 ISO1000 M f5.6 1/60 112-120mm
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D70 ISO1000 M f5.6 1/100 135mm
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参考
艦船写真の写し方(ホワイトバランス)
艦船写真の写し方(ボケのお遊び)
艦船写真の写し方(花火)
艦船写真の写し方(陸上行進撮影)
新規作成日:2002年11月8日/最終更新日:2010年1月27日