対潜作戦

対潜戦闘は、哨戒と攻撃の2つに分けられる。
哨戒は、面の監視と共に、海峡などでの線の監視である。
攻撃は、目標を識別、特定し、爆雷やロケット弾、魚雷などにより攻撃をする。
そのパーツは変化し高度化多様化しているが、その基本的な形は変っていない。

初期の対潜兵装としては、爆雷が中心であった。爆雷投下軌条、爆雷投射機 などにより、海面下の潜水艦に接近し、爆雷を落して沈めるのである。

ヘッジホッグは、複数の爆雷を同時に円周上に投射し、その1つでも潜水艦に接触すれば、残りすべても爆発するという、画期的なものであった。
また、マウストラップという、ヘッジホッグの簡易版の対潜兵器も開発された。
が、これらはすべて、潜水艦の至近距離まで接近して攻撃するというものであった。

陸上航空機による対潜部隊は、対潜機、対潜ヘリを中心としたものである。
初期の対潜機は、2機ペアで行動し、1機は哨戒、1機が攻撃を受け持っていた。
対潜攻撃は、爆雷が中心である。

また、対潜戦闘の一つとして、艦首によるセイル乗り切りという戦法も想定されていた。
対潜艦の艦首水面下を頑丈な構造とし、半浮上状態の潜水艦を発見するや、高速で接近、そのまま潜水艦の船体を乗り切り、艦首で破壊しようとする、体当たり戦法である。

爆雷投下軌条(写真はロシアの物)
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爆雷投射機 K砲
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爆雷投射機 Y砲
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ヘッジホッグ
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セイル乗り切り
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第二次世界大戦の対潜攻撃
アクティブソナーによる追尾情報を無線伝達し、爆雷攻撃を加える。
爆雷は、26個を、9秒間隔で投下する。
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その後、対潜魚雷(短魚雷落射機)が搭載された。
この短魚雷も、当初は、短魚雷落射機で、左右両舷に各1基装備されている物である。
やがて、短魚雷落射機に代わって、3連装短魚雷発射管も導入されて行く。

3連装短魚雷発射管
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対潜魚雷
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陸上航空機による対潜部隊は、対潜哨戒機、対潜ヘリを中心としたものである。
P-2V7やS2F-1は、1機で哨戒と攻撃を行える画期的な物であり、対潜ロケット弾や、対潜魚雷も使用される。

アメリカでは、大規模な対潜部隊が構成された。
対潜空母を中心としたものである。
対潜空母には、S2F-1や、対潜ヘリを搭載し、敵潜水艦を広範囲に掃討するものであった。

HSS-1
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対潜魚雷
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対潜前投兵器は、当時の画期的兵器とされた、Mk.108 対潜ロケットランチャーや、ボフォース対潜ロケットランチャーが開発された。
それまでの爆雷攻撃は、せいぜい数百メートル単位の距離であったのが、これらの兵器により、千メートル単位へと飛躍的に延伸した。

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ボフォース対潜ロケットランチャー
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UUM 潜対潜ミサイル サブロック(SUBROC)
潜水艦から攻撃するもので、発射後飛翔し、目標上空で核爆雷を投下するもの。
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アスロック(ASROC)
アスロック(ASROC)は、8連装の箱型ランチャーに装備された、対潜ロケットで、ロケットの先端に対潜魚雷が装備されている物である。

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DASH(ダッシュ)Drone Anti Submarine Helicopter
DASH(ダッシュ)は、無人のヘリコプターで、対潜魚雷を2本装備でき、艦からの誘導で潜水艦上空まで飛行し、魚雷を投下する物である。
従来の対潜前投兵器の射程がせいぜい2kmであったのに比べれば、数倍に伸びる事となった。


ダッシュ(DASH) QH-50C/D
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また、対潜捜索兵器として、バウソナーが装備された。

ハルソナー
船底に装備されたソナー。
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バウソナー
艦首船底に装備されたソナー。
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HSS-2対潜ヘリも導入される。吊下げソナーによる捜索が行え、対潜魚雷により攻撃する。
通常、3機で行動し、3個所でソナーを発信し、探信交点により、潜水艦の位地を特定する方式が取られる。
ユニークなのは、PS-1対潜哨戒飛行艇である。飛行艇の特性を利用して洋上に着水し、吊下げソナーによる捜索が行え、飛行機の特性として、素早く移動し、広範囲の哨戒を可能とする物である。
が、あいにく、対潜捜索兵器が高性能化し、PS-1のようにいちいち着水しなくても、飛行したまま広範囲が哨戒できるようになった為、比較的早期に姿を消した。

HSS-2
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PS-1と、US-1A
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対潜捜索兵器として、VDSが導入されている。
水中では、海水温の温度差により、ソナーの音波伝播が複雑となり、艦に装備されているソナーでは探知できない場合も出ている。
これに対して、海面下に吊下げ曳航するソナーは、この影響を受けにくくなっている。

VDS
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対潜作戦において、忘れてはならない物に、海洋観測がある。
海洋情報の収集、すなわち、海洋の温度変化、海流などの情報を正確に収集し、ソナー音波伝播状況を把握する事は、重要な課題である。

DASH(ダッシュ)は、その後、アメリカ海軍の中で運用成績が振るわなかった事もあり、DASH(ダッシュ)に代わり、有人ヘリの運用が開始された。
世界的にも、艦載ヘリの時代が到来した。
陸上航空機による対潜部隊は、P-3C対潜哨戒機が導入され、哨戒範囲が拡大した。
P-3Cには、MADと呼ばれる磁気探査機が装備されており、飛行を継続しながら海面下の潜水艦を探知する事が可能となっている。

磁気MAD
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ソノブイによる捜索、位置極限
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P-3C、対潜爆弾、対潜魚雷
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ソノブイ投射器と、ソノブイ HQS-13D
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MAD 磁気探査機(ヘリ搭載のタイプ)
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アスロック(ASROC)に代わる対潜兵器が出現しないのは、艦からの捜索範囲と、攻撃範囲がほぼ一致している事による物である。
すなわち、これより遠距離に関しては、対潜ヘリに依存する物である。

対潜捜索兵器としては、TASS、SURTASSが導入されている。
全長数キロに渡るソナーアレイを曳航し、海面下に潜む潜水艦を探知する物である。
TASS
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そして、SURTASSを装備し、平時より、潜水艦の「音紋」を収拾する為に建造されたのが、海洋監視艦である。

SH-60J
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アスロック(ASROC)は、8連装の箱型のものから、VLS化された。

Mk.41 VLS
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空母機動部隊による対潜陣形。
対潜哨戒機による、幅150〜180浬、長さ60〜90浬のソノブイバリヤーを二段配置し、艦隊前方にTASS曳航艦を配置。後方には、対潜ヘリによる哨戒。

対潜陣形
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参考
艦載兵器あらかると
ソナー
爆雷
魚雷
機雷
艦載機
戦術情報処理システム
対潜作戦
海上自衛隊の対潜作戦の系譜


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新規作成日:2005年8月16日/最終更新日:2008年5月9日