電気推進
電気推進
電気推進には、ディーゼル・エレクトリック方式と、蓄電池方式がある。
ディーゼル・エレクトリック方式は、主として、発電機によって直接電動機を駆動するもの。
蓄電池方式は、一旦蓄電池に蓄えられた電力によって、電動機を駆動するもの。
ディーゼル・エレクトリック方式の場合でも、蓄電池を介するものや、蓄電池を接続して安定を図る場合もある。
電気推進方式は、モーターを回して軸を動かすエンジンで、キメの細かい推力調整が利点。
また、動力源(主機関)と推進器を接続する軸が、ケーブルに替わることから、機関配置の自由度が高まる。
同様に、必要な機関出力に対応する機関の選択にも自由度が増す。
すなわち、100の動力が必要な場合にでも、20を5個、10を10個などという選択が可能で、接続にもギアを介する必要がなく、ロスが少ない。
更には、推進器の配置や選択も、同様に自由度が増す。
砕氷船、調査船、潜水艦に多用される。
砕氷船は砕氷航行時の前後進に、調査船は低位の為の微調整、潜水艦は非大気依存機関として求められる。
いずれの場合も元電源は、一般に船内の発電機による。
特殊な潜水艇においては、基地もしくは母船において蓄電池に充電し、潜水艇には蓄電池のみを搭載するものもある。
電源には、一般にディーゼル発電機によるものが多いが、最新の潜水艦等では、燃料電池なども使用される。
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砕氷艦「ふじ」電動機
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DSRV用蓄電池
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制御方式
電圧等の制御には、電動発電機方式、抵抗式界磁調整機方式、サイリスタチョッパ方式、インバータ方式などがある。
- 電動発電機方式
きめ細かい動作を制御するには直流電動機が適していることから、交流電源により交流電動機を回して直流発電機により直流電源を出力する方式がある。
- 抵抗式界磁調整機方式
- サイリスタチョッパ方式
チョッパ回路を主回路(モータの電機子回路)に接続して電圧制御を行うもので、主回路チョッパ制御といわれることもある。
単にチョッパ制御、もしくはサイリスタチョッパ制御というと、通常この方式をいう場合が多い。
チョッパ制御とは、電流のON-OFFを繰り返すことによって直流または交流の電源から、実効値として任意の電圧や電流(一般的には直流、交流の場合も含まれる)を擬似的に作り出す電源回路の制御方式である。
- インバータ方式
可変電圧可変周波数制御 VVVF制御(Variable Voltage Variable Frequency)とも言う。
発電機-電動機の結線方式
- 発電機:2機並列-電動機:2機
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- 発電機:1機-電動機:2機
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- 発電機:1機-電動機:1機
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蓄電池-電動機の結線方式
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- 蓄電池:直列-電動機:並列
電力を最大に発揮し、電動機の出力を最大とする方式。
蓄電池の放電量も最大となる。
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- 蓄電池:並列-電動機:並列
蓄電池の放電量は大となる。
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- 蓄電池:並列-電動機:直列
蓄電池の放電量は小となる。
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- 蓄電池:並列(半減)-電動機:並列
蓄電池の放電量は最小となる。
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- 蓄電池:並列(半減)-電動機:直列
蓄電池の放電量は最小となる。
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(BP)蓄電池(バッテリー)
(M)電動機(モーター)
蓄電池を並列とするのは、電力を安定させる効果もある。
機関配置
蒸気タービン電気推進
戦艦 BB44 カリフォルニア級 機関配置
蒸気タービン2基電動機4基4軸
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COGLAG
DD119
ガスタービン発電機2基、ディーゼル発電機1基 電動機2基、ガスタービン2基2軸
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CODLAG
UK Type23型
ディーゼル発電機4基(昇圧用電動発電機2基)電動機2基、ガスタービン2基2軸
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ディーゼル電気推進
伊201潜水艦
ディーゼル2基、発電機/電動機4基、2軸
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ディーゼル電気推進
SSうずしお型
ディーゼル2基、発電機2基、電動機1基、1軸
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ディーゼル電気推進
AGBしらせ型
6基3軸
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ディーゼル電気推進
海洋地球研究船「みらい」
ディーゼル4基、発電機2基(+3基)、電動機2基、2軸
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ディーゼル電気推進
ESPERANZA (グリーン・ピース)
ディーゼル2基、発電機1基(推進用)、電動機2基、2軸
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ディーゼル電気推進
電気推進内航コンテナ船「ふたば」
ディーゼル2基、発電機2基(推進用)、電動機2基、2軸
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新規作成日:2006年11月28日/最終更新日:2014年12月18日