映 画 コ ー ナ ー 2017年 (藤井建男)
■映画コーナー(2014年)


ス ノ ー デ ン アメリカ巨大権力の通信傍受を暴いた愛と勇気

エドワード・スノーデンが2013年6月、欧米のマスメディアを前に名乗り 出て、自らがかかわったアメリカの国家安全保障局(NSA)及び中央情 報局(CIA)の情報収集活動の手口を告発した事件はアメリカだけでなく 世界に激震となって広がった。映画は社会派監督オリバー・ストーンが この事件に焦点を当て、告発者スノーデン(ジョセフ・ゴードン)を実名で 登場させ、アメリカ政府に対する失望と希望を語りかけるドキュメンタリー 的ドラマに仕立て上げた。(右写真は劇場用パンフの表紙)
17歳で9・11を体験したスノーデンは対テロ戦争に突き進むアメリカ政府 に共感し2004年5月軍隊に志願入隊するが訓練中に足を骨折し除隊。 高い情報工学の知識を評価されて国家安全保障局(NSA)からスカウトされて情報収集の仕事 に就いた。
傍受するのは電話の盗聴はもとより、通話双方の個人情報、所要時間、位置情報、同盟国の 情報の収集、キャッチしたデータに付属するデータ、ノートパソコン、スマホに侵入するなどな ど、電波を介する情報の全てだった。そして高給が保障される。NSAの中には過激派がいると 思われる葬儀を無人機で爆撃するような仕事もある。、自分が信じていたアメリカの崩壊。その なかでスノーデンはショウダンサーでカメラマンのリンゼイ・ミルズ(シャーリー・ウッドリー)と恋を する。明るく快活なリンゼイ。一方のスノーデンは仕事の中身を話せない。しかも、自分の仕事 は合衆国憲法にも反するダーティな仕事だと思い始めた。二人の生活も監視されている。 ミルズがショウダンスの自撮り写真をパソコンに取り込むのをめぐり口論も。やがて二人は別れ て暮らすことになる。そして世界を震撼させる告発。
スノーデンが明らかにした情報傍受の量は一か月間にNSAがアメリカ国内30臆件、全世界で 970億件にも上ると言う。
現在、スノーデンはロシアにリンゼイを呼び寄せて生活している。ストーン監督はスパイドラマに なるところを、スノーデンとリンゼイの愛を織り込んで監視社会の恐怖、それに戦いを挑んだ一 人のアメリカ青年の勇気を浮かび上がらせた。劇場公開2日目、映画館は終日満席だった。
      
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