船の構造

船の構造

船の部分名称

船体の前半分(或いは前方部分)を船首、船体の後半分(或いは後方部分)を船尾、船体の中央部分を船央と呼ぶ。
船体の左部分を左舷、右部分を右舷と呼ぶ。
艦艇の場合は、船首、船尾、船底、などを、艦首、艦尾、艦底と呼ぶ。
また、小型艦艇の場合は、艇首、艇尾、と呼ぶが、艇底とは言わない。
Pict_0533. Pict_0534.

以下は船体設計によって、必要に応じて設けられる装備。
ブルワークは、船首部に設けられており、船首の甲板に打ち上げる波を抑える働きを持つ。
ナックルラインは、船首部に設けられており、船首の打ち上げる波を抑える働きを持つ。
ビルジキールは、船底両舷に設けられ、船体の横揺れを抑える働きを持つ。
フィンスタビライザーは、船底両舷に設けられ、船体の横揺れを能動的に抑える働きを持つ。
Pict_0535. Pict_0536.

ブルワーク
構造上船首の高さが不十分な場合、甲板を波が洗いやすいが、ブルワークを取り付けると、船首の高さが確保され、甲板を波が洗いにくくなる。

Pict_0537. Pict_0544.

ナックルライン
左が通常の船首形状で、フレア形状によって、打ち上げられる波は横に逃げるものの、甲板の高さまで上がるため、横風によって甲板を波が洗うことがある。 右は、ナックルラインによって、甲板よりも低い位置で波を打ち返すために、少々の横風では甲板を波が洗うことが無くなる。
Pict_0537. Pict_0538.

波切板
左が通常の船首形状で、フレア形状によって、打ち上げられる波は横に逃げるものの、甲板の高さまで上がるため、横風によって甲板を波が洗うことがある。 右は、波切板によって、波を打ち返すために、少々の横風では甲板を波が洗うことが無くなる。
Pict_0537. Pict_1438. Dcim4755/DSC_4645.

ビルジキール
左が通常の船底の形状。
右のように、船底につけられた板によって、横揺れ時に水の抵抗を受けるため、揺れが抑制される。
Pict_0539. Pict_0540.

フィンスタビライザー
右図のように、船体が傾いた場合、船底に設けられた翼を左右逆方向に操作することによって、船体の水平を保とうとするもの。
Pict_0541. Pict_0542.

船の寸法

船の長さ

back Pict_0561.

全長(Loa):船の舳先〜船尾の端 (建物に入れるならこの長さが必要と言う値)
垂線長:船首の水切部分〜船尾の舵の軸
一部に「舵の中心」という場合があるが、軸の中心であって、板幅の中央ではない。
水線長(WL長):船首の水切部分〜船尾の水切部分 (WLプラモデルの底辺)
登録長:船舶原簿記載の長さ(概ね垂線長のようだ)


船の幅

back

全幅:船体幅の最大値 (船により、甲板と船体下部と、どちらが大きいか別れるが、一般には安定の為に、甲板より船底の方がやや広い)
@:おもちゃの船のイメージだが、実際はごく最近のステルス艦位しかこのタイプはない。
Aタンブルホームとも言われる。古くはヨーロッパで税金対策から生まれた形。甲板の広さが課税対象なので、積載量を増やす都合から、船体を膨らませている。
B一般の船の形。やや誇張しているが、甲板よりも若干下の方が広くなっているのは、安定性を増す為である。
尚、航空母艦のように飛行甲板が、やたら張り出している場合は、「飛行甲板の幅」「船体幅」と明記される。


深さ:船体部分の、甲板〜船底 (舷側の高さ)
喫水:船体部分の、水切部分〜船底 (水面下の深さ、概ね船底の赤い部分)

全てについて、図面上で、真横なりから投影して計ったとしての寸法で、鉄板の外側です。
また、船は、燃料や荷物の多少により深さが変わりますから、「基準」「満載」「軽荷」などの状態が有ります。また、それぞれ、国や組織、時期によって、規定が異なります。
あと、「幅」と言えば「全幅」を指しますが、「長さ」と言うと、色々です。
一般に「垂線長」を指す場合が7割ですが、確定では有りません。
正しい標記は、補足で「垂線長」「満載時」などと付記するべきですが・・・
また、古くは尺貫法、アメリカはフィート、なので、換算誤差も出ます。
更に、資料によっては、統一の為に、垂線長から推算した値を、あたかも公表値として使用したり、調査段階での行き違いや、伝聞によるものなど、不安定な要素も多々有ります。
船の寸法は、設計書によるもので=設計どおりに出来ますが、実際は出来上がったものは正確には計れません(普通は造船所も計りません)。部分的に丸かったり、出っ張ってたり、大体全長は見通せませんから。全長300mも有ると、季節でも長さは変わります=夏の方が何センチか長い。


船の大きさ「トン」の話
船の大きさの単位は、大きく3つ、総トン数、載貨重量トン、排水量トン量 があります。

船体の負荷



船体の構造



船体の構造



機関室配置

Pict_1478a. Pict_1478b.
機関室から推進器に推進軸(シャフト)が伸びるため、船体の長さが長くなると、推進軸(シャフト)も長くなり、船体容積を占有してしまう。
船尾に機関室を置くと、推進軸(シャフト)が短くてすむ。


機関-推進器配置

Pict_0548.

参考
船の雑学
船型
船の構造
艦艇の構造
煙突(給排気口)
船の設備
船橋の色々
船の指揮所(船橋)の変遷
艦長室/船長室
船のパーツ
航海用機器
舶用機関
舶用機関(補機)
推進器





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新規作成日:2006年12月1日/最終更新日:2010年8月4日