ミサイルの誘導方式
ミサイルの誘導方式
- 無線誘導方式
無線誘導方式は、文字どうり、無線で目標へ向け誘導するもので、終末段階での目標の細かい動きに追従する事には若干の難点がある。
かつて航空自衛隊で使用していたナイキ・ミサイルなどで使用されていたが、艦艇用としてはあまり使われていない。
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- ビームライダー方式
ビームライダー方式は、タロスなどで具現化されている方式で、艦から目標へ向け誘導電波を照射し、その電波に沿って、ミサイルが飛行するものである。目標が一直線にこちらへ飛来する場合は良いが、急激な高度コース変化を行った場合、電波の輻射範囲の条件により、誘導に若干の難点がある。
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- アクティブ・レーダーホーミング方式
ミサイルは、ミサイル本体から目標に照射される電波が、目標に反射してくる電波をミサイルが感知し、ホーミング誘導される方式である。
撃ちっぱなしに出来る利点があるが、一旦目標を見失うと制御が困難である。
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- セミアクティブ・レーダーホーミング方式
セミアクティブ・レーダーホーミング方式では、ランチャーから発射されたミサイルは、艦のイルミネーターから目標に照射される誘導電波が、目標に反射してくる電波をミサイルが感知し、ホーミング誘導される方式である。
この方式では、同時に対処可能な目標は、イルミネーターの数に制限され、同時多数の来襲に対処する事は、自ずと限度が有り、イージスシステムへと移行されて行く。
イルミネーターは、通常1組2基装備されているが、通常の運用では、1基が誘導、もう1基で次なる目標の追尾を行う。前述の理屈から、同時に飛行中の弾体は、最大2発と言う事になる。
イージスシステムの場合、中間誘導として、慣性航法、無線誘導を導入し、イルミネーターへの依存を終末誘導に局限している。
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- 慣性誘導方式
慣性の法則にもとづき、ミサイルの移動距離を計測し、自律的に進むもの。
長射程ミサイルの中間誘導方式に利用される。
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- 地形照合方式
TERCOMと呼ばれ、地形・等高線との照合を行い、位置を確認する。
- デジタルマップ照合方式
DSMACと呼ばれ、デジタルマップとの照合を行い、位置を確認する。
- 地形誘導方式
あらかじめプログラミングされた地形情報により飛行する。
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- 衛星誘導方式
衛星を利用し、位置を計測し、自律的に進むもの。
長射程ミサイルの中間誘導方式に利用される。
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- 赤外線ホーミング方式
エンジンなどの輻射熱から発する赤外線を追尾するもの。
撃ちっぱなしに出来る利点がある。
対ECMに優れている。
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- 中間誘導方式方式
発射後、目標到達直前までの誘導方式。
自律的な、プログラム誘導、慣性誘導、無線指令誘導などによれば、個々に制御をかける必要がないため、多数の目標に対処しうる。
- 終末誘導方式
目標命中段階のの誘導方式。
- トマホーク(対艦)
発射後、慣性誘導方式により低空で飛行し、一旦ホップアップし上空からレーダー捜索により目標を確認し、再び低空で飛行、目標直前でホップアップし目標を再確認し突入する。
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- ハープーン
発射後、慣性誘導方式により低空で飛行し、目標直前でホップアップし目標を再確認し突入する。
尚、後期のタイプでは、目標直前のホップアップを要せずにそのまま突入する。
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参考
⇒ 艦載兵器あらかると
⇒ ミサイル
⇒ 電子兵器
⇒ レーダーとECM
⇒ 防空システム イージスへの系譜
⇒ イージス防空システム
⇒ 戦術情報処理システム
⇒ CEC 共同交戦能力
⇒ 対空戦
⇒ 海上自衛隊の対空作戦の系譜
⇒ 海上自衛隊の対艦作戦の系譜
⇒ 弾道ミサイル
新規作成日:2005年8月16日/最終更新日:2007年5月1日