心理療法(催眠療法)の受け方、選び方、治り方の部屋


|ホーム |目次・独白 |心理療法 |Q&A |駆け込み訴え |サロン

心理療法を受けに行く時から、終わる時までと、心がまえ

smiling cat

  もしあなたが何かトラブルをかかえていた時、それが法律に関したことなら弁護士のところ、体のことなら医者のところ、お金のことなら銀行か親?のところに相談に行くでしょう。
では、不安や性格の問題、人間関係の問題といったことならどうでしょう。
これなら誰にでも相談できますね。友人でも、先生でも、先輩でもいいでしょう。彼らは、自分の経験や考えにもとづいて、自分流のやり方を教えてくれるでしょう。
しかし、それがあなたに合うかどうか。つまり、彼らは自分の着ている服をあなたにくれますが、サイズや好みが合うかどうか、ちゃんと着れるかどうかは考えていません。(あわないと言うと、努力が足りないからだとしかられたりします。笑・・・・苦笑いです。自分が着れるから、ダメだといわれると自分を否定されたようで、少し怒ってしまうのです。)

  心理療法(今後特に断らない時は、催眠療法を含んで話しています)は、あなたに合った服、つまりあなたの心理状態や、あなたの特性に合ったやり方であなたを援助しようとします。少なくともまっとうな所では。
そうやって、あなたが自分流のやり方を見つけて自分のトラブルを解決できると、自分自身に自信が持てたり、ほかのトラブルも同時に解決できたりといった事もおきます。
また、心理療法では会話や暗示、トレーニングといった方法を使い、薬を使いません。精神科や心療内科に行くか、心理療法に行くかの分かれ目は、薬を使いたいかどうか、薬を使ったほうがいいかどうかによると思います。

  さて、あなたが心理療法を受けに行くと、あなたはクライエント(client)と呼ばれます、患者(patient)ではありません。心理療法の世界では、ある客観的な基準に照らして、それより劣っているとか、患っているとかという見方はしません。あなたは、あくまでちゃんとした人で、心理的なトラブルのために不都合を感じて、それをなんとかするための援助や、解決法を知りたいと依頼してきた人つまり依頼者(client:クライエント)ととらえているのです。
それに対してセラピスト(療法家またはカウンセラーのこと)と呼ばれる人が、あなたの依頼に答えていくことになります。法律の問題で弁護士のところへ行くのと、風邪をひいて医者のところへ行くのと変わりはありません。

smiling cat

  最初の面接は、インテーク面接となります(病院でも同じです)。この面接で、どんな相談なのか、あなたはどんな人で、どんな環境にいて、今まで何をしてきたのかといったようなことを聞かれます。
時に心理テストをしたり、生育歴などを詳しく聞かれたりもします。病院の場合はかなり強制的な感じもしますが、心理療法の場合は「やりたくない」、答えたくなければ「今は言いたくない」と答えていいと思います。それをやらないとセラピーができないとおどかされたら、言うことにするか別のところを探すかですね。
あるいは、「テストをしなくても本人が目の前にいます。」とか、「過去のことを話して偏見をもたれたくありません。」とか言ってもいいかもしれませんが、そう言うと自分を否定されたようで、怒り出すセラピストもいるかもしれませんので、まあ少しはじょうほしてはどうでしょう。

  そういった情報をもとにセラピストは、あなたの依頼に対して役に立てるかどうかと、今後の見とおしなどを探ります。もし、この時、役に立てないといわれてもどうか落ち込まないで下さい。どのセラピストにも得意不得意はあるものです、むしろ正直に言って頭を下げるセラピストというのも誠実でいいかもしれません。しかし、プロですから難しい問題にも専門家として立ち向かってみて欲しい気もします、なぜなら相談に来ている * あなた * という力強い味方がいるのですから。
それから、通う回数や料金、やり方などについて説明を受けます。料金や回数は、初めから決まっている所もありますし、選べる所もあります。料金の払い方も毎回支払うところと、まとめて払う所もあるでしょう。

  やり方については、希望があるなら伝えておきましょう、セラピストによってはそれは重要な情報となります。依頼者の意思に添うことが、良い解決の近道になることを知っているセラピストもいるものです。特に希望がなくて、やり方の話しを聞いてもよくわからなければ、疑問に思ったことだけたずねておきましょう。それで納得がいったら、いよいよセラピーの始まりとなります。
セラピーをやっていくなかで、疑問や質問が出てきたら、なるべく率直にたずねましょう。心の中に抱えたままだと、そのこころをあつかっているのだから、じゃまになったり、セラピストの方では思ったように進まないので、首をかしげたりすることになります。あなたも、いつのまにかわかってくれないセラピストに、反感を抱いたりしてしまうかもしれません。

  相談が始まると、やり方は心理療法の種類によって違ってきます。
催眠なら催眠誘導が始まるかもしれません、カウンセリング(正式には来談者中心療法)なら、いろいろ話してみるよういわれるでしょう。同じ話すのでも分析では、あなたの深層を探りながら聞いているでしょう。また、夢の分析もあるかもしれません。
それにたいして、行動療法や、指示的な療法の場合、何かを実際に(時にはイメージで)やるよう指示されるでしょう。その他、心理療法の種類やセラピストによって様々な方法が取られます。

smiling cat

  いずれにしても、それはあなたとの共同作業といったものになります。
つまりあなたは、それに対してちゃんと実行したり、その結果を報告したり、質問に答えたり、内面を探って報告したりするということです。これについてフロイトはこんなふうに言っています。『セラピストは地図を持っている。クライエントは実際に歩いていて、自分の見えるものを報告する。セラピストはそれを聞いて、どこに行けばいいのか指示をする。』
いかにも分析ふうのこたえですが、まあそんなところです。

  そうやって、セラピーは進んでいき、どこかの段階で問題が解決したり、その糸口をつかむことになります。
めでたく解決すると、後は終結に向けて何度が面接が必要かもしれません。人間関係というものは(心理療法も、特殊な人間関係のひとつです)、自分の心の一部を相手に預けるような物です。長期間の一定した関係を切るというのは、思っているよりもとても難しい時があります。
通う回数が多かったり、分析タイプの心理療法のように、濃密な関係を作り出すようなやり方の場合、終了のための面接が必要になります。急な中断は、不安を呼び起こしたり、何かの症状を作り出したりすることがあるためです。

  回数が少なかったり、行動療法的なタイプの心理療法では、セラピストとの関係が割とドライなので、多分もっと簡単でしょう。
後は、実生活の中で、自分の状態を感じてみることです。実は、心理療法の終わりは、すべての解決の終点ではないのです。本当の解決の出発点にすぎないのです。

  心理療法の中での解決というのは、あくまで種でしかないのです。芽を出させ、花を咲かせ、実を結ぶというのは(本当の解決というのは)、実生活の中で、あなたがつかんだものを実際に使い、修正し、形にしていくということなのです。
そういうわけで、完全に解決するまで心理療法を受け続けるというのは、あまり賢明ではないかもしれません。それは、通っている間はよくならない、と言いかえることもできると思うのです。つまり、永久にかよいつづける・・・・。ちょっと寒いですね。

smiling cat

  さて、ここでひとつ言っておきたいのは、いろんな相談所を渡り歩いて、本気で解決しようとしない行為を、ドクターショッピングといったりしますが、自分に合ったセラピストを探しているのなら、悪いことだとは思いません。
ただ、「なんとか療法」と、新しい療法が出るたびに、それをショッピングするのはいただけません。なぜなら、解決に導くのは、理論ではなくセラピストの力量や、セラピストとクライエントの相性といったことの方が、大きな要素なのです。

  同じ理論に基づいていても、セラピストによっては成果の出方が違います。違う理論による二人のセラピストが、同じやり方で成果をあげたりします。
基本は、セラピストの経験と洞察力、柔軟性と想像力、クライエントとの相性という事です。
理論は、研究のため、そのセラピストの自分のやり方の整理のためです。けして、理論がトラブルを解決するわけではないのです。

  そのいい例は、ミルトン・H・エリクソンの中に見ることができます。
彼は自分の理論を残しませんでした。残っているのは、何をどうやったかという実践の記録だけです。彼は、理論の代わりに驚くべき成果を残しました。
彼はこう言っていたそうです。『理論にクライエントを合わせてはいけない、クライエントに合わせて理論が作られなければならない。ベッドにあわせて足を切ったり引っ張ったりするのではなく、身長に合わせてベッドを作るべきだ。』言い方は違いますが、こういった意味のことです。
だから、ドクターショッピングは、あくまで自分に合ったセラピストを見つけるため、新しい療法は、あるセラピストの、自分のやり方の宣伝でしかないのです。

smiling cat

さて、以上のことを踏まえて楽しいセラピーにお出かけ下さい。

ここから先はQ&Aになります。少しずつ、よく出る質問に答えていきたいと思いますし、問合せやご意見があれば答えていきたいと思っています。


|ホーム |目次・独白 |心理療法 |Q&A |駆け込み訴え |サロン

  お便りはfromiras@hotmail.comまでよろしくお願いします。