第1話
ああ,楽宮1
楽宮は最初,すごいやなイメージだった。
だって,入り口横の北京飯店ときたらとんでもなくくた
びれたバックパッカー使用後!みたいな日本人がいつも
たまってて飯を食いながら店に置いてある週間ジャンプ
(何年前の?)とかをボーっと眺めてたりしてて,もし
かして俺もこんな風に見えたりするのかな〜なんてね。
さてさて・・・
入り口の階段をあがろう。
電灯が無いぞ。昼なおくらいぞ。
階段の一段目が,地盤沈下のせいだろうか,15cmほど床
から浮いている。ぺたぺたと階上に上がっていくと,受
け付け?のようなものがある。
だが誰もおらんぞ。
今日は長谷川の部屋に遊びに来たんだ。
泊まる訳じゃないし,受け付けと話す必要はないが人気
がないとなんだか牢獄の看守部屋の前を通るみたいで不
気味だ。
長谷川は305号室っていってたっけ・・
どこだぁ・・
なんだか本当にくらいな。
廊下が真ん中に通ってて両側に部屋があるんだけど暗く
て幽霊が出そうだ。お,あった・・コンコン
「おーい,きたぞー」
しーん・・
開けてみるかぁ・・がちゃり。
鍵もかけてないや。
うー,ホントになんにもない部屋だな。
ん?
窓に鉄格子がはまってる!
「マコト,トモダチ?」
いきなり後ろからタイ女性に声をかけられた。
あ,びっくらこいた。
そうだよ。プーッイープン,ダーイマイ?
「マイダーイ」
マコトが少し教えた?
「そうよ」
おいおい,なんだかあいつもややこしいことになっとる
なぁ。
結局その夜は帰ってきた長谷川と3人であの薄暗い廊下で
酔っぱらってしまいました。
次の日には嫌なイメージだった北京飯店でプーパットを
飯にぶっかけてうまい,うまいと幸せな私でした。
良いとこでしたよ(~_~;)
(長谷川は仮名です)
(第1話 終わり)
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