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第28鞍:あんまころすもちや

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按摩殺す餅屋って何ですか?」

「ああ、この看板ですか。」

「あんころもち ますや、つまり、あんころ餅益屋と読んで下さい。」

「あんころ餅は好きですか?」

「いや、甘いものはあまり好きではありません。最近こっているのは、アカモーウインブシーです。」

「それって、何ですか?」

「アカモーウイというのは、沖縄の野菜で、赤毛瓜と書いてこのように読みます。ゴーヤより大きい、赤っぽい色をした瓜です。この皮と種を取って、豚肉などとともに炒めて、弱火で煮込んだものを、ンブシーといいます。」

「ゴーヤのような苦みがなく、エステル系のほのかな香りがします。生でサラダにして、香りを楽しみながら食べるのも良いです。」

「エステル系の香りというのはどんな香りですか?」

「有機酸とアルコールがエステル結合で結合したもので、花の香り、ワインの香りなどのもとになるものです。セメダインの臭いもこれにあたります。」

「ところで、話は飛びますが、石油は化石燃料といわれますが、原子力は何燃料でしょう?」

「超新星燃料です。」

「それって、どういう事なんですか?」

「じゃあ順番に説明しましょう。原子力発電に使われるウランなどは、周期律表の後ろの方にあります。」

「ここに、WebElementsTM Periodic table (professional edition)、があります。」

「ロシアの学者メンデレエフが発見した周期律表ですね。」

「そうです。メンデレエフは17人兄弟の末っ子でした。」

「まず、核融合の話をしましょう。」

「実は、全宇宙に存在する物質の大部分は水素なのです。次に多いのがヘリウムです。」

「水素の原子核は陽子が1個、ヘリウムの原子核は陽子が2個と中性子が2個でできています。」

「水素には同位元素があり、陽子1個と中性子1個からできている重水素、それから、陽子1個と中性子2個からできている3重水素があります。ついでにいうと、水素の代わりに重水素でできている水のことを重水といいます。重いです。」

「高温高圧の環境では、原子核と電子がバラバラになっています。この状態のことをプラズマといいます。この状態で、重水素どうし、或いは、水素と3重水素の原子核どうしが衝突するとヘリウムができます。この現象を核融合といいます。核融合が起こると激しいエネルギーの放出があります。」

「それって、恒星のなかで起こっているんですよねえ?」

「そうです。そうして、次々と核融合が起こって、重い原子核ができてきます。」

「原子核が重くなるにつれて、次第に放出されるエネルギーが減ってきて、鉄の原子核ができる際にはエネルギーの放出がほとんどゼロになります。それより重い原子核ができるには、エネルギーが必要になります。重い原子核ほど、膨大なエネルギーが必要になります。このため、恒星の内部には鉄より重い原子核はほとんどありません。」

「鉄より重い原子核はどうやってできたのですか?」

「太陽くらいの大きさの恒星は、やがて、燃え尽きて暗い星になってしまいます。もっと大きな恒星はやがて爆発します。これが超新星の爆発です。そのエネルギーで重い原子核ができます。体を作っている原子のなかには、超新星の爆発でできたものもあります。というわけで、核燃料には、超新星の爆発のエネルギーが保存されているので、超新星燃料ということになります。」

「ところで、核燃料のひとつであるウランを見たことがありますか?」

「ありません。」

「ウランの粉末を暗闇で見ると、ボーっと青白く光ります。これは、ウランが核分裂を起こして、α線が出るからです。α線は空気中を約1mm飛んで止まります。その時に光るのです。なお、α線はヘリウムの原子核です。」

「α線以外にどんな放射線がありますか?」

「まず、β線。これは電子の流れです。空気中を数mは飛びますが、皮膚にあたると1mmくらいで、止まります。うっかり、β線を出す物質の近くに手などを数分間かざしてしまうと、やけどをすることがあります。」

「それから、ガンマー線。これは電磁波です。ガンマー線は波長の非常に短い電波のようなものです。透過力が強く、薄い金属など簡単に突き抜けてしまいます。」

「中性子線なんかもあるんじゃないですか?」

「あります。中性子は電気的に中性なので、透過性が非常に強く、測定も難しいです。」

「そういえば、東海村の臨界事故の時、中性子線の被爆量がわからなくて、問題になりましたね。」

「あ、イヤなことを思い出してしまいました。チェレンコフ光という光があります。光は水の中では宇宙空間より遅く進みます。β線が水に飛び込むと、最初は光より速く進みます。β線が光速まで速度を落とす際に、そのエネルギーが光に変わります。これがチェレンコフ光です。」

「臨界事故の時、青白い光が見えたということですが、あれは被爆した人の目からチェレンコフ光がでたためではないかと思っています。」

「・・・・。」

「ところで、超新星の爆発が肉眼でも見えたことがあるのをご存じですか。南半球へ行かないと見えなかったのですが、1987年2月に大マゼラン星雲で、超新星が出現しました。1604年以来の肉眼で見える超新星だったのです。」

「で、それを見に行きました。この回でも触れましたが、ニューカレドニアのマレという島で、電気がないので銀河や星が恐ろしいくらいよく見えました。」

「で、超新星はみえたのですか?」

「残念ながら、星が多すぎて、どれが超新星かわかりませんでした。

「あ、ずいぶん話が長くなってしまいましたね。では、練習を始めましょう。」

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