対空戦

対空戦とは、航空機やミサイルなど、空からの攻撃からの守りであり、防空とも言われる。
すなわち、対艦攻撃や対潜作戦などのような、能動的な物ではなく、空からの攻撃を受けた時に、リアクションとして行う性質の物である。

また、個艦防空と、区域防空の2つに分けられる。
個艦防空(ポイントディフェンス)は、各艦が自衛として行うもので、区域防空(エリアディフェンス)は、防空艦によって、艦隊や船団を守るものである。
個艦防空と、区域防空は相対的なもので、時代によって射程も延伸しており、銃砲中心の時代と現代では比較できない。

防空要領
Pict_0819.
HVUは空母、船団など。


最も有力な防空体制は、空母を持つものである。
早期警戒機による上空哨戒と、戦闘機の上空待機により、即時迎撃が可能で、広範囲をカバーできる。
これをかいくぐったものは、区域防空(エリアディフェンス)により、長射程の防空ミサイルで対処される。
更に撃ちもらしたものは、個艦防空(ポイントディフェンス)によって対処する。

空母を含む防空域
Pict_0822.

対空戦闘のプロセスは、哨戒と防御の2つに分けられる。
哨戒は、主として対空レーダーや電波探知機による監視である。
防御は、飛来してくるミサイルなどに対する、直接的な射撃のほかに、ECMなどによる電子戦も行われる。

航空機が発明され、戦力化すると同時に、防空の必要性が生まれた。
大砲や機関銃などの砲煩兵器による射撃が防空手段であり、戦闘機による迎撃も含まれる。
機関銃の場合は、比較的近距離での直撃による破壊であるが、大砲の場合は、比較的遠距離での破片や爆風による打撃である。
当初は時限信管によって想定位置で炸裂するものだったが、やがてVT信管のように、航空機の接近を探知して炸裂するものが開発され、効果を生んだ。
また、速射砲も開発され、単位時間当たりの射撃速度も向上される。

攻撃から最重要ユニットを守る陣形として、輪形陣が用いられるようになった。
最重要ユニットを中央に、防空艦が周囲を取り巻くもので、周囲の輪は、二重、三重の場合もある。
攻撃側は、その防御網を幾重にもかいくぐる必要があり、防御に適している。
また、ピケット艦として、更に外周に哨戒艦をおく場合があり、これによって攻撃をいち早く探知することかできる。

輪形陣
Pict_0044. Pict_0823.

38口径 5吋砲
p1211013.

3吋砲
DSC_0318.

40mm連装機関砲
p1211014.

54口径 5吋砲
p2361036.

3吋速射砲
p0798036.

やがて確実な精度を持つものとして、ミサイルが開発される。
アメリカでは、3Tと呼ばれ、タロス、テリア、ターターの3種が開発された。
それぞれ、射程も長く大型のものから、小型のものまでであり、小型のものは駆逐艦級への搭載を前提としている。

Mk.13 スタンダード/ターター
p2361022.

また、火砲の近代化も進められ、小型、軽量、省力、速射、射撃精度向上が図られる。
OTO社の3吋砲は、砲塔内完全無人化で、1分間に約100発程度の射撃も可能で、迫り来るミサイルをも打ち落とすことができるといわれている。

Mk.45 127mm砲 (右はステルスシールドタイプ)
p1384015. Dcim2980/DSC_1409.

OTO 5吋砲
p0572014.

OTO 3吋砲
DSC_6592. p2250010.

対艦ミサイルが実用化すると、その防御が求められる。
艦艇では、短距離対空ミサイルや、CIWSの装備により、個艦防空能力が付与される時代が到来した。
東西冷戦のソ連海軍水上艦隊の躍進と、大型航空機による渡洋ミサイル攻撃に対応した物である。
対空兵器としては、短距離艦対空ミサイル シースパロー、ファランクスCIWS、OTO3インチ62口径単装速射砲、チャフ、ECMなどの個艦防空能力が付与された。

チャフの搭載が始まったのも、この頃からである。
チャフは、大量のアルミ箔を打ち上げる物で、レーダーホーミング方式の対艦ミサイルに対して使用され、アルミ箔を撒き散らせて形成する雲のレーダー反射をして、ミサイルの目標を、艦から外すことを目的としている。
同様に、赤外線ホーミング方式のミサイルに対しては、フレアが使用される。

Mk.41 VLS
p0795033.

NATO シースパロー

p2337032.

Mk.48 VLS
R0025004. p0846034.

20mm ファランクス CIWS
DSC_6586.

対空レーダー(3次元)
DSC_6506.

射撃指揮装置
DSC_6494. DSC_6501.

電子戦装置
DSC_6484. DSC_6493.

チャフ
DSC_6650. Pict_0207.

フレア
Dcim0638/Dsc_8220. Pict_0208.

アメリカでは、イージスシステムが開発された。
同時多数からの攻撃に対して、守り抜くことを前提としたものである。

タイコンデロガ級
p0029/p0029009. DSC_1746.

TBMD スタンダードミサイル
p1237017. p1241020. p1241021. p1241022. p1237023.

参考
艦載兵器あらかると
ミサイル
ミサイルの誘導方式
電子兵器
レーダー
レーダーとECM
防空システム イージスへの系譜
イージス防空システム
Mk41 VLS
弾道ミサイル防衛
砲煩兵器
大砲のいろいろ
弾火薬のいろいろ
信管
戦術情報処理システム
対空戦
海上自衛隊の対空作戦の系譜
艦隊陣形




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新規作成日:2007年1月17日/最終更新日:2007年1月17日