北東アメリカの大規模停電と日本の電力事情
2003.8.14(現地時間)、ニューヨークを含む北東アメリカの広範囲の地域で、停電が発生した。
信号や街頭の電気はもとより、地下鉄などもすべて停電し、都市機能が停止した。
さて、これに関連して、原発停止に伴なう東京電力の電力不足問題とあいまって、我が国でも同様の事が起こることが、にわかに懸念されている。
が、実際はどうなのだろうか。
北東アメリカの大規模停電の原因は、現時点では分かっていない。
原因が分からなければ、同様の問題が有るのかどうかは定かではない。
が、「電力」と言う単語が一致するからと言って、同じ問題が有るとは限らない。
日本の電力事情はどうなっているのだろうか。
日本の電力は、北海道、東北、東京、中部、関西、中国、四国、九州、沖縄の各電力会社が、地域毎に分担している。
そして、各電力会社毎に、発電所、変電所、送電線、その他の設備を持っている。
電力供給は、基本的には、発電所−(高圧)送電線−変電所−(市中)送電線−変圧器−電線−需要先、と言う経路である。
電力供給網は、いくつかの方式が有るのだが、単に、このようなポイントからの直列線ではなく、網状となっている。
すなわち、1つの経路(送電線など)、あるいはポイント(発電所、変電所など)が機能停止しても、瞬間的に停電することはあっても、代替経路により、電力の供給は復活するのである。
もちろん、網状とは言え、周辺のポイントがすべて同時に停止した場合、その内側では停電してしまうが、これは(サイコロのゾロ目の発生確率同様)少なく、かつまたかなり限定された範囲であり、例えば東京23区が一斉停電と言うことはありえない。
また、東京電力の原子力発電所の操業停止時に懸念された電力不足の問題でも明らかにされたように、発電量の不足に対しては、周辺の電力会社や、電源開発の発電所からの供給により、ある程度の不足分は、まかなえる体制は取られている。
更に、JRの場合は、独自の発電所を持っており、元々が電力会社の依存が少ない為、同時の停電と言うことは少ない。
2003.8.17時点では、送電設備の老朽化が原因と言われる。
専門家の見解はしばらく時を待つ必要が有るのだが・・・。
ひとつの推測だが、
大規模な容量を供給する送電線が1系統ダウンしたとする。
このとき、この幹線の代替ルートがない場合、送電もとの発電所の能力は無効となる。
が、電力需要はそのままであれば、他の電力供給網に負担がかかる。
この先、負荷に耐え兼ねた、送電系統や発電所が次々にダウンすれば、残る設備への負荷が増し、ダウンが連鎖する。
もちろん、この様な共倒れとならないようなシステムが講じられているはずではあるのだが・・・。
新規作成日:2003年8月16日/最終更新日:2003年8月17日