凌波性
海上、特に沿岸から離れると、大きなうねりを伴う。
穏やかであれば影響がなくとも、波が大きくなると、船舶は大きな影響を受ける。
横揺れに対しては、各種横揺れ防止装置によってある程度の対策が可能だが、前後方向については、船体の大きさと長さに応じて必然的に揺れの度合いが左右される。
すなわち、波長よりも長い船体なら波きりによって揺れが少ないが、短い船体は波に載せられてしまう。
以下に、2006.10.6 舞鶴沖 波3m の状態を例に見てみよう
尚、波3m の状態は、US1 飛行艇の、海上離発着の設計限界であるから、US1 飛行艇は、かなりの荒天性能を有するともいえるが、逆に、映像の時点では、波3m を遥かに超えているとも考えられる。
- DDG172しまかぜ
基準排水量 4650t、全長 150m
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2006.10.6 舞鶴沖 波3m
艦首が3-4m上下に動揺しているものの、ナックルラインとブルワークにより良好な凌波性である。
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- 大型対潜艦 BPK548アドミラル・パンテレーエフ
基準排水量 6,930t、全長 163.50m (145.00m wl)
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2006.10.6 舞鶴沖 波3m
艦首が4-5m程度上下に動揺しているものの、高い乾舷により良好な凌波性であるが、波切の状態が特異で、その飛沫は艦橋に吹き付けている。
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- 小型対潜艦 MPK350ソビエツカヤ・ガヴァニ
排水量: 約900t、全長 71.20m (66.90 wl)
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2006.10.6 舞鶴沖 波3m
傾斜の強い比較的高い乾舷であるものの、艦首が4-5m程度上下に動揺することにより、艦首甲板が海面に没することがあり、この後海水を掬い上げ、艦首の上下動が続き、速力の低下は否めない。
まさに、のたうつ状態といえる。
甲板上に掬い上げられた海水は、艦橋に叩きつけている。
また、艦首が上下するに従って、艦尾も激しく上下し、後部甲板を海水が洗うものの、重量配分が良好なのか、推進器が空転することはなかった。
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ブルワーク
構造上船首の高さが不十分な場合、甲板を波が洗いやすいが、ブルワークを取り付けると、船首の高さが確保され、甲板を波が洗いにくくなる。
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ナックルライン
左が通常の船首形状で、フレア形状によって、打ち上げられる波は横に逃げるものの、甲板の高さまで上がるため、横風によって甲板を波が洗うことがある。
右は、ナックルラインによって、甲板よりも低い位置で波を打ち返すために、少々の横風では甲板を波が洗うことが無くなる。
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波切板
左が通常の船首形状で、フレア形状によって、打ち上げられる波は横に逃げるものの、甲板の高さまで上がるため、横風によって甲板を波が洗うことがある。
右は、波切板によって、波を打ち返すために、少々の横風では甲板を波が洗うことが無くなる。
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新規作成日:2006年10月11日/最終更新日:2009年4月27日