美術鑑賞
最近見た美術展などの印象や感想です。東京は世界各地の博物館や美術館の展覧会が一年中開催されており、
大変恵まれています。
Bunkamuraミュージアム ベルナール・ビッフェ回顧展(2020.11.29) 20世紀後半のフランスを代表する具象画家ビッフェの回顧展。世界一のコレクションを誇る静岡県の美術館が所蔵する油彩約80点を中心に振り返る。一度見たら忘れられない重厚な具象画の世界が展開されている。鋭い描線でとらえ続けたかけがいのない存在の美。絵の中の特異なサインも絵の一部となっている。サルトルの実存主義やカミュの不条理の思想と呼応し一世を風靡しました。 |
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五島美術館 平安の書画(2020.11.22)開館60周年記念名品展X。収蔵品の中から平安時代を中心とした書と絵画の名品約50点を展示。紀貫之、藤原行成、小野道風、聖武天皇、光明皇后、聖徳太子などビックネームの筆が並ぶ。また、佐竹本や上畳本の三十六歌仙絵さらに国宝の源氏物語絵巻から鈴虫、夕霧、御法が特別展示されている。今回は特別に復元模写も展示され、当時の色彩を再現されていて興味深い。 |
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そごう美術館 吉村芳生展(202.11.15) 鉛筆画で現代アートの寵児となった吉村芳生の初期から晩年までの作品を集めた回顧展。1950年山口県生まれで、広告代理店でデザイナーとして働いたあと造形作家とデビュー。2013年惜しくも病気で亡くなった。思わず写真と見まがうようなタッチの鉛筆画は驚くばかりです。特に120色の色鉛筆で描かれた巨大な花の作品の超絶技巧には圧倒される。藤やケシ、コスモス、モッコウバラ、大作の百花繚乱に込められた思いを感じられた。 |
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神奈川県立歴史博物館 相模川流域のみほとけ(202.11.15) 奈良時代から仏教文化が栄えた相模川流域の仏像約50体が一堂に会した。古代の国府や国分寺が作られた相模の国には平安時代から江戸時代の仏像が数多く残されています。特に中世には有名な夢窓疎石や蘭渓が往来しており、多くの座像が残されている。また重要文化財の海老名龍峰寺の千手観音菩薩立像や平塚宝積寺の薬師如来立像(12年に一度御開帳)などの秘仏や非公開の貴重な名品も多く展示されている。 |
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サントリー美術館 日本美術の裏の裏(2020.11.8) リニューアル・オープン記念展の第二弾。まずは入口で円山応挙の青楓瀑布図がお出迎え。滝つぼの前の清涼感が伝ってくる。また重要文化財の佐竹本三十六歌仙絵や洛中洛外図などの名品もずらり。次に桃山から明治時代の精巧な雛道具に思わず引き付けられる。次の陶磁器コーナーでは、四方から鑑賞し、作品のいろいろな顔を観ることが出来る。最後の風景に入るでは、池大雅の青緑山水画帳に描かれた人物に注目を当てまさに風景に入る心地となった。 |
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東洋文庫ミュージアム 岩崎文庫の名品展(2020.10.11) 本駒込にある日本最大級の本の博物館。三菱創業150周年を記念し、岩崎久彌が個人的に収集した収集した日本・中国の古典籍や絵画。国宝の史記や重要文化財の日本書紀、杉田玄白の解体新書や貴重な浮世絵の名品を展示。巨大な本棚のモリソン文庫はいつみても圧倒される。 |
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久米美術館 館蔵品展(2020.10.3) 目黒にある歴史家 久米邦武と洋画家 久米桂一郎を記念した美術館。久米邦武は岩倉使節団の一員欧米12ケ国を歴訪した。その後歴史家として活躍。今回は欧米でのメニューの実物も展示。その長男である桂一郎はフランス留学してコランに師事し、黒田清輝と交友を結ぶ。帰国後、黒田とともに白馬会を創立したり、東京美術学校の教授を務める。画風は印象派のピサロやシスレーの影響がみられ、明るい外光表現が取り入れられている。駅前にあるこじんまりした美術館で静かな環境で絵画鑑賞ができる。 |
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国立西洋美術館 ロンドンナショナルギャラリー展(2020.9.16) 美の殿堂、英国が誇る至宝展。ゴッホ、フェルメール、ベラスケス、ターナーなどのの作品が一堂に会する日本初公開の展覧会。イタリアルネッサンスからポスト印象派までの作品61点。特に注目されるのが、ゴッホのひまわりとフェルメールのヴァージナルの前に座る若い女性。特にひまわりは今回日本で2点も観ることが出来る。(SOMPO美術館)日時指定のためもう少し空いているかと思ったが、結構な混雑。帰りに常設展も観たが、こちらもなかなかの内容で新しい収蔵品もあり、ゆったり楽しむことが出来た。 なかでも長年行方不明で、2016年に発見されたモネの睡蓮-柳の反映は、カンバスの上半分が失われ、修復復元作業により今回限定出品されている。また、最新技術によりデジタル推定復元図も観ることができ、かつての大画面を想像することができる。 |
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五島美術館 至高の陶芸(202.9.13) 開館60周年記念の名品展W。収蔵品の中から日本、中国、朝鮮の陶芸の名品約60点を展示。古田織部が今後このようなものは出来ないといわれる桃山時代の古伊賀の水差破袋や朝鮮時代の砧青磁、志野茶碗、井戸茶碗など重要文化財の作品がそろいなかなかの内容。陶器の場合、過去の持ち主も歴史上の人物が多く興味深い。今回面白いと思ったのは、15世紀の朝鮮時代の紛青白地掻落牡丹文扁壺で白地に薄いピンク色が印象的だった。帰りに庭を散策して石仏や灯篭などを鑑賞しました。 |
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Bunkamuraミュージアム 永遠のソールライター展(2020.9.6) ニューヨークが生んだ伝説の写真家ソール・ライターの写真展。カラースナップ写真のパイオニアとして独自のアングルでニューヨークの日常を撮り続け、近年その魅力が再評価されている。まさに写真一枚一枚に抒情性があり、それぞれの物語を感じることが出来る。2017年に日本初の回顧展が開かれ大きな話題を呼んだ。雨や雪のシーンは物語性が強く、薄紅色の傘は印象的な作品だ。私の写真が、人類の状況を改善することに貢献したことはないが、誰かに喜びを与えていると信じてたいという言葉はまさに今のコロナ禍の中にあってまさにピッタリ。モチーフは傘、雨粒、雪が多く、特長はガラス、ポイントカラー、1/3構図。普通の街並みの中の単純なものの中に美を見出している。シーンにジャズが流れているような感じを受けた。 |
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そごう美術館 東京藝術大学スーパークローン文化財展(2020.8.31) 法隆寺からシルクロードまの文化財まで東京芸術大学が開発した最先端の技術(スーパークローン)で再現。法隆寺の金堂壁画や釈迦三尊像やバーミヤン東大仏天井壁画、敦煌莫高窟など今では見ることが出来ないものや破壊された文化財を再現、復元されたものが展示され、身近で見ることが出来る。壁画も素晴らしいが、3Dプリンタで型を作り、更にそれから鋳造した釈迦三尊像はその出来栄えに驚かされる。時空を超えて眼前に現れた文化財は驚くばかりだ。また、作成過程も興味深く見ることが出来た。来年夏に開催予定のゴッホと文化財も期待できる。 |
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SOMPO美術館 開館記念展(2020.8.15) 新美術館のオープンに際し、所蔵コレクションから珠玉の作品を展示。フランス近代絵画から、ゴーギャン、セザンヌ、ユトリロをはじめ、東山魁夷や平山郁夫なと日本画壇の重鎮などの作品も展示。もちろんバブル期の1987年に58億円で落札されたゴッホのひまわりや東郷青児の作品も公開されている。コロナ禍の影響で日時指定だが、予約なしですぐに入場出来た。前の美術館から展示方法も変更し、ゴッホ、セザンヌ、ゴーギャンはそれぞれ個別に展示されていて、じっくり鑑賞することが出来る。今回は山口華揚の屏風 葉桜やルノアールの浴女の修復作品も展示され、明るい色彩を楽しむことが出来る。来月にはロンドンナショナルギャラリー展でも、ひまわりを鑑賞する予定。また、10月にゴッホと静物画展も開催予定でこれも楽しみ。 |
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ISETAN SALONE ART WALL ELLE OMIYA My Favorite Resort(2020.8.15) 東大薬学部を卒業したという異例なキャリアを持つ、作家、脚本家、映画監督、演出家、CMディレクターなど多彩な才能を発揮しいる大宮エリーの個展。コロナ禍のもと、みんなを明るくしたくプールやジャングル、ハイビスカスなど南国のリゾートをイメージした新作30点を展示。絵の経験がないのにも関わらず、人の心を動かす作品を多数制作している。最近もMISAのONE DAY ONE DAYを作詞するなど多彩な才能を発揮している。絵と詩の作品集 虹のくじらやいろいろな人とのコラボ作品も話題を呼んでいる。 |
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静嘉堂文庫美術館 美の競演 静嘉堂の名宝(2020.8.09) 三菱創業150年を記念し静嘉堂の名宝を精選して展示。絵画、茶道具、陶磁器、漆工芸、彫刻、刀剣などまさに名品のそろい踏みといったところ。入口には岩崎家を飾った前田青邨の獅子図が唐三彩獅子と一緒に展示。展示品の中でも特に酒井抱一の波図屏風は迫力十分。また冷たい光を宿す虎徹の刀は鋭い切れ味がわかるようだ。もちろん特別展示の国宝の耀変天目も何度見ても素晴らしい。深川別邸(現在清澄庭園にあった)は岩崎家コンドルとの深い関係を物語っている。清澄庭園に洋館があったとは初めて知った。夏の暑い中、世田谷の静かな杜中でゆっくり美術鑑賞出来ました。尚、当美術館は2022年に丸の内の明治生命館に移転予定。 |
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Bunkamuraミュージアム 超写実絵画の襲来展(2020.6.24) コロナ禍により閉館していた美術館が開館したので、早速渋谷の文化村まで出かけました。Bunkamuraミュージアムでホキ美術館の所蔵している写実絵画の展覧会が再開されています。今回は人気作品約70点が展示されている。写真と間違うような絵画は写実絵画と言われていているが、人物の肌の柔らかさ、温かさを感じさせて明らかに写真とは異なる。本物と見間違え思わず触ってみたくなる。下絵作りから下層塗り、上層塗り絵の具を乾かしながら一筆一筆描き、完成まで半年から一年間かかるという。野田弘志、島村信之、森本草介、石黒賢一郎、五味文彦などの作品が一堂に会し、それぞれの個性を発揮している。まさに超絶技法のオンパレードだ。以前、日曜日美術館で紹介された時から是非見てみたかった作品群。アンドリュー・ワイエスからの写実主義流れがここまで来たかというような感じを受けた。 |
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エマーユ七宝美術館(2020.3.21) エマーユとは、フランス語でエナメル七宝のこと。紀元前の2000年ころに生まれ、その後ヨーロッパに広がり、なかでもフランスのリモージュで栄えたという。恵比寿にあるこの美術館は往年の歌手 梶光夫氏がジュエリーデザイナーとして大成功し、フランスなどでコレクションしたもの。日本で最初の七宝美術の美術館で優美なナポレオン3世時代やアールヌーボー様式の美しい女神や貴婦人の作品を展示している。小さな美術館ではあるが、落ち着いた雰囲気の中で、優美な作品をゆっくり鑑賞できた。 |
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東京富士美術館 フランス絵画の精華(2020.1.5) 今年最初の美術鑑賞は、八王子にある東京富士美術館に行ってきました。東京富士美術館は17世紀から19世紀のフランス絵画のコレクション。今回はヴェルサイユ宮殿美術館をはじめ、フランス、イギリスを代表する美術館の協力のもと、17世紀の古典主義から18世紀のロココ、19世紀の新古典主義、ロマン主義を経て印象派誕生前夜までのフランス絵画のこ流れを辿る企画展。 |
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