港の業務(貨物編)
貨物にかかわる仕事
- 港湾荷役業(コンテナ荷役)
コンテナターミナルという専用埠頭で、専用荷役機械を使ってコンテナ船から同一サイズのコンテナを積み降ろし、移動します。作業は荷役会社が行います・作業員の1チーム(ギャングまたはロといいます)は、ガントリークレーンのオペレーター2人(1台に2人)、デッキマン1人、デッキ積みコンテナの荷崩れ防止の固縛作業をするラッシャー5〜6人、それに1船の荷役を監督するフォアマン(班長)1人。計9〜10人で、在来船荷役の約半分の人数です。
作業はコンテナを船に揚げ積みするガントリークレーン、ヤード内のコンテナを移動させるストラドルキャリア、コンテナを積み重ねて整理するトランステナーなどの大型荷役機械が使われます。
機械の操作にはライセンスが必要です。こうした作業はターミナル全体が見渡せるコントロールセンターがコンピュータ管理し、積付計画に基づいて各荷役機械のオぺレーターに指示しています。大型機械やコンピュータを利用するコンテナ荷役は、在来船荷役に比べて、作業能率は1時間あたりおよそ30〜50倍といわれています。
※貨物を積んだり降ろしたりして所定の場所におくことを荷役といいます。
コンテナ船
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大型コンテナ船レジナ・マ一スクでは、コンテナを6000個(20フィ一ト換算)積載できる。コンテナ船は大型化が進んでいる。
コンテナは、20フィートタイプと、40フィートタイプがほとんどですが、10フィートタイプ、35フィートタイプのものもあります。
また、たんなる箱から、冷凍、冷蔵、油タンクなど、各種のものがあります。
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コンテナターミナル
岸壁の荷役機械がガントリークレーン。
細長い機械がストラドルキャリア。
その下にはトレーラーがくる。
コンテナターミナルの主役は大型荷役機械。人の姿はちらほら。
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ガン卜リークレーン
コンテナの積み降ろしをする大型荷役機械。その形から「港のキリン」とも呼ばれている。
地上約30メートルの高さからガントリークレーンを操作する。
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卜ランスファークレーン
ヤード内のコンテナを移動するときに使われるクレーンです。
このクレーンを用いると、コンテナをヤード内に3〜4個まで積み上げることができます。
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ス卜ラドルキヤリア
ヤード内のコンテナを移動・整理するときに用います。
ストラドルキヤリアは比較的小回りがききコンテナを2〜3段まで積み上げる事が出来ます。
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コンテナターミナルのオベレーションルーム
コンテナの荷役やヤード内でのコンテナの整理について指示を出す。
メンテナンスショッブ
コンテナヤードの中にあり、コンテナの修理を行う場所。
トレーラーにコンテナをのせてるのはトップリフター。
コンテナ貨物の詰め込み作業
小口の貨物は、コンテナヤードのなかでコンテナフレートステーション(CFS)という施設でコンテナ詰め作業を行っている。
コンテナトレーラー
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フォークリフト
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- 港湾荷役業(RO/RO荷役)
埠頭で、トラック、トレーラー等を搭載したり、フォークリフトなどを使って積み降ろし、移動します。作業は荷役会社が行います。
トレーラー
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RO/RO船
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- 港湾荷役業(在来荷役)
港に着いた船(在来型貨物船)からは、荷役会社の作業員によって貨物が埠頭におろされます。これを船内荷役といいます。
岸壁におろされた貨物はそこから野積地、上屋、倉庫などに運ばれます。この岸壁での作業を沿岸荷役といいます。
船内荷役は、主に船内で船のクレーンを使って貨物の積み降ろしを行います。船倉内での作業はチームワークが要求されるため、作業はギャングであたります。1ギャングは9〜23人以上で、貨物や船の荷役装置などによって人数が決められ、またフォークリフトが配備されます。普通、雑貨荷役では1ギャング17〜19人。内訳は組長1人、シグナルマン1〜2人、クレーンを操作するウインチマン1〜2人、船倉内の作業員13人、作業主任1人です。一方沿岸荷役は、港の陸区域での荷役を行います。船内荷役に関連して行われるので、ギャング数や貨物にあわせた人員配置が行われ、またフォークリフトや移動式クレーンなどの荷役機械が準備されます。貨物のはしけからの荷揚げと野積地や上屋への搬入も沿岸荷役の仕事です。貨物のコンテナ化の進展で、人力に頼る部分が大きいこうした荷役形態は少なくなりました。
クレーンを使って貨物を吊り上げる
木箱に入った貨物をを岸壁から船へ荷役する。コンテナ荷役に比べて作業員の数が多い。
はしけによる荷役
本船のクレーンを使って、はしけに貨物を積み降ろす。コンテナ船などの登場により経岸荷役が増加し、はしけの荷役は少なくなった。
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はしけ
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在来型貨物船
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- 検数業・検量業・鑑定業
貨物は荷主から輸入業者の手に渡るまで、長い距離と時間、そしてたくさんの人の手を経ます。そうした中で貨物を確実に輸送し、万が一の事故の場合に責任を明確にするために、第三者による公正な証明が必要になります。検数・検量・鑑定は船積み貨物について証明する仕事を行います。貨物の船積み陸揚げの時に、貨物の数をかぞえ、受け渡しの証明をするのが検数、また容積や重量を測定して証明するのが検量、貨物の積み付け状態や船の喫水について検査し証明するのが鑑定です。
船積卸検数業務
港湾で船舶から積卸される輸出入貨物の数量、損傷の有無、積付などを点検、確認し、受渡行為の証明を行なっている。
倉庫の中での検量作業
検量は運賃算定資科となるほか、船積み作業の効率化と事故防止に役立つ。台ばかりに貨物をのせて重量をはかり、はさみ尺を使って貨物の寸法をはかる。
沿岸倉庫検数業務
倉庫の搬出入から港頭地区での船舶引渡しまでの貨物流通過程において、輸送の責任、輸送の形態が変わる時点で、ご利用先の依頼により、数量、状態などの点検、確認をし、受渡行為の証明を行なっている。
コンテナ貨物の検定作業
コンテナの中に積み込まれた貨物の数量や荷印、荷番号を確認し、また包装が正しくなされているかなどをチェックして証明書を発行する。確認作業終了後には、コンテナを
シールで封印する。
コンテナを封印するコンテナシールは、基本的にそのコンテナを海上輸送する船会社のシールが使用される。
- 梱包業
貨物は、長期間の海上・陸上輸送中に、荷役時の衝撃や気象による影響などの危険にさらされることがあります。このため商品の価値と状態を保つために、梱包が必要になります。輸出貨物は梱包業者により貨物にあわせた包装がほどこされます。最近は梱包だけではなく、保管、通関、船積みまでの一貫した梱包システムを行っている梱包業者もあります。また梱包には木材が多く使用されますが、森林資源保護や開梱後の廃棄物処理の問題もあり、木材使用量を減らす梱包が重要視されてきています。
梱包は貨物を保護すると同時に、貨物の取り扱いも容易になります。
- 倉庫業・上屋
倉庫業は、輸出入貨物を倉庫に運び入れ、保管するのが基本的な仕事です。
貨物の特性にあわせて、常温倉庫、低温倉庫、サイロ、タンクなどがあります。最近の貨物は多品種、少量化、多頻度納品化が進んでいます。また、かつては倉庫といえば港湾地域や河川周辺を営業の拠点としていましたが、コンテナ輸送の進展とともに、コンテナへの貨物の出し入れが内陸部で行われるようになり、幹線道路沿いや郊外に倉庫が増えてきました。
上屋は港湾地域で貨物の一時保管、荷捌きをする場所をいいます。比較的短時間貨物を保管するだけなので、倉庫と異なり大半が鉄骨構造の平屋建ての簡易な造りになっています。コンテナヤードでは基本的に屋根付き上屋は必要ありませんが、小ロ貨物をコンテナ詰めするためのコンテナフレートステーション(CFS)があり、これが上屋の役目を果たしています。
倉庫では貨物を保管するだけでなく、加エ、包装、仕分けなども行われている。
倉庫には、階上のスペースにも貨物を搬入するため、上階部分にもクレーンがある。
輸入貨物は上屋で仕分け、検査通関などを済ませ、引き取り手を待つ。
輸出貨物は数日前から上屋に集められて船積みを待つ
倉庫・上屋
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- 陸上運送業
現在、陸上輸送の主力は自動車(トラック)輸送です。貨物は、トラックやコンテナトレーラーに積みこまれ、指定された工場や倉庫、物流センターへ運ばれます。
自動車輸送はフットワークのよさで、コンテナなど貨物の陸上輸送の大勢を占めている。
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- 臨海鉄道業
臨海鉄道業は、港から全国へ輸出入貨物を鉄道輸送しています。
鉄道によるコンテナ輸送は、時間正確さ、環境へのやさしさが特長です。
横浜港には神奈川臨海鉄道があります。同社は、東京湾で初めての本格的な外貿コンテナの鉄道輸送を始めました。横浜港本牧ふ頭駅からは仙台港駅へデイリーサービスをしています。
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- 植物防疫所
輸出入植物の検疫を行い、国内の植物に被害をもたらす海外からの病害虫の侵入を防いでいます。検査は船内、倉庫、コンテナヤードなどで行われます。害虫が発見されたら、くん蒸して殺虫、あるいは廃棄したり輸出国へ返したりします。また、外国からの要請に応じて国内産品の輸出検疫なども行っています。
植物防疫官の手元には穀物や種などから虫を探すためのふるいが用意されている。
植物防疫官
冷蔵コンテナで述ばれた農産物などを検査する。
ヘルメットの「PQ」はPLANT(極物)QUARANT1NE(検疫)の略
- 動物検疫所
海外から持ち込まれる動物やハム、ソーセージなどの畜産物の検疫を行い、動物にかかわる病気の侵入や、まん延を防いでいます。全国の本所(本部)は横浜市磯子区にあります。
動物や畜産物が港につくと、家畜防疫官が臨船または保税上屋に出かけて検査します。動物はこの後、動物検疫所へ移されて、一定期間係留されて、さまざまな検査を行います。動物も畜産物も検査に合格しなけれぱ、殺処分や消毒、あるいは返送されたりします。
畜産物の検査対象品は肉やハム、ソーセージなどの加工品だけでなく、皮や羽、角なども該当します。
海外からの客船帰港時には、客船ターミナルに臨時開設された動植物検疫カウンターで動植検疫が行われる。
- 検疫所 輸入食品監視業務
検疫所の食品監視課では、輸入食品で人々が健康を害さないようにするため、検査を行っています。販売または営業上使用する食品、添加物、器具、容器包装などを輸入する場合は、食品監視課に届け出ます。検疫所では届け出を審査し、違反の可能性の高い食品などについては検査を行います。検査の結果、食品衛生法違反である錫合には、廃棄、積み戻しなどが行われます。
輸入食品の検査では、食品衛生監視員が倉庫で輸入食品の検査をします。
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荷役
新規作成日:2003年1月29日/最終更新日:2003年11月13日