警察の検挙率の低い理由

かつては世界一といわれた日本の警察の検挙率も、今では地に落ち、主要先進国で最下位を争うていたらくぶりである。
2002.11. 警察庁では、検挙率が主要国最下位と言うレポートが、データの誤りで、実はアメリカの2割よりは上だったと言う事で謝罪した。
違うだろう、そんな低い検挙率自体、謝罪と改善に値しないのか?
最下位かブービーかのレベルを競っても仕方有るまい。

検挙率の低さの理由として、犯罪の多様化をあげている。
巧妙化、多国籍化する犯罪は、日本古来の単一民族の島国の安全性を崩壊させているだろう。
が、その状況に甘んじているだけでは、警察の存在は意味を成さない。

検挙率の低さの第一の要因は、は、現場到着能力の低さにあるだろう。
犯人が「お仕事中」に現場到着していれば、現行犯逮捕できるが、逃走後であれば、捜査活動が必要となる。
最近の犯人は、極めて巧妙で、短時間のうちに「お仕事」をかたずけてしまうが、対する警察の方は、時間を余しているのか、のんびりやってくる。
この遠因は、癒着防止の為の転勤により、地域密着型が薄れていることがある。
その為、110番通報時、110番指令センターでは、詳細の情報情報に努めている。
しかし、これが、残念ながら、機能していないばかりか、逆効果さえ生み出している。

事件が発生し、通報すると、現場の特定が必要だ。
住所や目標が必要となる。
しかし、通報する側が、このあたりを熟知し、警察の都合に合わせて通報することは困難である。
住所について、現場に住居表示があれば言うことはないが、付近になけいときに問題が生ずる。
少し移動した地点の住所を伝えることになるからだ。
また、目標物も曲者で、目標物の目前であれば良いが、向かい側とか、距離が離れていると複雑化する。

2003.3.15 警視庁水上警察署管内の事だ。
たまたまバスで移動中の10:00前、レインボーブリッジ一般道芝浦−台場間の出口手前約200m付近で、清掃車と二輪車の関係する事故が発生していたのを目撃した。
が、通報で駆けつけるべきパトカーは、出口外側の一般道路付近に停車し、現着不能状態である。
恐らく、事故関係者は携帯電話を持っていない為市街地まで出て来て電話したか、110番で住所を求められた為市街地に出てから、その住所を告げたものと推定されるが、いずれにせよ、現場と通報地点との差異について掌握できなくては問題だ。
こういう場合「誤報」として葬り去られる場合も多いので、職務遂行能力の乏しい職員はどんどん整理淘汰してもらいたい物だ。

2003.3 神奈川県警では、県警本部前の出来事に対してさえ、住所を求めてくる。
県警本部の住所がこちらでは判らないが、県警本部のほうで、目標を「県警本部」だけでは不足で、その住所まで必要なのか、と正すと、わかると言うことになった。
県警本部が目標にならないようでは、警察は無力だろう。

2003.3.31 警視庁荏原警察署管内でも、「品川区旗の台の、中原街道下り車線の長原陸橋手前で、道路を挟んだ向かい方にファミリーレストランのJがある」という通報にもかかわらず、かけつけた警察官は、「ファミリーレストランJの住所を指示された」と言うことで、ファミリーレストランJならびにその周囲をさがしていれば、向かい方の現場到着に不必要に時間がかかってしまう。

110番指令センターでは、電話が多くて処理しきれない、忙しいとのたまう。
が、1回の通報で、不必要な時間がかかっていると、何度も通報が必要となり、扱い件数何倍にもなってくる。

神奈川県警では、30秒に1回かかるほど忙しいと言う。
しかしだ、あくまで24時間に対して、総件数を割っているだろう。
ここで問題なのは、本来の扱い件数である。
1件の事件に対して、1回の通話で完了しているのであれば問題はない。
が、いい加減な対応で警官が現場に到着しなければ、再度110番するだろう。
すなわち、本来1回の110番通報で良いところに、2回3回かかってくれば、計算条件は異なるだろう。
仮に1日に2880件なら、30秒に1件だ。
が、もし、本来必要な通報が1000件であるにも関らず、3回通報が必要となっていたならどうであろうか。
本来は90秒に1件であり、はるかに「暇」になるはずだ。
忙しさはすなわち、職員の怠慢と無能により生成されているものである。


また、通報中に切れてしまい、情報不完全で扱えなかったと主張する案件も増えている。
携帯電話がよく切れると言う。
が、切れたから事件そのものも終わったと言うことではあるまい。
不必要に通話時間が長くなれば、通信事情により、通話不能となるリスクも増大するのである。

2003.3 神奈川県警では、県警本部前の出来事に対して、「県庁ですか」と3度も問い返す。
確認と言えば聞こえが良いが、耳が悪い、頭が悪いというレベルに等しい。

要点を手短に確認することも必要だろう。
が、瀕死の状態で通報しているとすれば、最期の一言を聞き漏らすことは許されまい。
110番指令センターでは、真剣みが必要だろう。

更にいくつかの問題がある。
2003.3.31 公園横に置き去りになっているアタッシュケースを「遺失物か不審物か不明だが」と言うことで警察官の確認を仰いだ結果、「こんな下らないもの」と言う扱いである。
あくまで、今回の結果として、下らなかったのも知れないが、なれば「不審物には手を触れずに通報を」と言うものとの整合性は何であろうか。
置き去りになっているものの不審の判断に、民間人が常識とすべき定義があるのだろうか。

事件に対する取り組みが甘いと言うこも、犯罪抑止効果が無くなっている理由でもあろう。
抑止効果が薄れると言うことは、犯罪者を誘引、犯罪助長していることにもなるのである。

抑止効果が高ければ、犯罪件数も局限でき、その僅かな事件であれば解決もしよう。
が、抑止力を失い、犯罪が起り放題で、かつ、現場に警察官がたどり着けなければ、犯人検挙はおぼつかない。
つかまらない犯人は、我が物顔で再犯を犯す。
悪循環を断ち切るのは、警察の、心と頭を入れ替えた必死の努力のみである。


2003.8.31 民放の特番の中で
奈良県警機動捜査隊の職員の談として
「110番通報で出動し捕まえるのは当たり前や。なにもない大勢の中からこいつやというのを見つけ質問し捕まえるのがプロや」
と言うのが有った。
おう、これぞ鑑たるべし。




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新規作成日:2003年4月2日/最終更新日:2003年8月31日