ぼくが誰かの卵なら、その誰かはさっきの鳥みたくぼくを守ってくれるんだろうか。
ぼくとずっといっしょにいてくれたのは誰だろう。
そうだ。 ぼくは風に聞いてみた。
「こんにちは。いつもぼくといっしょにいてくれるね。ぼくはあなたの卵ですか?」
風はぼくのまわりでくるくる回ってこう言った。
「あたしに卵はないのよ。あたしはいつのまにか生まれていつのまにか消えるの」
「そうですか。じゃあぼくはあなたの卵じゃない」
もしぼくが風の卵だったら、ぼくは風になればいいんだ。
でも違うから、ぼくは風にはなれない。
風がいつのまにか消えるのはさびしいな。 ぼくはちょっと、そんなことを思った。
ぼくは旅を続ける。
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