KanonをD.CU〜朝倉家〜




 「音姉、どう?」

 「タオルが温くなっちゃったから水換えてきて。」

 「分かった。」



 声が聞こえる。女の子と男の子の声。あれからどれくらい気を失ったのだろう。それともここはあの世なのだろうか。



 「何はともあれ、ありがとうか。」



 意識を覚醒させ、体を起こす。結構厳しい状況だったが、魔術は上手く組めていたみたいだ。身体に異常は見あたらない。



 「駄目駄目、倒れたんだから。」



 そう言って胸に手が添えられた。倒れる前に目が覚めたとき問題ないように組んだのだ。異常があるはずがない。だからそっとその手に自分の手を添えた。



 「もう大丈夫です。いろいろご迷惑をおかけしました。」



 顔を上げると、痛みが走った。体は万全だが、過去視の方は未だに安定してない。添えて止めたというのに、そのままベッドへと戻される。そして彼女はにっこり微笑んだ。



 「お祖父ちゃんが倒れてたの見つけて、弟君が運んできたの。まだ本調子じゃないんだからもう少しゆっくりしなさい。」



 そうか、運ばれたのか。病院に運ばれなかったのは僥倖だ。もし運ばれていたら一家総出で集まり大事となってしまっただろう。第一発見者に感謝し、運んでくれた人に尚感謝。だがその前に看病してくれた彼女にお礼を言おう。



 「看病ありがとうございます。俺、相沢祐一と言います。」

 「どうもご丁寧に。私は朝倉音姫。調子はどう?」

 「時折頭痛が走るだけで大丈夫っぽいです。もう少し休ませてもらっても良いですか?」

 「ええ、弟君の親友だもの。」



 朝倉さんは眩しいぐらいの笑顔で微笑んだ。綺麗な人だな。こんな状況でなくても、少しは興味を覚えたかも知れない。



 「ここは朝倉さんの家なんですか?」

 「そう、私の家。ご家族への電話はどうする?」

 「父と母には電話は繋がらないと思いますので結構です。」

 「そう。」



 俺の言葉に朝倉さんの顔が曇った。コロコロ表情が変わる人だ。真っ直ぐな人だな。



 「今頃仲良く、食虫花でも育ててるんですよ。毎日毎日、とんでもないレポートが届くんですから。」

 「しょ、食虫花?」

 「父と母の専門は植物学で食虫花がお気に入りなんです。家には置かせてないんですけど、仕事場にはたくさんあるんですよ。」



 家はみんな祖父の血を継いでいるからか変わり者ばかりだ。食虫花も変な方だが、一つの分野にのめり込む人間も多い。家族としては微笑ましいが、父と母の仕事場の写真を見せたら、杏と茜が引いてたところを見ると、世間的にはやはりおかしい物なのだ。



 「祐一、起きたのか?」



 部屋に入ってきたのは義之だった。ちょっと待て。ここは朝倉さんの家なんだろ?何で義之がいるんだ?



 「何で、お前がここに?」

 「何でって俺は朝倉家に居候しているからな。教えなかったか?」

 「言ってないぞ。」

 「そっか。まぁ、そう言うことだ。」



 いまいち納得できないところがあるが、納得しないと駄目なようだ。



 「音姉、食事はどうする?」

 「お祖父ちゃんはどうするって?」

 「任せるって。」

 「ならすぐに作る。ゴメンね、祐一君。少し待っててね。」



 そう言って朝倉さんは慌ただしく部屋を出て行った。賑やかな人だ。



 「弟って言ってたけど義理?」

 「弟みたいなもんだよ。」

 「そっか。」



 結構複雑そうだが、本人はそれでも納得してやっている。これ以上突っ込んだところで、俺にも義之にも良いことだとは思わない。よいしょと言って、ベッドから降りる。過去視は安定し、体はすこぶる好調。かえって倒れる前より調子が良いぐらいだ。



 「あまり無理するなよ。」

 「さっきはちょっと朝倉さんに甘えてみただけだよ。殺しても死なないやつだって杏も言ってただろ?」



 カラオケの最中、杏は随分と義之と話してるようだ。ちょくちょく俺の方に視線が飛んできてたから、恐らく俺の話だったのだろう。そう言うとき大抵話すのは俺が無茶してきたことばかりだ。



 「喧嘩やるなら拳銃ぐらい持ってからやれだってさ。」

 「こう見えて、腕前では柔道6段、空手5段、合気道6段って感じだからな。悪いが、喧嘩では負けないぞ。」



 まぁ、喧嘩なんてもの今までしたことないが。それにしても杏、そんなことを教えてたのか。脚色されてないと良いが。



 「それにしても何で倒れてたんだ?」



 恐らく杏に、俺は非常識だから体が丈夫とか教わっているのだろう。




 「昨日の夜少し真面目に勉強しててな。そんな状態で桜を見てたら、いつの間にか寝ちゃったんだろう。」

 「寝不足からかよ。純一さんに呼ばれたとき、お前が倒れてたの見て焦ったぞ。」

 「そりゃ、悪かったな。許せ。」

 「はぁ、やっぱりお前は杏達の幼なじみだよ。」



 それはどういう事だろう。いまいち分からない。



 「それにしてもここ、お前の部屋だったよな?」

 「ああ。」

 「思えば同性の部屋って入ったこと無いんだよ。同世代ってこんな部屋なのか。」



 初めての同世代の同性の部屋に興味津々だ。ズラッと並ぶ漫画にそこそこ並ぶゲーム。噂で聞いているよりずっと綺麗な部屋なのは朝倉さんが出入りしたりするからだろう。サンプルとしては特殊な方かもしれない。



 「同性ってお前、随分と狭い交友関係なんだな。」

 「小さい頃はずっと祖父に勉強とか鍛錬とかだったからな。学校では杏と茜とぐらいしか付き合ってなかったし、二人とぐらいしか遊んでなかったぞ。」



 狭い交友関係と言ってしまえばそれまでだが、きっと誰よりも濃い関係ではあったと思う。まぁ、そんな狭い交友関係もめでたく今日で終わった訳で、これだけでもこちらに進学した価値があったかも知れない。



 「そもそもどんなことしてるんだよ、お前。」

 「あれ、杏は教えてないのか?俺、こう見えて結構学者してるんだぞ?家に帰ったらレポートチェックして、実験データと睨めっこして、新しい実験計画立てるんだ。そうだなぁ、俺の部屋はその手の資料で一杯で、本棚とベッドと大きな机だけだ。」



 それしかなくて俺の部屋に集まるのは嫌だと言われて、毎回集まるときは茜の家だ。おかげで茜のお母さんとはやたら親しくなって、時折ご飯を食べさせてもらったりする。そんなことばっかりだから同性の友達が出来ないんだろうけど。



 「お前、天才?」

 「人よりずっと早熟だっただけだよ。器としては大きくないだろうな。」



 だがそう思っていたところで、俺は一代で学者一家を作りだした天才相沢祐一の孫で、後継者なのだ。この事実は変えられず、押しつぶされないように生きないと行けない。思っている以上に辛いはずだ。祖父は本当の天才だったから。



 「おっ、このゲーム知ってるぞ。」



 そんなとき見慣れたゲームがあった。茜が好きなゲームでポップなキャラクターの対戦ゲームだ。コミカルな動きで戦う割に完成度が高く、祖父も結構気に入ってた。



 「ゲームとかやるのか?」

 「茜の家ではたくさんやったぞ。」

 「せっかくだ、対戦しようぜ。」

 「面白い。」



 義之がゲーム機を準備し、コントローラーが渡される。久方ぶりだと思ってると、俺の知っている音楽じゃない。少し不思議に思いながら説明書を見てみる。どうやら俺の知っているやつの続編らしい。



 「ハンデやろうか?」

 「いらねぇよ。」



 とりあえず強がるが、パッと見ていった限り、結構操作性が違うっぽい。さっそく戦いが始まるとコンピューターが狙ってくる。こいつ、結構強いな。昔はこっちで思考プログラムを作って、強くしてたのに。



 「何だ、何だ。ブランクか?」



 コンピューター相手で操作性を確認してると義之のキャラが走ってきた。このゲームは空高く打ち上げられたり、画面の外に追い出されたりすると負けだ。これらの条件をパスするために地道に相手の体力を削っていく必要がある。時には嵌め技を駆使していくのがこのゲームの必勝法。

 どうやら俺の知っている頃と違って、嵌め技に陥りにくいようなシステムが出来ているらしい。だがそれを確かめる前にやり合うのは敗北に直行するだけ。目の前にいたコンピューターを踏み台にして、一気に逃げる。義之は俺を狙ってるのか、執拗に追いかけてくる。逃げ切れるという考えは捨てた方が良いだろう。俺は記憶した説明書を反芻しながら、義之のキャラクターに相対する。そして気付いたら打ち上げられていた。知識があったところで、経験がなければこの手の物は何もならない。ポンッと復活して、先ほどやられたことをしてみる。だがやはりやってきた本人だけあって逃げ方を知っていた。つまりあのタイミングという訳か。それだけ分かれば十分だ。

 とりあえず逃げる振りをして、近づいてきたら打ち上げ、転んだところで投げ飛ばす。体力がほとんど無かったので、星になって消えていく。段々コツをつかめてきたぞ。とりあえず近くにいる鬱陶しい雑魚を倒して、ポイントを稼ぐ。



 「セコっ!」

 「雑魚から片づけるのが常勝への近道だ。」



 大抵俺達の対戦には何らかのペナルティーがあった。それを避けるために俺は勝ち続けなければならないのだ。



 「嵌め技かよ。」

 「先に仕掛けてきたのはお前だ。」



 慣れてしまえば変わらないもので、嵌め技とは言えないが、仕掛けてきたら確実にダメージを与えて、さっさと投げ飛ばす。



 「弟君、食事できたよ。あ〜、ゲームしてる!」



 朝倉さんが大きな声を上げる。ドンドンと歩いて、着いてたゲーム機を消した。



 「祐一君は病人でしょ!寝てなさい!」



 別に病人なんかではないのだが、その勢いに押されて、ベッドに戻る。いや、これじゃ駄目だろ。俺は寝転がる前のところで踏みとどまった。



 「朝倉さん、俺、大丈夫だよ。ほら全然問題ない。」



 そう言って元気らしいところを見せると、段々と顔が険しくなっていく。そう言えば祖父が言っていた。世の中にはとても心配性な人がいて、その人は自分が納得するまで許さないらしく、為すがままにされるという。このままではずっと眠らされかねない。助け船を呼ぼうとすると義之は固まっていた。役立たずめ。



 「相沢君は起きたのかな?」



 それは初老の男性だった。多分、今までの話しから察するにこの人が朝倉さんの祖父で、俺を見つけた純一さんなんだろう。

 非礼は相沢の名を傷つける。俺はベッドから起きあがり、頭を下げる。



 「助けて頂いてありがとうございました。」

 「もう大丈夫かな?」

 「お騒がせして申し訳ありませんでした。昨日は少し忙しくって、眠ることが出来なかったんです。」



 これは嘘だが、正直これ以上の物がない。少し調べれば俺がしょっちゅう眠っていることが分かるはずだ。



 「調子は良いみたいだね。どうだい?音姫が夕食を作ったんだが、一緒に。」

 「ご迷惑でなければ。」

 「音姫も良いね?」

 「あっ、はい。」



 純一さんが微笑むと険悪と言えた朝倉さんも大人しくなった。天に感謝しながら、純一さんに案内されて下のリビングに入る。勧められた席に座り、純一さんを観察する。

 この人、多分魔術師だ。何処までの魔術師か知らないが、特有の空気を感じる。そうか、これが義之に感じた違和感の正体か。今分かったことだが、義之、そして朝倉さんも同じ空気を持っている。魔術が使えるかどうかは別として、少なくとも魔術師の血を引いている。向こうは気付いてないだろう。少なくともこの感覚は過去視と言う魔術師でも一線を画す能力を持つ俺だから一瞬で気付けるものだ。



 「親御さんには電話したのか?」



 俺の隣に純一さんが座っている。この人は祖父に似ている。何処がと言うと答えにくいが、雰囲気が特に。



 「両親は学者で家には滅多にいませんので、電話をしても意味がありません。」

 「でも君が公園で寝てて運ばれたなんて知ったら心配するだろ?」

 「心配しすぎて帰って来ちゃうぐらいですよ。あまり迷惑を掛けたくないんです。」



 祖父の親しい人は祖父の死を受け入れがたいだろうが、一家のほとんどは祖父の死よりもまず俺の心配をした。俺が一番祖父の側にいたと言うだけで、自分の事をそっちのけにした。俺は自分の思ってる以上に愛されてるのだ。その期待に応えられるかは別として、少なくとも心配だけは掛けたくない。心配なのは俺の将来だけで良い。



 「ん、お客様ですか?」



 食事が並べられていると、女の子がやってきた。なかなか可愛い子だが、可愛いだけに緑色のジャージが浮いて見える。



 「彼女は?」

 「妹の由夢です。由夢ちゃん、弟君の友達の相沢祐一君。」

 「ども。」



 そうか、妹もいるのか。それなら朝倉さんと呼ばない方が良いな。とりあえず音姫さんと由夢ちゃんって事にしよう。



 「兄さん達が慌ただしかったのって相沢さんが原因だったんですか?」

 「公園で気持ちよさそうに寝てたところをこっちが勘違いしてたみたいでね。連れて来ちゃったんだよ。」



 どうやらそう言うことにしてくれるらしい。由夢ちゃんは少し怪しんでみてきたもののすぐに普通の視線に戻る。あまり気にする性格じゃないんだと思う。でなければジャージなんて着ないか。



 「ここまで運んで頂いただけでなくお食事まで。」

 「気にしない、気にしない。家も相沢君の所と同じで保護者が家を出張ることが多くてねぇ。この子達も随分と苦労してるんだよ。」



 そう言えば、先ほどから両親の姿が見えない。基本的にこの島は少しでも仕事が出来る人は本土の方に行く機会が増え、結果的に家を留守にしがちになると言う。並んだ料理を見てみれば、音姫さんがいかにこの手のことが得意か分かると言うものだ。



 「そうですか。でも若いときの苦労は買ってでもしとけと言いますし、音姫さん、素敵なお嫁さんになれますよ。」



 パッと見ではあるが、音姫さんは家庭的なことが得意そうだ。少々心配性な性格だが、それだけ人のことを考えられる優しい人だと言うことが出来る。見た感じ、同じ学生だろうから、学校では相当人気があるのではないだろうか。

 そんな事を思って言った訳だが、言った瞬間、義之が吹き出して、キツそうに咳き込んでいた。おいおい、食前だぞ。マナーが悪いな。



 「義之、食前だぞ。マナーを考えろ。」



 家は上流家庭からほど遠いが、マナーについては厳しく躾けられた。祖父は改まった場でないところでは適当な癖に、いや、適当だからこそ厳しかったのだろう。祖父の前であんなことやったらきっととびっきりの笑顔を向けられたに違いない。



 「ば、馬鹿野郎!お前がいきなり変なこと言ったからだろ!」



 変なこと?何か言っただろうか。思い当たる節はない。



 「俺、何か言ったか?」

 「音姉が素敵なお嫁さんになるとか言っただろ!」



 ああ、確かに言った。でも変なことだろうか。俺は率直な意見を述べただけだ。



 「美人で料理が出来れば素敵なお嫁さんだろ。何だ、お前、キャリアウーマンみたいなのがタイプなのか?」

 「話を逸らすな!」

 「まったく何が言いたいんだ。ねえ、音姫さん?」



 何が言いたいか分からないので、さっさと話しを流しましょうと音姫さんに振るが、音姫さんは大きなお皿を持ったまま固まっていた。ちょっと危なっかしいな。今日油断して倒れたため、少しだけ神経質になってる俺は固まっている音姫さんから皿を取る。結構重いな。音姫さんって力があるんだな。



 「あ、ああ、駄目だよ、祐一君。お世辞ばっか言って困らせるなんて。」

 「はぁ?それより随分と顔が赤いですよ。大丈夫ですか?」



 よいしょとお皿を片手で持ち、音姫さんのおでこにおでこを当てる。少し体温が高いな。女の人は体温はどちらかと言えば低いと言うし、風邪でも引いてるのだろうか。



 「キャッ!」



 突然、はじき飛ばされ、手に持ったお皿が零れる。っとまぁ、普通の人間ならばお皿の割れた音を聞くのだろうが、俺は瞬時に落ちたお皿を掴み、零れる料理、これがパスタだったのが幸いして、何とか溢さずに済む。うむ、調子が良いな。非常時の時の切り替えも完璧だ。



 「音姫さん少し熱ありません?無理は良くないですよ?」



 お皿をテーブルへと置き、なんだか顔が真っ赤な音姫さんに言う。先入観かも知れないが、結構責任感ありそうで無理しそうな人だよな。もっと強い言葉にした方が良いかもしれない。



 「調子が悪いなら無理しないでください。軽くそれ用の物を作りましょうか?」

 「け、結構です。ほ、本当になんでもないんだから。」



 精一杯拒絶して、座られる。俺の思い過ごしか。でもそれならそれでそんなに精一杯でなくても良いのに。音姫さん、美人なだけに結構傷つく。



 「あはは、祐一君の前じゃ音姫もたじたじだねぇ。」



 それはどういう事だろう。だが純一さんが楽しそうに笑ってみると、真実を知らず、満足してくれたことを喜ぶべきかも知れない。



 「でも本当に凄いですね。なんだか食べる方が気後れしてしまいそうだ。」



 並べられた料理は結構手が込んでいて、多分、これは日常の料理じゃないんだと思う。誰かのお祝い事だろうか。



 「今日は弟君、そして祐一君もだったよね?入学式のお祝い。」



 入学式のお祝いか。そう言えば祖父はこう言うのを欠かさない人だったな。あの世で俺の卒業式、入学式を祝えないことを悔やんでたりするのだろうか。



 「こんなめでたい場なんて、恐縮するな。」



 色々あったが、ほとんど初対面の人たちだ。そんな人たちの祝い事に参加するとなると流石に気後れする。



 「杏が言うにはどちらかと言えばイベントは主催する方らしいな。」

 「そうそう、杏も茜もあれで自分のことに対して無頓着だから....ってそう言う話しじゃないだろ。」

 「じゃあ、今日お前がカラオケを主催したから、俺が入学式のお祝いを主催したってのはどうだ?」



 そりゃ、論点のすり替えだ。俺が気後れする理由を無視してる。だが周りを見渡してみる。音姫さんや純一さんはニコニコしているし、由夢ちゃんもさっさとして欲しいといった顔をしている。みんないい人だし、気後れもすぐに感じなくなるだろう。ここは義之の言うことを聞こう。



 「じゃあ、義之が精一杯楽しんだ分だけ楽しませてもらうかな。」

 「おう。」



 みんなが幸せならそれで良い。



 「では義之君と祐一君の新しい門出を祝いまして、乾杯。」

 「乾杯。」



 新しい門出にそして新しい出会いに俺は乾杯した。