港の業務(入港編)
船が入港するときの仕事
港に入港しようとする船はおよそ入港の1週間前に、船会社とその船舶代理店に入港を知らせます。船舶代理店は、港湾局に岸壁使用願を、また港長(=海上保安部長)、税関、検疫所、出入国管理局に入港通報などを提出、そして荷役会社などに入港を知らせます。
港湾局では、水先人(パイロッ卜)やタグボー卜、綱取り業を斡旋・手配します。
いよいよ港内に本船が入ってくると、まず船舶通信業が入港船を確認、船舶代理店(船会社)、関係各官公庁や荷役会社などに連絡します。連絡を受けた水先人はパイロッ卜艇で本船ヘと向かい、乗船します。そしてタグボー卜と連携をとって船を着岸させます。岸壁には綱取り業がスタンバイしていて、本船から岸壁に投げられた.ホーサー(係船用の太いロープ)を岸壁のビッ卜(ホーサーをかける柱)につなぎます。
※本船=船員が自分の乗り組んでいる船をさしていう言葉。また作業の対象となる船の呼び名。
船舶代理店
船会社の代行として、船の入出港手続きや必要とするサービスの手配、貨物の集荷、荷渡しなどを行います。本船の出迎えから見送りまで、船側のあらゆる要望にこたえる仕事です。最近は船の停泊時間が短くなってきているので、船舶代理店は作業や納品の早い会社を迅速に手配することが求められています。
船舶通信業
入出港船の情報を収集し、提供する仕事です。収集した船の動静情報にもとづいて、入港してくる船の船名を望遠鏡で再確認し、港湾局や税関、船舶代理店、荷役会社などに知らせます。船舶通信会社からの連絡で、1隻の船にかかわる仕事が動き出します。
船舶通信会社
収集した情報をコンビュータで整理し、入港船を望遠鏡で再確認し、それを電話で各関係事業所・官公庁に連絡する。
港湾局
港湾局は、海務課への岸壁使用願などの申請にもとづいて、着岸するバース(船が停泊する岸壁/水面)の指定をしたり、水先人やタグボート、綱取り・綱放し業の斡旋を行っています。着岸時にはふ頭事務所の職員が係船旗を岸壁においたり、ギャングウェイ(渡船橋)の準備を行い、船の着岸に立ち会います。
東京都港湾局、川崎市港湾局、横浜市港湾局、名古屋港管理組合、など。
水先人(パイロッ卜)
港の状況に詳しい水先人(パイロット)が入出港船に乗船し、船長に代わって操船の指示をします。横浜港では3000総トン以上の外航船は水先人の乗船が義務づけられています。水先人は入港の知らせがあると、パイロット艇に乗船し沖合の本船に向かいます。港の入りロ付近で、船からおろされたはしごまたはタラップから乗船します。船内での指示は英語で行います。
東京港パイロット
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パイロット艇
水先人(パイロット)を乗せる船。
船体に書かれたPILOTの文字と、赤と白の旗が目印。 H旗
横浜港で使用されるバイロット艇の船名は、全て「第○○按針丸」となっている。按針は水先案内という意味である
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曳船(夕グボー卜)業
水先人と連携し、本船の離着岸や港内航行の補助をします。港の中で大きな船を押したり、引いたりするので、タグボートは小さいながらも大きなパワーと360度の旋回力をもっています。
船首のタイヤは緩衝材です。客船などを扱う場合は、タイヤで船体を汚さない様に、白い布でカバーします。
消火装置をもつタグボートもあり、火災発生の際には消火活動を行います。
曳船(夕グボー卜)
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綱取り・綱放し業
船のホーサーを本船から受け取り、岸壁のビットやブイにかけて船を停泊させる仕事です。出港時にはホーサーをはずし、船を見送ります。ホーサーは海に落ちてぬれると重くなるので、ビットまでの距離があるときは、四輪駆動車で引くこともあります。通船などを利用して海上で本船からホーサーを受け取り、岸壁のビットにかけることもあります。
船から投げられたヒービングライン(投索)をひき、ホーサーをたぐりよせる作業をします。
綱取り支援車
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綱取り船
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入港の手続きをする仕事
入港すると、税関、入国管理局、検疫所などに入港届、乗員リス卜などさまさまな申請書類が提出され、審査されます。貿易や人の出入りが正しく行われるよう、また恐ろしい伝染病が侵入しないようにするためです。こうした水際での審査が、わたしたちの暮らしを守ります。
乗客の上陸審査(訓練)
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税関
正しく貿易が行われるよう、輸出入貨物について審査を行い、また輸入品に対して関税の徴収、密輸の取り締まり、保税地域(輸入品の関税や消費税の徴収を一時保留しておく揚所)の許可や監督などの業務を行います。入港時には、入港届、船用品目録、乗組員携帯品目録、乗員リスト、乗客リスト、前港出港許可書、国籍証書、積荷目録などが提出され、審査されます。税関による入港手続きが終了しなければ、原則として荷役はできません。
横浜税関は1859年の開港と同時に設置された、全国でも歴史の古い税関です。
税関監視艇
税関の旗をあげている。
税関の旗
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入国管理局
外国から来た船や飛行機の乗組員や乗客の出入国審査を行います。
横浜港には大さん橋入りロに東京入国管理局横浜支局横浜港出張所があり、ここで出入国審査を行っています。
入国管理局には入港届、乗員リスト、乗客リスト、上陸許可申請書、船員手帳またはパスボートなどを提出し、審査後許可が降りると上陸許可証が発給されます。客船などで多数の乗船客の入国審査が必要となった場合には、前港から審査官が乗船して航海中に審査を行ったり、また着岸前に入国管理局の警備艇でその船に乗船して審査を行うこともあります。
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検疫所
外国からくる船や飛行機によって、伝染病が国内に侵入するのを防ぐことを検疫といいます。外国から直接港に入港する船は、所定の衛生検査証明書があれば電報での検疫(無線検疫)を行うことができます。無線検疫による検査に合格したら、入港後に明告書、乗員リスト、乗客リストを検疫所に提出します。
証明書がない船は港内の検疫錨地(東京港では東京港外の、東京燈標東の海面。横浜港では大黒ふ頭の沖合、鶴見航路と横浜航路にはさまれた海面)に停泊して、検疫官による検査や尋問を受けます。検疫が済まなければ、船からの上陸や貨物の陸揚げはできません。船客や乗組員の病気や船内の衛生状態について検疫官が船員に尋問します。
検疫所は、小樽検疫所、函館検疫所、成田空港検疫所、東京検疫所、横浜検疫所、新潟検疫所、清水検疫所、名古屋検疫所、大阪検疫所、関西空港検疫所、神戸検疫所、広島検疫所、門司検疫所、博多検疫所、長崎検疫所、鹿児島検疫所、那覇検疫所 などが置かれている。
検疫艇
検疫艇の船体にある「QUARANTINE」は英語で検疫を意味する。
船の甲板と、屋根が黄色。青にQの文字の旗。
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検疫要請のQ旗
入港時に掲揚され、検疫手続が完了すると、降ろされる。
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港の業務(入港編)
港の業務(貨物編)
港の業務(船舶支援編)
港の業務(保安編)
港の施設(埠頭編)
港の施設(コンテナターミナル編)
港の施設(工業埠頭編)
港の施設(設備編)
港の施設(軍港編)
港の施設(漁港編)
港の施設(商港編)
新規作成日:2003年1月29日/最終更新日:2003年6月7日