化石燃料(石油、石炭、天然ガス)
石油
炭化水素を主成分とし、少量の硫黄・酸素・窒素などさまざまな物質を含む液状の油。
精製前のものを特に原油という。
石油製品には液化石油ガス(LPG)、ガソリン、ナフサ、灯油、ジェット燃料油、軽油、潤滑油ベースオイル、重油、アスファルトなどがある。
石油は、地中に埋蔵されており、現在の燃料の根幹でもある。
一般に、油の溜まっているところがあるように思われているのだが、実際は、石の間に染み込んでいるという。
すなわち、軽石のように空間の多い岩石の隙間にあるという。
これを、掘削すると、地表との、重力と気圧の圧力差によって、原油のみが噴出してくるという。
この原油にも何種類もあり、ほとんど灯油のものから、ほとんどが重油のものまであるという。
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原油
産地によって成分が異なるため、色もさまざま。
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石油精製
・蒸留分離
蒸留は混合物を各成分の沸点の差によって分離するプロセスである。
原油を直接蒸留する常圧蒸留装置(トッパー)やそこから得られる重油をさらに蒸留分離する減圧蒸留装置がある。
蒸留によって分離された各生成物は留分と呼ばれる。
・分解
分解反応によって高沸点の重質留分から軽質油を得るプロセスである。
流動接触分解(FCC)、熱分解、水素化分解(ハイドロクラッキング)などのプロセスがある。
・不純物除去
触媒の存在下で原料油に水素を加えて反応させ硫黄などの不純物を除去する水素化精製が代表的である。
・性状改善
触媒反応によってガソリンのオクタン価を高める接触改質が代表的である。
常圧蒸留留分の名称と沸点(℃)
石油エーテル(petrol ether): 40-70℃(溶媒用)
軽ガソリン(light petrol): 60-100℃(自動車燃料)
重ガソリン(heavy petrol): 100-150℃(自動車燃料)
軽ケロシン(light kerosene): 120-150℃(家庭用溶媒・燃料)
ケロシン(kerosene): 150-300℃(ジェット燃料)
ガス油(gas oil): 250-350℃(ディーゼル燃料/軽油/灯油)
潤滑油: 300℃(エンジン・オイル)
残留分: タール、アスファルト、残余燃料
重油
原油の常圧蒸留によって塔底から得られる残油、あるいはそれを処理して得られる重質の石油製品。
重油の種類は、動粘度により1種(A重油)、2種(B重油)及び3種(C重油)の3種類に分類される。
さらに1種は硫黄分により1号及び2号に細分される。
3種は動粘度により1号、2号及び3号に細分される。
A重油は軽油90%に少量の残渣油を混ぜたもの。
B重油は残渣油と軽油を半量程度ずつ調合したもの(なお、最近B重油はほとんど生産されない)。
C重油は90%以上が残渣油である。
石油製品
液化石油ガス(LPG)
ガソリン
ナフサ
エチレン、プロピレン、ベンゼン、トルエン
灯油
ジェット燃料油
軽油
潤滑油ベースオイル
重油
パラフィンワックス
タール
アスファルト
JP10
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JP4
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ジェット燃料
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(バイオジェット燃料)
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(菜種油)
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(廃食油)
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(バイオ軽油)
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軽油
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A重油
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石炭
無煙炭(むえんたん、anthracite)
炭素含有量90%以上。
石炭化度が高く、燃やしても煙の少ない石炭。
家庭用の練炭原料やカーバイドの原料、粉鉄鉱石を塊状に焼結する焼結炉に使われる。
煙が少なく発見されにくく発熱量が高いため、軍艦用燃料に重んじられた。
ただし揮発分が低く、着火性に劣る。
焼結に使用可能な低燐のものは原料炭の一種として高価格で取引される。
半無煙炭(はんむえんたん、semianthracite)
炭素含有量80%以上。
無煙炭に次いで石炭化度が高いが、粉鉄鉱焼結にも適さない一方、電力等微粉炭ボイラー用としては揮発分が少なすぎて適さず、比較的安値で取引される一般炭。
セメント産業の燃料や流動床ボイラに使われる。
着火性に劣るが比較的発熱量が高く、内陸工場への輸送コストが安くつく。
瀝青炭(れきせいたん、bituminous coal)
炭素含有量83〜90%。
粘結性が高いものは、コークス原料に使われ、最も高値で取引される。
亜瀝青炭(あれきせいたん、subbituminous coal)
炭素含有量78〜83%。
瀝青炭に似た性質を持つが、水分を15〜45%含む。
粘結性が殆ど無いものが多い。
コークス原料には使えないが、揮発分が多くて火付きが良く、熱量も無煙炭・半無煙炭・瀝青炭に次いで高く、電力用/産業用微粉炭ボイラーに大量の需要があり、一般炭の中では比較的高値で取引されている。
豊富な埋蔵量が広く分布している。
日本で生産されていた石炭の多くも亜瀝青炭であった。
褐炭(かったん、brown coal)
炭素含有量70〜78%。
石炭化度は低く、水分・酸素の多い低品位な石炭。練炭・豆炭などの一般用の燃料として使用される。
色はその名の示す通りの褐色。
水分が高すぎて微粉炭ボイラの燃料としては粉砕/乾燥機の能力を超えてしまう場合が多く、重量当たり発熱量が低いので輸送コストが嵩み、脱水すれば自然発火しやすくなるという扱いにくい石炭なので価格は最安価で、輸送コストの関係で鉱山周辺で発電などに使われる場合が多い。
最近褐炭を石油で揚げて脱水と高カロリー化と自然発火防止を行う技術が開発されるなど、様々な技術開発が行われている。
亜炭(あたん、lignite)
褐炭の質の悪いものに付けられた俗名。
炭素含有量70%以下。
褐炭も含めて亜炭と呼ぶ場合もあり、その基準は極めて曖昧である。
学名は褐色褐炭。
埋れ木も亜炭の一種である。
日本では太平洋戦争(大東亜戦争)中に燃料不足のため多く利用された。
現在は肥料原料などとして極少量が利用されている。
泥炭(でいたん、peat)
泥状の炭。
石炭の成長過程にあるもので、品質が悪いため工業用燃料としての需要は少ない。
また、ウイスキーに使用するピートは、大麦麦芽を乾燥させる燃料として香り付けを兼ねる。
このほか、繊維質を保ち、保水性や通気性に富むことから、園芸用土として使用される。
コークス
コークス(英: coke 独: Koks )とは、石炭を乾留(蒸し焼き)した燃料のことである。
蒸し焼きにすることで石炭から硫黄、コールタール、ピッチなどの成分が抜ける。
燃焼時の発熱量が高く、高温を得ることができることから蒸気機関車や鉄鋼業などを中心に重厚長大産業には欠かせない燃料となっている。
外見は石炭に似るが、多孔質であるため金属光沢は石炭に比して弱い。
多孔質は、乾留(1,300度以上)の際に石炭中の揮発分が抜けてできるものであり、結果的に炭素の純度が高まり高温度の燃焼を可能とする。
乾留時に水蒸気を添加すると水性ガスとよばれる水素と一酸化炭素を主成分とする可燃性のガスが得られ、かつては都市ガスの主成分となっていたが天然ガスの普及に伴ない現在は日本から姿を消した。
また硫黄やベンゼンなど多くの化学製品の原料となるコールタールが副産品として生じる。
天然ガス
天然ガス(Natural gas)は一般に、天然に産する化石燃料である炭化水素ガスのことを指す。
広義には、地下に存在するガス、または地下から地表に噴出するガス一般のことであり、この中には化石燃料ガス(可燃性ガス)だけでなく、窒素や酸素、炭酸ガス、硫化水素ガス、亜硫酸ガス、硫黄酸化物ガスなどの不燃性ガスも含まれる。これら不燃性ガスの多くは火山性ガスである。
天然ガスにはメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン以上の炭素化合物、窒素が含まれ、産出する場所によってその割合は少しずつ違ったものになる。
これらの他に不純物として、水、炭酸ガスや硫黄酸化物、硫化水素などを含む。
例外的に、北アメリカ産やアルジェリア産の天然ガスには1%〜7%ものヘリウムが含まれており、世界の数少ないヘリウムの供給源となっている。
メタン CH4
エタン C2H6
プロパン C3H8
ブタン(ノルマル/イソ) C4H10
液化天然ガス(LNG、Liquefied Natural Gas)
気体である天然ガスを-162℃以下に冷却して液体にしたもの。
LPGと異なり常圧で液体である。体積は気体の約1/600しかない。
輸送・貯蔵を目的として液化される
圧縮天然ガス(CNG、Compressed Natural Gas)
高い圧力で圧縮された天然ガスのこと。
環境に優しい自動車の燃料として注目を浴びるようになった。
天然ガスに仮にオクタン価を付ければ135になる
参考
⇒ 工業原料
⇒ 化石燃料(石油、石炭、天然ガス)
⇒ 鉄と鋼
⇒ 高張力鋼
⇒ 海底資源開発
新規作成日:2008年7月18日/最終更新日:2015年5月4日