奄美大島沖不審船事件

2001年12月22日 鹿児島県・奄美大島の北西沖で、不審船が発見され、海上保安庁および海上自衛隊が出動。
午後、巡視船「いなさ」「みずき」が、警告射撃、更には船体射撃を行った。
海上保安庁の巡視船による、船体射撃は、昭和28年8月の、ソ連情報収集船への射撃以来である。
政府は、当面、海上自衛隊による海上警備行動の発動はないとしているが、防衛庁では、護衛艦「こんごう」「やまぎり」を現場海域へ出動させた。

参加船舶の詳細は不明だが、PS03「いなさ」は長崎海上保安部所属、PS11「みずき」は福岡海上保安部所属、共に第7管区海上保安本部であり、鹿児島県・奄美大島近海は、第10管区海上保安本部 の管轄海域である事から、ある程度の事前情報による、大規模な行動と思われたが、米軍偵察衛星による情報で海上自衛隊が確認し、海上保安庁が急行し様である。

不審船からの射撃により、海上保安庁の職員2名が負傷したが、航海要員であり、射撃は船橋を狙ったもので、死者が出なかった事は、非常に幸いである。
不審船側の武装は、機関や船体を狙わなかったと言う点から、(拳銃、自動小銃など)比較的小規模の武器を使用したものと思われたが、ロケット弾も使用されたようだ。

最終的に、不審船は沈没したが、巡視船の射撃による浸水か、火災などによる被害拡大によるものか、自沈か、確定できていない。
ただ、直前に爆発があったと言う点から、自沈か、被害拡大によるものが濃厚である。

海上保安庁観閲式で公開される、不審船制圧の場面の実践に他ならないが、訓練展示のようにスムーズには行かない。
まず第一に、海はそれだけで、陸よりも遥かに第三の戦いが存在する。すなわち、波風は、船の存在自体を危険に晒している。
そして、相手は実弾を使用するわけで、訓練展示のように、何分かしたら手を挙げると言うようなシナリオは存在しない。
実際の突入と言う場合、相当の覚悟を必要とする。
危険をためらって横行を許すわけには行かないが、損害を最小限にする為の措置も、十分講じなければなるまい。

沈没位置が大陸棚で、深さ100m前後で、引き揚げも可能とされているが、最近の風潮として「沈んだものは引き揚げれば良い」と考えるのはどうだろうか。
もちろん、必要に応じて、可能な範囲で処理する事は必要である。
しかし、落とし物をただ拾うがごとき簡単なものではない事を認識すべきである。

その後の経緯は、各種報道により、詳細に取り上げられ、また、今後解明して行くので、ここでは省略する。

2002.5.7 国土交通省 海上保安庁 PM96あまみ 船橋展示


出動艦船

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巡視船 PS03「いなさ」 (PS01みはし型) 平成2年1月31日 長崎
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巡視船 PS04「きりしま」 (PS01みはし型)平成3年3月22日 串木野
領海警備を考慮して建造された、高速の180トン型巡視船。従来の小型巡視船が、排水型の船で有ったのに対し、滑走型の船型となっている。
在来型より7ktも高速な、35ktと、海上保安庁最高速の部類に入る。
海上保安庁観閲式では、高速機動など、豪快な航行を披露してくれる。
従来の小型巡視船とは、船体設計が大きく異なるので、斬新な高速艇スタイルとなっている。

基準排水量 182 t
全長 43 m
最大幅 7.5 m
深さ 4 m
主機 ディーゼル 3 基, ウォータージエット 1 基
速力 35 kt
航続距離 600浬
兵装 13mm単装機銃 ×1(不審船事件に対応する為、20mm機関砲に換装している船もある)

巡視船 PS01 みはし型


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巡視船 PS11 みずき(PS06びざん型) 平成12年6月9日 福岡
領海警備を考慮して建造された、180トン型巡視船。PS01みはし型の改良型で、より長期の連続行動が可能なようにされている。

基準排水量 197 t
全長 46 m
最大幅 7.5 m
深さ 4.1 m
主機 ディーゼル 3 基, ウォータージエット 1 基
速力 35 kt
兵装 なし(不審船事件に対応する為、20mm機関砲を搭載している船もある)

巡視船 PS06 びざん型


巡視船 PM95 あまみ (PM95あまみ型) 平成4年9月28日 名瀬
周辺海域の領海警備を目的として建造された、新型の、350トン型巡視船。
従来の中型巡視船が、排水型の船で有るのに対し、半滑走型の船型となっている。そのため、7kt以上高速となっている。
船尾のスリップウェイでの、搭載艇の発進揚収が出来る。
マストは船橋後部にあるのが主マストで、船橋前部の1本マストは、航海灯用。
船橋前部の1本マストは、PM95 あまみ 、PM96 まつうら は、3段式の高いものだが、PM97 くなしり 、PM98 みなべ は、1段式の低いものとなっていて、より、スマートな印象となっている。
煙突は、船橋構造物後尾に、ちょこんと置かれている。

基準排水量 249 t
全長 56 m
最大幅 7.5 m
深さ 4.1 m
主機 ディーゼル2基
速力 25 kt
兵装 20mm多銃身機銃×1
巡視船 PM95 あまみ型


p1623016 border=0 (写真はDDG176ちょうかい)
DDG173 こんごう  平成5年3月25日 第2護衛隊群 第62護衛隊 佐世保
護衛艦 DDG173 こんごう型

R0003017 border=0 (写真はDD154あまぎり)
DD152 やまぎり 平成1年1月25日 第2護衛隊群 第2護衛隊 佐世保
護衛艦 DD151 あまぎり型

 【海上警備行動】 自衛隊法第82条に基づく措置。防衛庁長官は、海上における人命もしくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。この場合の措置は船舶停止、船路変更などを行うことができるほか、警察官職務執行法第7条を準用する形で武器も使用できる。


、海上保安庁が威嚇射撃をした事例としては、一九五三年八月八日、北海道・宗谷岬沖で旧ソ連のスパイ船に対して威嚇射撃をした時と、前回の能登半島沖の2例。

昭和28年8月8日、稚内海上保安署は、ソ連工作船が工作員を迎えに来るとの情報を入手し、巡視船「いしかり」「ふじ」を配備し警戒していたところ、ソ連漁業巡回船ラズエズノイ号が知来別海岸に接近中であるのを発見、「ふじ」の停戦命令を無視して火器を使用、逃走をはじめた。これに対し、「ふじ」は自動小銃及び拳銃により応戦、ソ連漁業巡回船ラズエズノイ号船長以下全員を逮捕する事に成功した。
−海上保安庁50年史−より



Soviet/Chi-Com Rocket Propelled Grenade (RPG-7)
旧ソ連、共産圏 ロケット榴弾 RPG-7
有効射程、固定目標には約500m、移動目標には約300m。
12インチの装甲綱板の破壊能力が有るとされる。
中東、ラテンアメリカで、テロリスト組織によって広範囲に使われている。
外観は、陸上自衛隊で使用している、110mmロケットランチャー なんかに似ているらしい。

有効射程の数字は、と言うより、もともと地上戦用の兵器ですから、自分も相手も、ぷかぷか揺れている海上では、どこまで飛ぶかより、ちゃんと狙えるかと言う事がポイントでしょう。100m離れたら、難しいのではなかろうか。手持ちの照準ですから。

本兵器は、対戦車用ですから、当たれば相当の破壊をした事でしょう。
船体なら、かなりの浸水、場合によっては沈没の危険も。

攻撃の要素としては、破壊力と共に、命中精度が要求されます。
脅かしの意味なら、何でもありですが、当たらなければ・・。
地上戦用の武器は、接近戦でないと、威力はありません。
飛ぶ範囲内ならは、まぐれ当たりの効果は0ではないでしょうけど。

なもので、艦対艦兵器として、使えるかというと、とても射程が足りません。
が、今回のような接舷阻止とか、破壊工作としては、十分使えるでしょう。

その意味では、敵さん特殊部隊と言えども、海戦の要を知らないのか、
日本がホンマニ当ててきたからパニックになったのか。

しかし、そのような武器を積んできているのですから、奴等は本気と言う事です。
軽はずみな、強行突入検挙論など、世界には通用しないと言う事です。
接舷乗船を果たしていたら、もち、白兵戦です。
我が方には、相当の覚悟を必要とします。

海上保安庁は、文字どおり、全力で我が国を外的から守ってくれています。


雑感

「日本政府の毅然とした態度」これも、もっともな事です。
かつての謝罪外交、八方美人外交からは、考えもしない今回の対応です。
今回の海上保安庁の対応について、私は基本的に支持しています。
しかし、今後、全てについて、この調子でやってしまえば良いかというと、慎重に考える必要が有ります。
外敵には対処する必要が有ります。
しかし、その為には、前線で命を張っている方々の存在も考えなければなりません。
そしてまた、浸透したテロ行為による、国民への直接的損害も視野に入れる必要が有ります。
これは「命を惜しんで強盗の言うがままになれ」と言うような事ではありません。
必要の無い犠牲は、出さないほうが良いし、
発生する代償は、きちんと受け止め覚悟をしなければなりません。
その意味で、我々は、慎重に考える必要が有ると思います。

今回、海上保安庁職員の方に(殉職する)犠牲者がでなかった事は、奇跡的とも言えます。
前回の不審船事件の時「なぜ押さえられなかったのか」と、声高に叫ぶ国民が多かったのですが、私は、安易に突入すれば、相当の犠牲を伴うので、政府のコンセンサスの無い当時の現状では、逃げられて良かったとさえ考えていました。
武器を強化し、艦船を揃えればすむと言う事ではありません。
今回、既に情けなくも、某国会議員が、異を唱えているようです。
−ならばなぜ、国会の議論の中で結論づけなかったかの責任を問いたい−

「いいぞ、やっちまえ。今度は護衛艦の出動だ」といきまく方々もいらっしゃいます。
ネット上で、我こそ世論を代表して みたいな書き込みをしますから、報道よりもおっかないです。
しかし、子供がテレビのヒーローアニメで喝采しているわけではありませんから、為政者がその調子でやられては、国を危うくします。
艦船が活躍するのは、私も趣味として嬉しいものですが、
実戦として、兵は動かないに越した事はありません。

シビリアンコントロール。
これは旧軍暴走に対する、文民統制を前提に、平和を言っています。
国民が、為政者が、「やっちまえ」と考え、発動すれば、
それは、正しくシビリアンコントロールの元での戦闘です。
この場合、無駄な犠牲と知りつつも、シビリアンコントロールに従い、
敵味方双方に多大の犠牲を強いる、兵の立場。
言葉の真意は正しく見つめる必要が有ります。

本件を、警察行動と考えるか、軍事行動と考えるかがテーマのようです。
飛行機には、航空自衛隊がスクランブルするが、海の場合は、海上保安庁で、海上自衛隊は先ずは動けません。
この辺りの構造を、抜本的に見直す必要があります。

扇大臣の認識(情報)不足も、確かだが、そこまでの認識も難しいくもあり、今回の場合は、色々整備されて良い方向に行くので、結果オーライかと考えます。
単純には、やはり9時間はかかりすぎと思うだろう。
ま、それを言うなら、米軍発見から3日経過しています。
誰かがゴルフで不在とか言う事ではないので、問題点をチェックし、次へ備えて頂く事です。
野中さんの「900名も乗っているイージス艦の派遣」よりは、遥かにましです。

海上保安庁船舶は商船構造で水密区画等も甘いと言われるが、甘いというより、元来、戦闘用ではありません。
PLH31しきしま、PS201つるぎ型3隻は考慮されています。
逆を言うと、船体防御は一般商船より(時化等に対して)沈みにくい程度。
装備状況は、うすうすは思っていたが、PMあまみ が防弾ガラスでなかったのは意外で、PSは突入を考慮している分防弾装備をしているようです。

ちまたに「想定外の攻撃」とあるが、確かに私も、そんなものまで持ってきてたのかと思うのだが、手投げ弾程度の想定は十分認識しているはずで、
海保の観閲式でも、不審船制圧訓練で、銃や手投げ弾使用しています。
まさか「模擬弾は中間地点で空中爆発、犯人は番組時間内で降伏」なんて考えてはいないだろう。
その意味では、刺し違えるなどの行動をとらなかったのが幸いでした。

前回、取り逃がしたなんだと大騒ぎしていましたが、あの時逃げられなかったら、どれほどの損害が出ていた事か、ようやく世間に分かった事だろう。
敵は、軍事行動レベルという事です。
これに対して、防衛出動するか、警察行動させるかで、考え方が変わります。
防衛出動掛けると、内外に別の問題がからむ恐れがあります。
警察行動なら、防御力強化の船を増備する必要があるでしょうが、攻撃(射撃)力は、現状でも良いと思っている。当初から撃沈を前提とするなら別だが、やはり警察行動の範囲であれば十分だろう。
今回、機関砲射撃など、なかなかのものと思えます。

相手のレベルをどう認識するか、見詰め直す時期だろう。
侵略と考えれば、対応法方が変わります。

装備については、その用途と共に考える必要が有ります。
アメリカのコーストガードは、3インチ砲や、対艦ミサイルのハープーンの搭載能力も有るが、これは戦時予備任務を明確にしており、また、戦闘海域での警察活動も行う為です。
ロシアの国境警備隊などは、明らかに国境守備軍です。
我が国の場合、自衛隊の存在自体が、まだあいまいだったりで、海上保安庁との担当分担ができていない。その意味では、領空侵犯との対応の差が不自然です。

海上保安庁の任務は、警備救難なので、また、国内世論で拳銃使用はやはり、正面では語れない要素ではあります。
今回の結果として、予算も出るでしょう。


報道内容

(12月22日15:18)YomiuriOnline
http://www.yomiuri.co.jp/04/20011222it06.htm
奄美沖の不審船に威嚇射撃
画像: 奄美大島の北西約250キロの東シナ海を逃走する不審船(海上保安庁提供) 
 鹿児島県・奄美大島の北西沖で22日、不審船が発見された事件で、海上保安庁の巡視船「いなさ」は午後2時36分、不審船が停船命令に従わないため、上空に向け威嚇射撃を行った。射撃は20ミリ機銃で計6発行われた。 
 また、同37分には2度目の威嚇射撃を行った。 

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(12月22日16:52)YomiuriOnline
http://www.yomiuri.co.jp/04/20011222i208.htm
東シナ海に不審船、停船命令に従わず
 22日午前、鹿児島県・奄美大島北西約240キロの東シナ海の排他的経済水域内で、不審な国籍不明の船舶が航行しているとの連絡が防衛庁から海上保安庁にあり、海上保安庁の航空機が確認した。海上自衛隊の艦艇と海上保安庁の巡視船が急行し、巡視船が午後1時14分、奄美大島の西北西約320キロの海域で停船命令を出したが、船舶は応じず、そのまま逃げた。巡視船など20隻が追跡している。 
 首相官邸別館にある内閣危機管理センターには、22日昼ごろから、杉田和博内閣危機管理監、大森敬治官房副長官補やスタッフが集まり始め、不審船に関する情報収集と分析に当たっている。 
 日本の近海では、1999年3月に、新潟県佐渡島近くの日本海で国籍不明の不審船2隻が見つかり、海上自衛隊が初の海上警備行動を行った。この際は、護衛艦が5インチ砲で警告射撃をしたが振り切られ、2隻は北朝鮮の港に入港した。 
 また、今年2月には、福岡県沖ノ島沖の玄界灘を航行中の貨物船が見つかり、海上保安庁による立ち入り検査で中国人とみられる67人が船内に隠れているのが発見されている。 
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(12月22日17:08)YomiuriOnline
http://www.yomiuri.co.jp/top/20011222it07.htm
不審船に向け発砲、命中
 鹿児島県・奄美大島近海で発見され、逃走中の国籍不明の不審船に対し、22日午後4時16分、追跡中の海上保安庁の巡視船「いなさ」は、警告の上、船尾に向け20ミリ機関砲で射撃を実施、船体に命中した。 
 巡視船が警告射撃ではなく、船体射撃をしたのは初めて。 
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(12月22日19:36)YomiuriOnline
http://www.yomiuri.co.jp/top/20011222it07.htm
不審船が停船、巡視船接舷
 鹿児島県・奄美大島の近海で見つかった国籍不明の不審船を追跡していた海上保安庁の巡視船団は、午後6時52分、不審船を停船させた。巡視船「きりしま」が接舷している。 
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2001年12月23日 スポニチOSAKA
不審船を射撃!沈没 巡視船の2人発砲され負傷
◆ 東シナ海、停船警告を無視 逃走 ◆
 鹿児島県・奄美大島北西の東シナ海で22日、国籍不明の不審船が発見された。不審船は海上保安庁の巡視船の20ミリ機関砲による威嚇発砲で炎上、一時停船したが、午後10時13分ごろ奄美大島大山崎灯台の西北約390キロで沈没した。沈没前に不審船の乗組員が巡視船に向け発砲、乗員の2人が腕などに負傷した。不審船は中国船との見方も出ているが、海上保安庁は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船の可能性もあるとみて調べている。
◆ 炎上後また逃走 ◆
 巡視船と撃ち合いになり、操舵室に直撃弾を受けた不審船があっという間に沈んだ。巡視船2隻が接舷、乗り込もうとした瞬間、不審船の操舵室の後方で毛布にくるまっていた2人が突然発砲、これに応戦したものだった。
 風速約12メートル、5メートル前後の波が立つ大しけの東シナ海。不審船の乗組員15人が船外に放り出されたが、巡視船による救助活動も救命用浮輪を投げ入れる程度。第10管区海上保安本部は15人が抵抗する危険性があると判断したからだった。巡視船ではあまみの金城良武航海長(49)が右ひじを、長友良治航海士(54)が左手の甲を撃たれた。
 「ウォーニング・ショット(警告射撃)」英語や中国語などで停船を命じたにもかかわらず、無視して排他的経済水域を航行する不審船はジグザグ航行を繰り返し、近づいた巡視船「いなさ」の船体も損傷させた。たび重なる停船の警告を無視したため、いなさの機関砲が船体に照準を合わせて射撃を行ったのは、午後4時16分。11回にわたって射撃を繰り返し、現場海域にいた他の巡視船もこれに呼応。ほぼ全弾が命中し不審船は炎上、巡視船がはさみ込んで接舷を試みたが、鎮火後にそれを振り切り南へさらに逃走した。再度巡視船が追いつき、4隻で包囲したのは、午後6時53分ごろだった。
 防衛庁によると、不審船が最初に目撃されたのは、21日午後4時ごろ。積載している漁具が少ないなど、普通の漁船とは異なっていることから不審船と判断。左舷には「長漁3705」と書いてあった。航行速度は7〜10ノツト(時速13〜18キロ)だった。◆ 北朝鮮工作船か? ◆
 海上保安庁は不審船について、北朝鮮の工作船との見方を強めているが、防衛庁幹部も「火災を起こして一度停船した後、再び航行を始めるなど、中国の密航船とは思えない」としている。
◆ 軍事評論家、江畑謙介氏 ◆
 武力行使の目的は2つある。日本の領海外の排他的経済水域で停船命令に従わない場合に停船させることと、同じような事案を防ぐための抑止効果だ。今回の場合も船が沈没したのはショッキングかもしれないが、それは結果であって(武力行使をしたのは)当たり前だ。西へ逃げている点と「長漁」という船名を付けていることなどが2年前の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船と違う点だが、単純な密航船でもないように思える。今回の事件で、テロのように一つの国で取り締まるのが難しい武装集団が脅威であることが明らかになったといえる。
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2001年12月23日 スポニチOSAKA
海上保安庁、執念の追跡劇 厳寒の東シナ海
◆ 不審船沈没 最悪の結末に ◆
 大しけの東シナ海で22日、正体不明の船に対して執念の追跡を続けた海上保安庁。2年前、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船を取り逃がしただけに「絶対に止めたい」として、約20隻の巡視船艇を出動させた。船体に向けて初めて機関砲を発射し、不審船は沈没。「今度は逃げられないのではないか」と話していた首相官邸も、一気に緊迫した。
◆ 99年の北朝鮮工作船事件ほうふつ ◆
 冬の大荒れの東シナ海に青い船体は消えていった。日本側を丸1日、ほんろうし続けた国籍不明の不審船が22日夜、沈没した。必死に追い、威嚇射撃をした海上保安庁の巡視船に不審船側も発砲、「銃撃戦」の様相に。双方の乗組員が負傷したり海に投げ出されたりし、深夜にまで及んだ追跡劇は最悪の結果になった。
 大しけのため、不審船に接舷できず、こう着状態だった午後10時ごろ、海保の巡視船2隻が体当たり覚悟で不審船の挟み撃ちに入った。
 ところが不審船が発砲し、巡視船の乗組員が負傷。巡視船「いなさ」が正当防衛として射撃に踏み切った。沈み始める不審船。乗っていた船員15人が海上に投げ出された。
 最初の発見は21日午後4時ごろ。警戒飛行していた海上自衛隊のP3C哨戒機が奄美大島の北北西約150キロの海上で見つけた。
 青色の船体は国旗も掲げず、漁具も積んでいない。「普通の船と違う」。撮影して戻って解析した結果、過去に日本近海に現れた不審船と形状が似ている。疑念が強まり、深夜にもう1回飛んだ。
 22日午前1時10分ごろ、海上保安庁に防衛庁から「不審船が航行」の一報が入る。第10管区海上保安本部(鹿児島)の合同庁舎6階のオペレーションルームには「部外者入室禁止」のプレートが掛けられ、緊張が高まった。
 午前6時20分、海保の中型飛行機が確認した時には、不審船は奄美大島の北西約240キロの海上を走っていた。
 「このまま放置しても逃げていくだけだ」。昼を回った午後1時12分、巡視船「いなさ」が停船を命じる。汽笛、旗、発光信号に加え、スピーカーや無線を使い、英語や中国語で呼び掛けても応答がない。乗組員が時折、顔を出すだけで、西に逃げていく。
 午後2時36分、「いなさ」が20ミリ機関砲でまず空に向け威嚇射撃に踏み切る。それでも止まらないため、海面へ、そして船体への射撃に踏み切った。
 「(追跡できなくなる)他国の領海に入る前に、絶対に止めたい」と10管幹部。巡視船で挟み込もうとすると速度を上げられ、一進一退の攻防に。何個所にも銃弾を受け、出火もした不審船から乗組員が同日夜、姿を見せ、鉄パイプを掲げ抵抗の姿勢を見せた。
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2001年12月23日 スポニチOSAKA
政府「正当防衛」を強調 野党「過剰反応」と批判
 政府は22日、東シナ海の不審船が海上保安庁の威嚇射撃を受け沈没、海上保安官2人が負傷する事態になったことについて「正当防衛」との立場を強調している。だが、野党などからは、不審船への船体射撃を可能にした海上保安法改正を背景にした「過剰対応ではないか」と、海上保安庁の対応を問題視する声が出ることも予想される。政府側は、今回の不審船事件で船体射撃を行った法的根拠は、今年10月にテロ対策特別措置法とともに成立し、11月に施行された改正海上保安庁法ではなく、威嚇射撃の一環と説明している。「領海内でないことなど改正法の要件に当てはまっていない」(政府筋)との判断からだ。民主党の菅直人幹事長は22日深夜、「海保が領海外まで追っていくのも当然あることだ。結果だけで判断するのではなく、経緯をよくみる必要がある」と今のところ推移を慎重に見極める姿勢。だが安保強化策を次々と打ち出す小泉内閣に反発を強めている社民党などからは、厳しい批判が出る可能性が強い。
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(12月23日22:25)YomiuriOnline
不審船「中国船舶でない」…中国外務省
 【北京23日=浜本良一】中国外務省の章啓月・副報道局長は23日夕、鹿児島県奄美大島沖で起きた不審船事件に関して、「中国政府の主管部門の確認によれば、問題の船は中国船舶ではない。中国側は日本が東(シナ)海海域で武力行使したことに留意しており、同船が沈没し、乗員に死傷者が出たことに遺憾を表明する」との談話を新華社通信を通じて発表した。 
 章副報道局長はさらに、日本側に詳しい状況の説明を求めていることも明らかにした。
 党機関紙「人民日報」のインターネット版は23日、事件の概略を伝え、死亡した不審船乗組員の救命胴衣などにハングルが書かれていたことを報じている。 
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(12月23日23:09)YomiuriOnline
不審船に北朝鮮の影、対外強硬姿勢の表れ?
 【ソウル23日=河田卓司】東シナ海で沈没した不審船は23日、北朝鮮船である可能性が強まり、北朝鮮の「意図」が再びクローズアップされる事態となった。北朝鮮は9月の米同時テロ以降、対米・対南・対日批判を強めて自ら対話の門戸を閉ざし、先月末には南北非武装地帯(DMZ)で韓国側歩哨所に銃撃を加える事件も起こした。一連の動きは北朝鮮が当面は米韓日に強硬に対処していく方針に立ったことを示唆しており、朝鮮半島情勢は不透明感が強くなってきた。 
 北朝鮮はブッシュ政権の登場後、対米関係が悪化。特に米テロ事件後は自国が「テロ支援国家」に指定されていることに強く反発し、「反テロ戦争拡大を追求する米国は不当な口実を突き付け、わが方に挑発を仕掛けている」などと非難を強めている。 
 北朝鮮は韓国との関係では、韓国が米テロ後に警戒態勢を強化したのを「我々に対する挑発だ」と反発。10月に予定された南北離散家族の相互訪問を一方的に延期したほか、11月の第6回南北閣僚級会談も事実上決裂し、南北対話の再開の見通しは見えない。 
 日本との関係でも、自衛隊艦船のインド洋派遣を「アジア侵略戦争の銃を撃ちながら、犯罪的な過去を再現しようとしている」と非難。在日朝鮮人系金融機関の横領事件に対しても「在日朝鮮人への弾圧・迫害」などと反発している。 
 北朝鮮は昨年6月の南北首脳会談後は欧州諸国とも次々に修好し、米国との関係改善を目指し融和路線を進めていた。しかし、ブッシュ米政権が朝鮮半島政策を見直して強い立場に立ったのを受け、対外政策の調整に入り、特に米テロ事件以降は米韓日を挑発しながら揺さぶる従来の強硬路線に戻った可能性が強い。 
 北朝鮮はさらに今月8日には「米国の専横に対抗していた大国が、今日では米国の指揮棒に従って右往左往している」と中国、ロシア批判とも受け取れる論説も出した。 
 北朝鮮は来年2月には金正日総書記の60歳記念、4月には故金日成主席の生誕90年という重要行事が予定され、準備に入っている。ソウルの消息筋は「北朝鮮は国際的な逆風の中、当面は内部結束と重要行事の遂行を優先し、対外的には強硬な対応を続けていくだろう」と見ている。 
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(12月23日23:13)YomiuriOnline
不審船事件、韓国国防当局も強い関心
 【ソウル23日=浅野好春】韓国政府は23日現在、東シナ海での不審船事件について公式の反応を示していないが、外交通商省当局者は本紙に対し、ハングルが書かれていた救命胴衣をはじめ今後相当数の遺留品押収が見込まれることから、韓国製か否かの照会など「日本側から要請があれば、積極的に協力したい」と明らかにした。日韓の外務当局はすでに、非公式に接触を開始している模様だ。ただ、今後の調べで北朝鮮船と確認された場合、「日朝の関係悪化が南北関係に悪影響を及ぼす」(統一省筋)との懸念もある。 
 一方、今回の事件には韓国の国防、情報当局も高い関心を寄せており、国防省関係者は「(不審船の)逃亡パターンから見て、北朝鮮船と思われる」との見方を明らかにした。
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2001年12月24日 スポニチOSAKA
国籍解明へ不審船の引き揚げも
◆ 日本政府、徹底調査の方針 ◆
 東シナ海で不審船が巡視船との銃撃戦の後に沈没した事件で、政府首脳は23日、沈没した船の引き揚げもしくは潜水調査によって徹底的に国籍確認する意向であることを明らかにした。海上保安庁は同日、現場海域で行方不明になった不審船の乗組員約15人の捜索を続け、3人の遺体を発見し、うち男性の2遺体を収容。いずれもアジア系で所持品などにハングルが書かれていたことから船は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船の可能性が高まった。さらに銃撃戦の際に船から発砲とは違う大きな音がしており、船は自沈したという見方が強まっている。
◆ 2遺体収容…救命胴衣などにハングル ◆
 米同時テロ以降、厳戒態勢だったはずの”水際”。最新装備の巡視船を振り切ろうとしたのは北朝鮮の工作船だったのか。相次ぐ騒ぎに政府は徹底調査の方針だ。
 調べでは、収容した2遺体はいずれも救命胴衣を装着。うち1体の救命胴衣にサイズや材質をハングルで書いた札が付いていたほか、もう1体のジャンパーのポケットからハングル入りの菓子袋が見つかった。救命胴衣にはメーカー名も記されていた。
 ほかの1遺体は救命胴衣を着けておらず、発見後に沈んだため収容できなかった。収容遺体は航空機で鹿児島へ運び、死因を調べる。
 その後の調べで、不審船から巡視船を銃撃した乗組員は、甲板上の毛布にくるまった2人だけではなく、操舵(そうだ)室の中にもいたことが判明。このため、巡視船「いなさ」が正当防衛として不審船の船橋に186発の20ミリ機関砲を発射し、不審船は22日午後10時すぎ、沈没した。
 また不審船からの”反撃”で負傷した巡視船「あまみ」の金城良武航海長(49)と長友良治航海士(54)は「不審船には20―30メートルの距離から数百発撃たれた」と話しており、激しい交戦があったものとみられる。 海に投げだされた乗組員約15人は、約1時間後には6人の乗組員が長い棒のようなものにつかまり、漂流しているのが確認されたが、その後全員の姿が見えなくなったという。
 第10管区海上保安本部(鹿児島)と鹿児島県警は同日、捜査本部をそれぞれ設置。海上保安官を銃撃した殺人未遂容疑などで合同捜査する。
 現場海域の天候は回復しつつあり、保安庁は不審船乗組員の捜索を続行。海上自衛隊も警戒中だ。
 政府首脳はこの日、海域が水深約100メートルの比較的浅い大陸棚であることから、ダイバーによる調査か場合によっては船体を引き揚げ、国籍を確認する方針を明らかにした。
◆ 「伏せて弾よけ」 ◆
 負傷した巡視船「あまみ」の金城良武航海長(49)と長友良治航海士(54)は23日未明、ヘリコプターで運ばれ奄美大島の病院で治療を受けた。医師によると、2人は「伏せて弾をよけた。直接撃たれなくてよかった」と話していたという。病院に到着した際2人は制服、制帽姿で腕などに包帯を巻き、救急車から自力で降りて、救急入り口まで速足で歩いた。
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2001年12月24日 スポニチOSAKA
追い詰められて自沈か 不審船
◆ ”工作員なら自殺を図る”韓国公安関係者も指摘 ◆
 沈没した不審船について防衛庁幹部の中から「工作船の証拠を隠すために自分たちで船を沈めた可能性がある」と指摘する声が出ている。このほか韓国の公安関係者も「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船は、船を沈め工作員は自殺を図る」として、不審船が北朝鮮の船である可能性が極めて強いと指摘している。
 防衛庁関係者によると、20ミリ機関砲の射撃だけで100トン級の不審船を沈没させるのは、1カ所に集中的に砲撃を加えない限り難しい。一方、船底のバルブを開けて海水を注入することで自沈させるのは比較的容易で、保安庁の関係者も「あっという間に沈んだ」と証言している。
 1998年の北朝鮮潜水艇の韓国潜入事件で、乗組員ら9人が艇内で自決。96年にも、追い詰められたスパイ11人が集団自決した例がある。
 また87年の大韓航空機爆破事件で、犯人の金賢姫元死刑囚ら2人が逮捕されそうになった時に自殺を図っており、北朝鮮の工作員の多くは任務が失敗した場合は自殺するよう教育されている。
 北朝鮮情勢に詳しい高世仁・ジンネット代表は「工作船はここ数年、覚せい剤の密輸に使われている。北朝鮮西岸の南浦を出港して九州に向かったのだろう」と不審船の目的を推測。
 ただ今回の不審船は、工作船にしては速度が遅かったことや、逃走する際に西方や南方に向かったことなどから、海上保安庁などでは「北朝鮮の船としては不自然」との見方もある。
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(01.12.24)九州読売
http://kyushu.yomiuri.co.jp/special/fushinsen/f-news/f-news011224k.htm
北朝鮮船の疑い濃厚、救命衣にハングル 不審船沈没
鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海を航行中の不審船が第十管区海上保安本部(鹿児島)の巡視船と銃撃戦を展開した事件で、22日深夜に沈没した不審船から飛び込んだ約15人の乗組員のうち3人の遺体が23日朝、現場付近の海域で見つかり、うち2人が収容された。いずれも東アジア系の男で、救命胴衣などにハングルが書かれていた。十管は不審船が北朝鮮のものである可能性は極めて強いと見て、負傷した保安官2人に対する殺人未遂事件として鹿児島県警と合同捜査、乗組員の国籍や活動目的の解明を進める。
 十管などによると、不審船は22日午後10時13分に沈没。約10時間後の23日午前8時11分と同40分、沈没地点から約2キロ離れた奄美大島の西北西約392キロの海上で、赤い救命胴衣を着た2人の男と上半身が裸の男の計3人の遺体が漂流しているのをヘリコプターや巡視船が相次いで発見した。救命胴衣の2遺体は、巡視船が収容したが、上半身裸の遺体は収容作業中に水没した。
 収容の1人は茶色のセーター、黒色の防寒ズボン姿で、「ナイキ」社製の白い運動靴をはいていた。救命胴衣の内側の品質表示札(タグ)は、ハングルで製造メーカーの社名などが書かれていた。別の1人はオレンジ色のジャンパーなどを着用。ジャンパーのポケットの中から、ハングルで書かれた菓子袋が見つかった。2人とも、身元を特定するものや金銭類、武器類は所持していなかった。
海上保安庁は、船籍などについて言明は避けているものの、ハングル文字が見つかったことや、不審船が自動小銃や13ミリ機銃とみられる重火器を使用していたことなどから、北朝鮮船との見方を強め、遺体の身元や死因の特定を急ぐ。2遺体は23日夜、ヘリコプターで鹿児島市に運ばれた。
 不審船の浮輪や船体の一部とみられる板切れが浮かんでおり、回収し、活動目的の解明も目指す。
 不審船からの銃撃で負傷した巡視船「あまみ」の金城良武航海長(49)と長友良治航海士(54)は23日未明、ヘリコプターで鹿児島県名瀬市(奄美大島)の奄美空港に運ばれ、同市内の病院に入院。金城航海長は頭と腕に金属片計6個、長友航海士は腕に1個がめり込んでおり、どちらも1週間程度のけが。
 十管は23日、殺人未遂容疑で捜査本部を設置。鹿児島県警も同日、捜査に協力するため、「九州南西海域不審船捜査本部」を設置した。海上保安庁は同日午前、海上自衛隊第一航空群(鹿児島)に捜索救助のための災害派遣要請を行い、鹿屋航空基地所属の哨戒機P3Cも、捜索に加わった。
 不審船を追跡し、接舷行動に参加した「あまみ」「みずき」「いなさ」「きりしま」の四隻は、船体に損傷があることなどから捜索作業から外れ、鹿児島港に向かっており、24日午前中に到着する見通し。
 ◆船体引き揚げや潜水調査を検討
 政府首脳は23日、不審船が水深約90メートルの大陸棚に沈没していることから、船体引き揚げや潜水調査も検討する考えを示した。
 また、政府は24日、安全保障会議を開き、扇国土交通相が一連の経過を報告する。
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(01.12.24)10:48:04 九州読売
「こちらは撃たれているんです」 十管幹部苦渋の表情
 不審船の銃撃・沈没事件から一夜明けた23日、行方不明になった乗組員の捜索が行われる中、第十管区海上保安本部や地元の奄美大島では慌ただしい動きが続いた。
 ■十 管
 「遺体発見!」。午前9時過ぎ、同本部に捜索中の巡視船から連絡が入ると、待ち構えた職員や報道関係者の間に、再び緊張が走った。
 記者会見で銃撃戦の経緯を説明した黒木正・警備救難部長は、2人の海上保安官が銃撃された状況を説明する際には、顔をしかめてつらそうな表情を浮かべた。「なぜ(不審船の乗組員を)救助できなかったのか」と問われると、「こちらは撃たれているんです」と声を荒らげ、気色ばむ場面もあった。
 ■病 院
 国土交通省の泉信也副大臣は23日午後、奄美大島・名瀬市の県立大島病院に入院中の金城さんと長友さんを見舞った。
 面会後、「金城さんは疲れた様子だったが、長友さんは落ち着いていた」と説明。「負傷者を出したことは残念。ご苦労に感謝しています」と労をねぎらうと、2人とも「大丈夫です」と答えたという。
 ■名 瀬
 「こんなことになるなんて」。金城さんらが所属する名瀬海上保安部(奄美大島)で待機していた職員は、同僚が銃撃で負傷するという不測の事態に驚きの声を上げた。
 職員の1人は不審船の速度が遅かったことから、「工作船なら通常は、巡視船より速い。まさか銃撃を受けるとは思っていなかったのでは」と推測。沢井弘保部長は「今後さらに警戒を強めたい」と気を引き締めていた。
 ■海上保安庁
 東京・霞が関の海上保安庁では23日夕、坂本茂宏・警備救難部管理課長が会見に臨んだが、「収容された乗組員の遺体はアジア系」かとの質問に「私が国籍をしゃべると……」と言葉を濁した。坂本課長は、救命胴衣の内側のタグに、「ナイロン製」などとハングルで記されていたと説明したが、製造国やメーカー名は「そういうもの(札)があったということにとどめてほしい」と、詳しい説明を避けた。
 沈没船の引き揚げに関しては、水深が100メートル近くあり、「簡単ではない」と繰り返した。
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(01.12.24)九州読売
http://kyushu.yomiuri.co.jp/special/fushinsen/f-news/f-news011224a.htm
巡視船と不審船との銃撃戦の流れ
 22日
14:36 巡視船「いなさ」が停船命令に従わない不審船に、20ミリ機関砲で最初の威嚇射撃(以下、威嚇射撃はいずれも「いなさ」)
14:37 20ミリ機関砲で2回目の威嚇射撃
15:11 20ミリ機関砲で3回目の威嚇射撃
15:14 20ミリ機関砲で4回目の威嚇射撃
15:17 20ミリ機関砲で5回目の威嚇射撃
16:16 再三の威嚇射撃にも停船命令に従わないため、「いなさ」が不審船の船尾に向けて、20ミリ機関砲で射撃し、命中
16:58 巡視船「みずき」が、逃走を続ける不審船に20ミリ機関砲で船体射撃
17:23 「みずき」が再び20ミリ機関砲で船体射撃
17:24 不審船から出火、まもなく停船
21:35 航行を再開した不審船を「みずき」が20ミリ機関砲で船体射撃、不審船が停船
22:09 不審船が巡視船「あまみ」などに自動小銃か13ミリ機銃とみられる銃器で発砲し、海上保安官2人がけが。「いなさ」は20ミリ機関砲で船体射撃
22:13 不審船が沈没
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(01.12.24)九州読売
http://kyushu.yomiuri.co.jp/special/fushinsen/f-news/f-news011224l.htm
銃撃を受けた巡視船が入港
  鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海で、不審船が海上保安庁の巡視船と銃撃戦を展開した事件で、負傷者2人が出た巡視船「あまみ」は24日午前8時55分、鹿児島市の谷山港に入港した。操舵室などに銃撃を受けており、第十管区海上保安本部と鹿児島県警は、破損状況などを調べるため、合同で船内の実況見分を行い、乗組員から事情を聞く。「あまみ」に続いて、「きりしま」も入港。「いなさ」「みずき」も同港に向かっている。
 十管によると、「あまみ」は22日夜、不審船を停止させるため、接舷(げん)しようとして、乱射された。操舵室の強化ガラスがクモの巣状に割れ、監視カメラ、レーダーなども破損した。
 「きりしま」「いなさ」も被弾し、「みずき」は不審船に対する船体射撃を行った。
 十管と同県警は、海上保安官に対する殺人未遂容疑で合同捜査している
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(01.12.24)九州読売
http://kyushu.yomiuri.co.jp/special/fushinsen/f-news/f-news011224n.htm
不審船は小型ロケット弾発射  
鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海で起きた不審船事件で、海上保安庁の巡視船と銃撃戦を展開した北朝鮮籍とみられる不審船から、小型ロケット弾が発射されていたことが24日、わかった。 
 巡視船「いなさ」の乗組員の証言によると、不審船の甲板上には乗組員約10人がいたが、そのうち2、3人が、近くにいた巡視船「あまみ」と「いなさ」に向け、肩にかけていた小型ロケット砲をほぼ同時に発射した。砲弾は赤い炎を出しながら巡視船の真上を飛んでいったという。 
 小型ロケット弾は射程500〜600メートルで、ブリッジに当たれば粉々に破壊される威力があるという。これまで海上保安庁の船舶が、ロケット砲の攻撃を受けた例はない。この攻撃に対し「いなさ」が20ミリ機関砲で応戦、不審船は沈没した。 
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(01.12.24)九州読売
沈没の不審船、3年前の覚せい剤密輸船と酷似
 東シナ海で海上保安庁の巡視船の船体射撃を受けた後、沈没した不審船は、1998年8月の覚せい剤密輸事件に使われた北朝鮮籍漁船「第一二松神丸」と船型が酷似しており、これが海上保安庁が「北朝鮮の不審船の可能性が高い」と判断した大きな根拠となっていたことが23日、分かった。 
 3年前の覚せい剤事件は、日本側の密輸グループが東シナ海の公海上で、北朝鮮の船と合流し、覚せい剤を密輸しようとして200キロが押収された事件。この事件では日本人6人が起訴されたが、起訴状で北朝鮮籍の船と認定されている。 
 「第一二松神丸」は当時、操舵iそうだ)室の横に「日の丸」を描き、日本漁船を装っていたが、同庁などによると、〈1〉ブリッジの形がほとんど同じ〈2〉エンジンの煙が後方ではなく中央付近から出ている〈3〉ブリッジの上にアンテナがない――など、今回の不審船と特徴がほぼ同じだった。覚せい剤の「北朝鮮ルート」で使用され、明らかに北朝鮮籍とされた船と同型だったことが「船に銃を向けてもいい」というトップの判断に結びついた。
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(01.12.24)九州読売
「前方に中国船団」追跡4時間、挟撃作戦で逃走阻止
 鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海で22日起きた不審船事件で、海上保安庁の巡視船が不審船に対して船体射撃を始めた直後、付近に大規模な中国漁船団を発見、この中へ逃げ込まれないよう、さらに激しい銃撃を加えて停船させようとしていたことがわかった。この結果、巡視船側も多数の銃弾を浴びる銃撃戦となり、不審船は沈没、乗組員は海に投げ出された。現場では、特殊警備隊の到着を待つ間に、漂流していた乗組員が行方不明になるなど、次々と予期せぬ事態に見舞われていた。 
 ◆中国漁船団◆ 
 「不審船の前方に50隻程度の中国漁船団がいる」。追跡が始まってから約4時間後の22日午後4時51分、巡視船にこんな情報が飛び込んできた。不審船は既に中国のr他的経済水域内に入っており、巡視船「いなさ」が不審船の船尾に向けて最初の船体射撃を行ってから、約35分後のことだった。 
 別の巡視船「みずき」は、不審船が中国漁船団の中に逃げ込めば、漁船に危害を及ぼさないために武器の使用は出来なくなると判断。20ミリ機関砲で2度にわたり激しい船体射撃を行い、不審船は火を噴いた。 
 しかし、不審船は海水で火を鎮めると、約30分で航行を再開した。 
 午後6時40分に再び「不審船の半径6マイル(約11キロ)に30隻ほどの船影がある」との知らせが入ったため、巡視船「きりしま」が、なんとか停船させようと接舷を強行。それでも逃げようとする不審船に対し、「みずき」が船体射撃を加えた。 
 ◆ハチの巣◆ 
 午後10時、不審船の右から巡視船「あまみ」、左から同「きりしま」が近づき、挟み撃ち作戦が始まった。9分後、船同士が1メートルの近さまで迫ったとき、ブリッジ後部で毛布に隠れていた2人と、操舵(そうだ)室内の乗組員が突然、銃を乱射し始めた。 
 「あまみ」は、指揮所のある「ブリッジ」が標的になり、前面、左右の強化ガラス計8枚が割れ、ブリッジの外壁にハチの巣状の穴が開いた。中にいた2人が腕に負傷し、監視カメラやレーダーなど内部の主要な機器が破損した。近くにいた「いなさ」は船長室、機関室などに計14発を受けたほか、「きりしま」も少なくとも八発を被弾した。 
 「いなさ」は直ちに20ミリ機関砲による反撃を開始。同庁幹部が、「実際に相手が撃っており、こちらは身の危険を感じているわけだから、それを外して撃つことは考えられない」と語るように、標的は銃を乱射する乗組員だった。 
 巡視船の反撃により186発を浴びた不審船では間もなく銃撃がやみ、同13分、横倒しになって沈没した。巡視船の乗組員は、「銃の音とは異なる大きな音」を聞いている。不審船は自沈した可能性も出ている。 
 ◆自爆テロ警戒◆ 
 不審船の沈没後、乗組員約15人が首だけを海面に出して漂流していた。3人並んで棒につかまっているグループも2つ見えた。巡視船は浮輪を投げ、サーチライトで漂流者を照らし続けた。雨の影響で海は荒れており、180トン前後の小さな巡視船は、あっという間に100〜200メートル流された。 
 すぐに救出作業に入らなかったのは、相手が北朝鮮の工作員であれば、自爆テロを強行する可能性があるという判断からだった。この時、同庁の特殊警備隊がヘリで航行中の巡視船に乗り移り、現場に急行していた。同庁では特殊警備隊の到着を待って、夜明けとともに救出作業を開始する作戦を立てていたが、到着予定の24日午前零時前、15人の姿は見えなくなった。 
 この結果について、同庁幹部は、「韓国では捕そくされた(北朝鮮の)工作員が手りゅう弾で自爆した例もある。海上保安官の安全を考えれば、危険がないと確認できるまでは近づくなという指示は間違っていたとは思わない」と話した。 
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2001年12月24日(月)15時28分[時事通信社]
「反撃は正当防衛」=不審船沈没で10管本部長 
 不審船事件で第10管区海上保安本部(鹿児島)の横山鉄男本部長は24日正午すぎ、記者会見。「『あまみ』は不審船の停船と捕そくのための危険な行為を一致団結して果敢に実施したが、その結果不審船から銃撃を受けて乗組員2人が負傷するなど重大な被害が出た」と述べた上で「『いなさ』は正当防衛のための適切な措置を取った」として、反撃の正当性を強調した。 
 また、不審船の乗組員の救助については「漂流者から、手りゅう弾などの武器によって抵抗されるのを恐れ、(巡視船の)乗組員の安全を確保しつつ慎重に救助活動を行った。救助できなかったのは極めて残念」と述べた。 
 事件の教訓について質問が出ると、本部長は「挟撃による停船措置や銃撃などの手法について、今後十分な検討を行っていきたい」と述べるにとどまった。
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2001年12月24日(月)15時34分[時事通信社]
不審船事件に重大な関心=韓国外相 
 【ソウル24日時事】韓国の韓昇洙外交通商相は24日、東シナ海で発生した不審船事件について、「重大な関心を持って見守っており、日本政府とも接触を続けている。ただ、全体像は把握できておらず、事件について話すのは難しい」と語った。  
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2001.12.24 17:14 産経Webニュース速報
巡視船の発砲は590発。20ミリ機関砲が589発、小銃が1発。不審船射撃・自沈事件で第10海上保安本部発表。
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2001年12月24日(月)19時23分[時事通信社]
初動で認識の甘さも=「北朝鮮工作船」の可能性を軽視−不審船で首相官邸 
 海上保安庁の巡視船との銃撃戦の末に沈没した不審船をめぐる政府の対応は、初動の段階で首相官邸別館の危機管理センターが一時「もぬけの殻」の状態になるなど、事件への認識の甘さも露呈した。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船である可能性を軽視した節がある。最悪の事態も想定して対策を講じなければならない政府の危機管理に、問題を残したと言えそうだ。  
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2001年12月24日(月)19時43分[時事通信社]
不審船に計590発=逃走阻止と反撃で−海保巡視船 
 鹿児島県奄美大島沖で、国籍不明の不審船が海上保安庁の巡視船との銃撃戦の末に沈没した事件で、第10管区海上保安本部(鹿児島)の黒木正警備救難部長は24日夕、記者会見し、逃走阻止と反撃のため各巡視船の機関砲などから不審船に発射された弾数は、計590発に上ったことを明らかにした。 
 それによると、巡視船「いなさ」は20ミリ機関砲で366発を発射。このうち186発が、不審船から銃撃を受けた後の正当防衛での射撃だった。また、「みずき」は、不審船を追跡中に威嚇射撃で223発を発射。不審船から銃撃を受け、海上保安官2人が負傷するなど最も被害の大きかった「あまみ」も、乗組員が64式自動小銃を1発発射した。
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(12月24日20:16)YomiuriOnline
「不審船」で、北朝鮮いぜん沈黙
 【ソウル24日=浅野好春】ラヂオプレス(東京)などによると、北朝鮮の朝鮮中央通信、平壌放送、朝鮮中央放送など国外、国内向けメディアはともに、24日夜の時点で不審船事件について伝えず、沈黙を守っている。 
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2001年12月24日(月)20時20分[時事通信社]
対策強化へ武器使用緩和も検討=防衛庁・海保の連携見直し 
 小泉純一郎首相は24日、不審船が海上保安庁の巡視船と銃撃戦の末、沈没した事件で、類似事件の発生に備え、法整備も含めて不審船対策の強化を検討するよう指示した。これを受けて、政府・与党は領海外での海上保安官による武器使用基準の緩和などについて協議するとみられる。武装した不審船の追跡態勢や情報交換などで、海上保安庁と防衛庁の連携に問題がなかったかも検証する。 
 首相は同日午前の閣僚懇談会で、「法的な面と現実的な面を点検すべきだ。今後の事件にも対応できるよう、万全の措置を考えてほしい」と関係閣僚に指示した。記者団には「海上保安官にけが人が出て場合によっては死ぬかもしれないから、安全面などいろいろ考えないといけない」と強調した。
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2001年12月24日(月)20時42分[時事通信社]
船橋などに168発の被弾痕=レーダーなど破損−10管実況見分 
 不審船による銃撃で、「あまみ」など3隻の巡視船が受けた銃弾は確認されただけで計約168発に上ることが24日、第10管区海上保安本部(鹿児島)の実況見分で分かった。「あまみ」の被害が最も大きく、約132発の被弾跡が見つかった。 
 10管によると、「あまみ」は船橋の窓ガラスに約20発を受け、ガラスはクモの巣状に割れていた。このほか、船体の外板などに81カ所、マストなどに31カ所の跡が残っていた。これにより、レーダーなどの機器類の一部や警備救難艇が破損した。 
 また、「きりしま」と「いなさ」もそれぞれ船長室などに21発と15発の弾丸を受けた。「きりしま」は船体右側に被害が集中。「いなさ」は右側のエンジンが使用不能になった。  
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2001年12月24日(月)22時52分[時事通信社]
不審船、小型ロケット砲も発射=巡視船への銃弾、約170発 
 鹿児島県奄美大島沖の東シナ海で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)籍とみられる不審船が海上保安庁の巡視船との銃撃戦の末に沈没した事件で、銃撃戦の際、不審船が小型ロケット砲を発射していたことが24日、分かった。巡視船の赤外線カメラも映像でとらえていた。同庁は、外国での不審船のロケット弾使用例などから、この船が北朝鮮の工作船だった疑いが濃厚になったとみてさらに調べている。 
 被弾した巡視船「あまみ」など4隻は同日、第10管区海上保安本部(鹿児島)の専用岸壁に帰港。同保安本部の捜査本部が実況見分した結果、うち3隻に小銃などによる計170発近くの弾痕を確認した。また、「あまみ」の揚野豊文首席航海士(43)が銃弾の破片で左目に軽傷を負っていたことも判明し、けが人は計3人となった。  
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2001年12月24日(月)23時 2分[時事通信社]
別の1人もまぶたにけが=巡視船「あまみ」、負傷者3人に 
 鹿児島県奄美大島沖の不審船事件で、第10管区海上保安本部(鹿児島市)は24日、不審船に銃撃されて負傷者2人が出た巡視船「あまみ」で、別にもう1人も、まぶたの内側を負傷していたことが分かったと発表した。これで、不審船の銃撃で負傷した海上保安官は3人となった。  
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2001.12.24 23:48 産経Webニュース速報
首席航海士も左まぶたにけが。不審船銃撃・沈没事件。巡視船「あまみ」で小銃隊を指揮。事件での負傷者は計3人に。
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2001年12月24日(月)23時40分[時事通信社]
不審船、沈没直前の爆発を確認=自爆の疑い強める−海保が赤外線カメラの映像公開 
 海上保安庁は24日、航空機の赤外線カメラが撮影した不審船が沈没する直前の映像を公開した。この映像や、巡視船「いなさ」が赤外線監視装置でとらえた映像の解析から、不審船は沈没直前に1、2回の爆発を起こしたことが確認された。同庁は不審船が自爆した疑いをさらに強め、今後、第10管区海上保安本部(鹿児島)の捜査本部がさらに詳しく調べる。
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(12月24日23:58)YomiuriOnline
中国メディア、不審船で「対日非難」なし
 【北京24日=杉山祐之】中国政府は東シナ海での不審船事件について、23日に外務省報道官談話を発表した後、抑制的な姿勢を示している。中国にとって今回の事件は、同海の排他的経済水域(EEZ)画定や、日中関係全般、北朝鮮への配慮などが絡む微妙な問題であり、慎重な対応を期している模様だ。 
 共産党機関紙「人民日報」は24日、不審船が中国船ではないことを宣言し、日本の武力行使に懸念を表明した報道官談話だけを伝えた。東京発で事実関係を伝えるメディアはあるが、対日非難はない。在北京日本大使館に対する中国側の照会は、23日午後から途絶えたという。 
 不審船沈没地点が「日中中間線より西側の中国EEZ内」だったことから、日本側には中国の反発への懸念があった。だが、中国は現時点ではこれに触れていない。日中間のEEZは未画定で、中国は「中間線でのEEZ画定」との日本側主張を認めていないためだ。報道官談話は沈没地点を「中国領海から260キロ地点」と表現した。 
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(12月24日23:58)YomiuriOnline
不審船、日本の砲撃に韓国が重大な関心
 【ソウル24日=浅野好春】韓昇洙・韓国外交通商相は24日、「重大な関心をもって(事件を)観察中であり、日韓の接触が続いている」と語った。韓国の与党・民主党のスポークスマンも同日、「日本の巡視船が機関砲射撃で不審船を沈没させたことは、最近の日本の軍事力使用拡大の一環とも見られ、関心を持たざるを得ない」と談話を発表した。
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2001.12.25 00:05 産経Webニュース速報
追跡途中から反撃は覚悟。巡視船「いなさ」船長が会見。「射撃命令に身震いした」。機関室や船橋などに15発被弾。
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2001.12.25 00:22 産経Webニュース速報
不審船、沈没直前の爆発確認。海上保安庁。赤外線カメラの映像を解析。大小2回の爆発をとらえ自爆の疑いが濃厚に。
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新規作成日:2001年12月22日/最終更新日:2001年12月26日