ソナー

ソナー

Sound Navigation And Ranging の頭文字から SONAR。
ソナー、ソーナー、音響探知機とも言う。
一般に「ソナー」と呼ばれるが、専門家は「ソーナー」と呼ぶらしい。
魚群探知機も、ソナーと同じ原理である。
また、海底地質探査などにも応用されている。
ソナーといえば潜水艦で有名で、「ピーン」「カーン」という単振音のものだが、対して、魚群探知機は、毎分3000程度の直下に対する連続波。
尚、この「ピーン」「カーン」と言う音は、可聴範囲への変換を行ったもので、ソナーの実際の発信音は人間の耳には聞こえない。

第一次世界大戦中にイギリスで開発されASDIC(アスディック)と呼ばれていた。
ASDIC(アスディック)は、Anti-Submarine Detection & Investigation Committee (対潜水艦探知調査委員会)から来ているという。


ソナー音波伝播

深海に行くほど水圧がかかる。
そのため、水中での音波伝播は、水温が一定であれば、水圧等の効果によって、遠方に行くほど上方に偏向する。
Pict_0647.

が、一般に、水温は、表面が暖かく、深海は冷たい。
そのため、前方へ発せられた音波も、まっすぐには伝播せず、下方へ収束する。
Pict_0645.

また、海中での温度変化が一様ではなく、上層では一定で、下層で水温が下がる場合、中抜けの構成となる。
Pict_0646.

混合層
混合層は海面の表面の付近に位置する海水の層で、風力や太陽熱などによる対流で海水が混ぜ合わされているので、温度が一定である。
通常、混合層から水温躍層へ移行するに従って緩やかに温度が下がっていくので、両者の明確な差は無いが、正午頃に海面温度が急上昇するなど、水温が急激に変化する事でレイヤーデプス(LD)と呼ばれる温度境界層が出現する場合があり、この現象はアフタヌーンエフェクトと呼ばれている。
アフタヌーンエフェクトによりレイヤーデプス(LD)が形成されると、混合層はサーフェイスダクト(SD)と呼ばれるダクトになる。
サーフェイスダクト(SD)では音波が海面とレイヤーデプス(LD)での間で反射を繰り返しながら遠距離まで伝搬していく為、遠距離探知も可能となる。
逆に、レイヤーデプス(LD)より下の層(水温躍層)に目標がいる場合、音波がレイヤーデプス(LD)で反射されてしまい、アクティブ・ソナーを利用しての探知が難しくなる。
Pict_0840.

水温躍層
混合層の下側に位置する水温躍層では、深度に比例して水温が下がるので、それにより音波が下向きに曲げられて進む。
下向きに進んだ音波は、浅海ならばその後海底で反射されて海面まで進んで行き、海面で反射されてもう一度海底まで進みながら伝搬して行く。
そのため、海底の間に音波が届かないシャドー・ゾーン(不感帯)と呼ばれる部分が形成され、ここはソナーの死角となる。
Pict_0841.

深海等温層
深度1000mを越えた辺りから水温は一定になるので、この層は深海等温層と呼ばれる。
水温が一定になる事により、音波は下向きに進まなくなり、水圧により上向きに曲げられて海面方向へ進んで行く。
これにより、深度3000〜5000m以上の深海では、いったん海底方向まで進んだ音波が戻ってきて再び海面に集まるので、何もない海面上で突然ソナーに反応がある現象が起こる。
この海域をコンバージェンス・ゾーン(CZ)と呼び、発信源から距離27〜33浬毎、幅4〜5浬の区画にCZが現れる(海水の成分や温度により変化する)。
CZを利用すれば自艦から27〜33浬彼方にある目標の探知も可能となる。
条件が良ければさらに第二収束帯、第三収束帯・・・つまり81〜99浬の彼方まで探知可能となる。
また、深度1000m付近の水温躍層と深海等温層との間では、水温と水圧のバランスによりサウンド・チャンネル(SC)と呼ばれる音波伝播層が出現する。
サウンド・チャンネル(SC)では反射による音波の吸収・減衰が無いので、非常に遠くまで音波が伝播して行く。
クジラなどはサウンド・チャンネル(SC)を利用する事で、超音波により何千浬も離れた仲間と連絡を取っているといわれる。
サウンド・チャンネル(SC)は稀に浅海でも発生する事もあり、詳しい原理は解っていない。
サウンド・チャンネル(SC)を利用すると非常に遠くの目標を探知できる可能性があり、曳航ソナー(TASS)を使用してサウンド・チャンネル(SC)を利用する。
Pict_0842.

音の識別
昔は音を耳で聴くだけだったが、現在では分析して目で見るようになっている。
個々の潜水艦の発生する音は微妙に異なるため、これを音紋と呼び、解析して事前に収集してあるカタログデータと照合すれば個艦名まで分かる。
各国は相手国、の新造潜水艦の公試の段階から、音紋を収集する努力をしている。

潜水艦の側でも、雑音を外に出さないように、いろいろな対策が施されている。


SSN758 ASHEVILLE 水測室
ソナー室とも呼ばれる。
発令所に隣接している。
モニターには、ソナーの情報が表示されている。
p1329036.

音源-受波器伝播の相関
Pict_0870.

マルチスタティック方式による位置局限方式
Pict_0871.



参考
艦載兵器あらかると
対潜作戦
海上自衛隊の対潜作戦の系譜
海上自衛隊の潜水艦作戦の系譜
対機雷戦
海上自衛隊の対機雷戦の系譜
海洋調査
漁船用機器
ソナー


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新規作成日:2005年9月3日/最終更新日:2006年12月18日