電子兵器
電子兵器
電子兵器は、文字通りエレクトロニクスの兵器である。
広い意味では、電気通信も含まれる。
一般には、レーダーなどの電波兵器であり、ECM、ESMなどの電子戦兵器も含まれる。
また、レーザー光線などの破壊兵器の開発も進められている。
本項は、各装置の概論で、各装置の詳細は、それぞれの装置の項を参照のこと。
- レーダー
一般に、距離は電波の反射時間により、方向はレーダーの回転方向により測定する。
航海レーダー、対水上レーダー、対空レーダー、射撃指揮レーダーなどがある。
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- 航海レーダー
航行の安全のため、水上の艦船などを捜索する。
捜索結果はスコープに表示され、利用される。
艦艇においては、対水上レーダーと兼用のものも多いが、民生品を使用する例も増えている。
距離は電波の反射時間により、方向はレーダーの回転方向により測定する。
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- 対水上レーダー
水上の艦船などを捜索する。
艦艇においては、航海レーダーと兼用のものも多いが、性能や、電波封鎖の観点から別々にする場合も増えている。
距離は電波の反射時間により、方向はレーダーの回転方向により測定する。
基本的に水上航行する船舶を捜索対象とするが、低空を飛来するミサイルに対する機能を有するものもある。
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- 対空レーダー
航空機などを捜索する。
一般に、方向のみを測る二次元方式だが、対空ミサイルとの連動が増えた今日、三次元式のものも増えている。
距離は電波の反射時間により、方向はレーダーの回転方向により測定する。
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- 高角測定レーダー
航空機などを捜索する。
方向のみを測る二次元方式の対空レーダーで方向を確認した後、対空ミサイルへの目標諸元を与えるために、高度を測定するもの。
現代では、単体では使用されておらず、射撃指揮装置のパーツを構成している。
方向はレーダーの指向方向により設定し、高度はレーダーの指向角度により測定する。
写真はロシアの射撃指揮装置のものだが、この両脇に縦を向いているのが高角測定レーダーである。
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- 三次元レーダー
方向のみの二次元方式ではなく、同時に高度も測定できる三次元式のもの。
距離は電波の反射時間により、方向はレーダーの回転方向により、高度は電子走査により測定する。
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- フェーズドアレイレーダー
従来の三次元レーダーでは、レーダー面が回転しているため、高速目標の対応には問題があり、同時多数の目標に対応するために開発された。
レーダー面は固定されており、全周をカバーするために、複数装備する。
距離は電波の反射時間により、方向、高度は電子走査により測定する。
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- 射撃指揮装置
火砲、ミサイルの正確な射撃のために使用するもの。
レーダーで捕らえた目標に対し、更に詳細なデータを取得し、射撃諸元を与えるもの。
また、ミサイル誘導のための電波照射を行う。
当初は、測距儀などの目視と計算機に頼っていたが、現在ではレーダーとコンピュータの組み合わせにより、射撃データも直接送信される。
陸軍用語では「射撃統制装置」であるが、共に英訳は Fire Control System である。
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- 方向探知機
地上局の発する電波を元に、位置を確認する装置。
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- タカン
航空機の運用のために使用する。
TACAN(Tactical Air Navigation System)
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- 衛星通信
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- データリンク
現代の作戦では、情報通信が欠かせない。
それも大量データの高速通信である。
陸海空に展開する各種部隊との綿密なデータリンクは、的確な作戦を遂行するための必須要件である。
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- 電波探知機
相手側の発する電磁波を感知するもの。
ESM。
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無指向性アンテナは全周を担当し、指向性アンテナは特定の方向範囲を担当する。
AN/BLR-1 ESM
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NOLR-1 ESM
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NOLR-5 ESM
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NOLR-6 ESM
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NOLR-6C ESM
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NOLR-8 ESM
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NOLQ-1 電子戦装置(ESM)
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NOLQ-2 電子戦装置(ESM)
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NOLQ-3 電子戦装置(ESM)
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- ミサイル警報装置
電波探知機の一種で、ミサイル誘導電波を探知する。
OLR-9B ミサイル警報装置
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- 電波妨害装置
相手側の発する電磁波に対して妨害電波を発するもの。
ECM。
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OLT-3 ECM
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NOLQ-1 電子戦装置(ECM)
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NOLQ-3 電子戦装置(ECM)
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米軍電子戦装置(ECM)
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- IFF
敵味方識別装置。Identification Friend or Foe。
電波信号を発射して、対象に返信を要求する装置。
電波信号を発射して、既定の返信があれば味方であると判別し、レーダースクリーン等に敵・味方を区別して表示する。
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IFF表示例
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- 電子計算機
一般にコンピュータと呼ばれる。
単体の装置はもとより、各機器にも組み込まれている。
初期のものは、射撃諸元計算用のものだったが、現代では、情報の分析、予測から、制御、指示までも行う。
太古の昔は指揮官のカン、古くは計算尺や計算盤で行っていたが、現代では電子計算機である。
初期のものはアナログ式であったが、現代ではデジタル式である。
構造的には、電子工学の発達と共に、真空管型から、IC、LSI、超LSIと、小型軽量高速化が図られている。
ただ、戦闘という特殊な環境下での性能を要求されることから、民生品よりも一世代前の機械が多用されている。
例えば、コアメモリなども、つい最近まで使われている。
周波数帯表
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参考
⇒ 艦載兵器あらかると
⇒ レーダー
⇒ レーダーとECM
⇒ ミサイルの誘導方式
⇒ 防空システム イージスへの系譜
⇒ イージス防空システム
⇒ 戦術情報処理システム
⇒ CEC 共同交戦能力
⇒ 衛星通信
⇒ 艦隊通信
⇒ データリンク
⇒ マスト
⇒ タカン TACAN
⇒ 電子戦
⇒ 対空戦
⇒ アンテナ
⇒ 電波の種類
⇒ 電子戦装置
⇒ 電子兵器
⇒ 艦艇の防御戦闘
新規作成日:2006年11月19日/最終更新日:2007年7月14日