Rus ロシア海軍艦艇訪日情報 RusE

ロシア海軍艦艇訪日に関連する情報を集めてみました。
今回(2001.9佐世保寄港)の情報として、応急的に集約していますので、詳細はご確認下さい。
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大型対潜艦 ウダロイ級 アドミラル・トリブツ ADMIRAL TRIBUTS 情報

大型対潜艦 ウダロイ級 5番艦として、建造された。
1980/4/18起工 1983/3/26進水 1985/12/30就役。
艦名の「アドミラル・トリブツ ADMIRAL TRIBUTS」は、第二次世界大戦中(1940)の、バルト海艦隊司令官 トリブツ海軍中将(Vice Admiral V.F.Tributs)にちなんで命名されている。
艦名のロシア語標記は「АДМИРАЛ ТРИБУЦ」。(9/13upd)
詳細データは、次項参照。
過去に来日した、アドミラル・ヴィノグラドフ(97/6 東京)、アドミラル・パンテレーエフ(99/9 横須賀)と同型艦である。
尚、艦載機は、通常は Ka-27PL へリックス Helix-A 対潜ヘリコプター 2機であるが、今回は救難訓練が目的の為、救難ヘリ(Ka27)を搭載している可能性が大きい。


大型対潜艦 ウダロイ級 情報

ウダロイ級 Udaloy (Fregat) (Projects 1155 and 1155R)
「ウダロイ級」はソビエト連邦が建造した大型対潜艦(ミサイル駆逐艦)である。ソビエト連邦は「カシン級」以後、駆逐艦クラスの建造を行わなかったが、1980年に対空型の「ソブレメンヌイ級」と共に建造された、大型対潜艦(ミサイル駆逐艦)で、基準排水量が6,000tを超える大型艦となり、SS-N-14対艦ミサイルや、対潜ヘリコプターを搭載、各種ソナー等充実した対潜兵装を装備し「カーラ級」大型対潜艦(ミサイル巡洋艦)を凌ぐ対潜能力を備え、対空兵装も最新の専用VLSや100mm単装自動砲を装備して強力な艦である。本級は、通称「駆逐艦(destroyer)」とされるが、これは西側のカテゴリーに照らしてのもので、ロシア海軍では「大型対潜艦」と呼ばれている。

主要要目
基準排水量 6,930t
満載排水量 8,404t
全長 163.50m (145.00m wl)
幅 19.00m (17.20m wl)
吃水 5.19m
速力 30.0kt
出力 110,000馬力
乗員 249名
機関: COGAG M-9 plant: 2 M8KF 高速用ガスタービン (22,500 shp each); 2 M62 巡航ガスタービン (7,500shp each), 2/5-bladed props; 60,000shp max.
主要兵装:
100-mm 70-cal. AK-100単装砲2基、
Kinzhal(SA-N-9)短SAM用VLS8基、
URK-5 Rastrub (SS-N-14 Silex)SUM4連装発射筒2基、
30-mm 54-cal. AK-630M gatling AA CIWS4基、
533mm4連装魚雷発射管2基、
RBU-6000 12連装対潜ロケット発射機2基
艦載機Ka-27PL へリックス Helix-A 対潜ヘリコプター 2機

同型艦 (艦名 起工日、進水日、就役日、配属 の順で、配属先の記載のないものは、予備役または退役と推定される。 (日付は 日-月-年))
ウィッツェ・アドミラル・クラコフ Vitse-Admiral Kulakov
マーシャル・ヴァシレエフスキイ Marshal Vasilevsky, 22-4-79, 29-12-81, 8-12-83, 北洋艦隊
アドミラル・ザハロフ Admiral Zakharov
アドミラル・スピリドノフ Admiral Spiridonov
アドミラル・トリブツ Admiral Tributs, 19-4-80, 26-3-83, 30-12-85, 太平洋艦隊
マーシャル・シャポシニコフ Marshal Shaposhnikov
セヴェロモスク SEVEROMORSK (ex-Simferopol, ex-Marshal Zhukov, ex-Marshal Budenniy), 12-6-84, 24-12-85, 30-12-87, 北洋艦隊
アドミラル・レフチェンコ Admiral Levchenko (ex-Khabarovsk), 27-1-82, 21-2-85, 30-9-88, 北洋艦隊
アドミラル・ヴィノグラドフ ADMIRAL VINOGRADOV, 5-2-86, 4-6-87, 30-12-88, 太平洋艦隊
アドミラル・ハラモフ ADMIRAL KHARLAMOV, 7-8-86, 29-6-88, 30-12-89, 北洋艦隊
アドミラル・バンテレーエフ ADMIRAL KHARLAMOV, 7-8-86, 29-6-88, 30-12-89, 北洋艦隊
ADMIRAL PANTELEYEV, 28-4-88, 7-2-90, 19-12-91, 太平洋艦隊
この他に、ウダロイU型が1隻存在する。


質疑応答より(9/13add)

大型対潜艦とは、ロシア海軍の艦種の一つで、対潜を主任務とする艦艇。
ただ、現代の艦艇は、「特定の任務に特化し、他の機能がない」と言う事はない。
西側のカテゴリーでは、Destroyer(駆逐艦)となっている。
その意味では、我が国の「護衛艦」も、英語ではDestroyerであり、本国での呼び方の一つに過ぎない。DDGこんごう型や、これから建造する15000t近い艦を、「護衛艦」と訳しても他国では違和感を覚えるのと同じである。
ウダロイ級は、概ね我が国の「はつゆき」に準じた艦である。
ロシア艦艇の特色として、比較的多数の兵器を搭載しており、これは各種局面にフィットさせる事を狙うと共に、1種類の機能を失っても、他でカバーできると言う事を意味する。対する西側では、1つの汎用兵器をもち、これであらゆる局面に対応させようとしている。
また、舷側に窓があるのも特徴で、採光、換気に適しているが、窓からの浸水や、NBC防御面等から、西側では採用されていない。ただ、窓があるから被害に弱いと言うのは短絡的で、奇襲を除けば運用上閉鎖していれば十分である。
搭載するミサイルなどは、西側のものに比べて、概して大型であるが、これは制御機器の集積化が約1世代遅れており、為に大型の機器を積む為、推進装置も大型のものが必要となり、また、破壊力増大の為、多量の炸薬を搭載でき、結果的に大型のものとなっているが、基本的性能に大差ない。
搭載するヘリコプターは、2重反転式で、1つの軸の上に2段に羽根がついており、西側のヘリコプターに比べ全長が短くて済み、ヘリ甲板や格納庫のスペースが小さくて済む。
冷戦期以降、ロシアの水準、能力をあしざまに言う傾向が見受けられるが、単なる偏見で、確率100%?で満足に打ち上げられなかったH2ロケットを開発している我が国と、多くの宇宙飛行士を宇宙に送り出した国と、どちらが科学技術の水準が上かは、一言で評価できるものではない。


ロシア太平洋艦隊 情報

主要所属艦艇
●キーロフ Kirov (Orlan) (Project 1144.2)級 原子力ミサイル巡洋艦
アドミラル・ラザレフ ADMIRAL LAZAREV (ex-Frunze)
●スラバ Slava (Atlant) (Project 1164)級 ミサイル巡洋艦
ワリヤーグ VARYAG (Viking) (ex-Chervona Ukraina)
●ソブレメンヌィ Sovremennyy (Sarych) (Projects 956 and 956A)級 ミサイル駆逐艦
ボエボイ BOYEVOY (militant)
ブルニー BURNYY (Fiery)
ヴィストリー BYSTRYY (Speedy)
ヴェズボヤゼニー BEZBOYAZNENNYY (Intrepid)
●ウダロイ Udaloy (Fregat) (Projects 1155 and 1155R)級 大型対潜艦
アドミラル・トリブツ ADMIRAL TRIBUTS
アドミラル・ヴィノグラドフ ADMIRAL VINOGRADOV
アドミラル・パンテレーエフ ADMIRAL PANTELEYEV
●クリヴァク Krivak-II (Burevestnik-M) (Project 1135M)級 フリゲート
レヴノストニー REVNOSTNYY (Roaring)
●クリヴァク Krivak-I (Burevestnik) (Project 1135)級 フリゲート
ストロゼボイ STOROZHEVOY (Guarding)
リチュチー LETUCHIY (Flying)
●デルタ Delta-III (Kalmar) (Project 667BDR)級 原子力戦略ミサイル潜水艦 8隻
●オスカー Oscar-II (Antey-II) (Project 949A)級 原子力巡航ミサイル潜水艦 7隻
●アクラ Akula-I (Shchuka-B) (Project 971)級 原子力攻撃型潜水艦 7隻


日露SAREX 情報

日露捜索・救難共同訓練 Search And Rescue EXcesses
目的: 海上自衛隊とロシア海軍との共同訓練の実施を通じて、海上自衛隊の捜索・救難等にかかわる技量の向上を図ると共に、ロシア海軍との信頼関係の増進を図る。
オブザーバーとして、西太平洋海軍シンポジウム(WPNS)参加国(カナダ、シンガポール、韓国、フランス、マレーシア、オーストラリア、ヴェトナム、パプアニューギニア、アメリカ合衆国 など)が見学する。

訓練概要−推定−
●救難訓練
想定遭難船MSC673いえしま に対し、参加部隊の捜索、救難、消火活動が行われる。
参加部隊: 海上自衛隊(DD104きりさめ、DD151あさぎり、MSC673いえしま、SH60J、P3C)、航空自衛隊(U125、UH60L)、ロシア太平洋艦隊(アドミラル・トリブツ、艦載ヘリ)
●通信訓練
参加艦艇間により、信号の送受信を行う。
参加艦艇: 海上自衛隊(DD104きりさめ、DD151あさぎり)、ロシア太平洋艦隊(アドミラル・トリブツ)
●戦術運動訓練
参加艦艇により、陣形運動(単縦陣、単横陣、など)を行う。
参加艦艇: 海上自衛隊(DD104きりさめ、DD151あさぎり)、ロシア太平洋艦隊(アドミラル・トリブツ)


ロシア艦艇公式行事 情報

艦艇の親善訪問の一般例として、指揮官の表敬訪問、乗員の相互訪問、両艦上でのレセプション、スポーツ交流、市民への艦艇一般公開、電燈艦飾(イルミネーション)、親善訓練などが行われる。
−今回、設備の関係で、電燈艦飾(イルミネーション)は実施されない模様−
また、長崎訪問も、大きな行事の一つで、平和公園の献花、外人墓地(ロシア人墓地)への献花が行われるほか、長崎原爆資料館の見学も行われる。

長崎への原爆記念碑の献花や、長崎原爆資料館の見学は、チェルノブイリ原発事故の被害がある国として、放射能被害としての共通性の意味が大きい様だ。また、チェルノブイリ原発事故に対する、医療支援の返礼の意味も大きいと考える。
艦艇乗員には海洋交流の伝統があるバルト諸国出身者も多く、特にチェルノブイリ原発事故に出動した化学戦部隊の主力は、リトアニアが召集地だったようだ。
退役軍人の中にも、チェルノブイリ原発事故に出動した人に、リトアニア系の人が多くいる。
その様な事から、核被害は身につまされているようで、原爆投下のアメリカへの面当てよりも、放射能被害を共有するものとしての要素が大きい様である。

予定されていた一般公開は、アメリカのテロ事件の影響で、繋留地の米軍基地への立ち入りが制限される為、中止となった。(9/12add)


防衛庁公式 情報

ロシア海軍艦艇の訪日及び日露捜索・救難共同訓練について(13.9.4)



配付資料(9/12add)

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過去のロシア海軍艦艇/沿岸警備隊艦艇 訪日情報

97/6 東京 ロシア海軍大型対潜艦アドミラル・ヴィノグラドフ
99/9 横須賀 ロシア海軍大型対潜艦アドミラル・パンテレーエフ
2001/9 横須賀 ロシア海軍大型対潜艦アドミラル・トリブツ *今回*

2000.4 横浜 ロシア国境警備隊警備艇ユジノサハリンスク
2001.5 横浜 ロシア国境警備隊警備艇ネベリスク
*ロシア国境警備隊は、海上保安庁観閲式に、周辺国関係機関として参加している。


ロシア関係写真集 情報

過去のロシア海軍艦艇/沿岸警備隊艦艇/司令官 訪日情報掲載誌

過去のロシア海軍艦艇/沿岸警備隊艦艇/司令官 訪日情報



参考 情報

考察編



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新規作成日:2001年9月14日/最終更新日:2001年9月14日