冷却水が漏れて炉心温度が上昇と言う設定なのだが、どうしてまず原子炉を停止しないのか、素朴な疑問。
ま、何か明示されない設定が有ったのだろうか。
いずれにせよ、潜水艦と言う閉塞環境での、手に汗握る緊張の展開と、一旦事故となった場合の乗組員の葛藤が見せ場である。
かつまた、実際の事故に直面し、勇敢に任務を全うした、ソ連海軍サブマリナーに合掌。
ソ連原潜の事故と言うと、概してソ連の弱体や、科学技術の未熟を言う人が多い。
しかし、科学技術と言うものは、その開発最先端では、試行錯誤の繰り返しであり、(当時としては)予期せぬ(後世にとっては愚かな)事故が付きまとう。
この時期(1960年代)においては、アメリカの原潜も2隻沈没している。
我が国でも、東海村で信じられないような臨界事故が1999年に発生しているのだが、K-19の事故から40年近く後世で、21世紀の声を聞きながらの事故である。
1961年と言えば、1945に第二次世界大戦が終結して僅か16年である。
K-19の事故の40年前と言うと、1921であり、まだ原子力が形として利用できる姿は見えていない。
そしてソ連は、いくつかの犠牲を伴いながらも、多くの宇宙飛行士を、宇宙空間に送り出し、生還させている。
対する我が国は、H2Aロケットが、やっと3基成功したと言う段階である。
K-19の事故は、ソ連だから起きた事故と言う安易な視点ではなく、科学技術の歴史もあわせて考えたいものだ。
参考
⇒ 原子力の雑学
⇒ なぜロシアをあしざまに言いたがるのか
新規作成日:2002年11月14日/最終更新日:2002年11月19日