海上自衛隊の護衛艦の変遷

海上自衛隊の護衛艦の変遷

海上自衛隊の護衛艦の変遷については、巷では色々な説がある。
ここで一つ整理してみよう。


機能による変遷

[DD]
対潜、対空、汎用、旗艦、などの観点から、変遷を見ると、下図のとおりである。
Pict_0559.

外洋型護衛艦は、いうまでもなく、昭和28年度計画の、DD101はるかぜ型に始まる。
船団護衛、対潜を重視したものの、旗艦設備も持ち、多目的の艦であった。

続いて計画されたのが、DDK103あやなみ型、DDA107むらさめ型、DDA162あきづき型である。
DDK103あやなみ型は、対潜重視。
DDA107むらさめ型は、防空重視、
DDA162あきづき型は、両者を併せ持ち、旗艦設備も持った汎用艦となった。

こののち計画されたのが、DDG163あまつかぜで、対空誘導弾を搭載した、有力な防空艦である。

対潜艦の方は、DDK113やまぐも型はASROC搭載艦として、DDK116みねぐも型はDASH搭載艦として建造されたが、ASROCに集約され、DDK119あきぐも型に集約されている。

旗艦設備も持った汎用艦は、DDA164たかつき型に進み、対潜機能を更に充実させるために対潜ヘリコプターを搭載したDDH141はるな型に進む。

DDG163あまつかぜの後継は、DDG168たちかぜ。

対潜艦の方は、対潜重視から、対艦能力も強化され、汎用化され、DD122はつゆき型に進化する。

対潜中枢艦は、DDH143しらね、そして13500t型に進化する。
防空中枢艦は、DDG171はたかぜ、DDG173こんごう、DDG177あたごに進化する。
基本構成艦は、DD151あさぎり、DD101むらさめ、DD110たかなみ、と進む。


[DE]
近海用護衛艦は、いうまでもなく、昭和28年度計画の、DE201あけぼの型、DE202いかづち型に始まる。
続く、DE211いすず型では、対潜兵装が強化された。
更に、DE215ちくご型では、ASROCを搭載し、対潜兵装が飛躍的に強化された。
DE226いしかり型は、当初はPC駆潜艇の後継のPCEとして計画されたが、盛りだくさんの要求により大型化し、護衛艦となったものの、船型が小さく、改良型のDE227いしかり型までで打ち切られた。
その後、DE229あぶくま型は、かつてのDDK113やまぐも型にも匹敵する護衛艦となった。
しかし、予算削減や、運用の統一などもあり、DEの建造はここまでとなり、護衛艦はDDに一本化され、代って地方隊用には、DDが回される方式となった。


船型による変遷

[DD]
DD101はるかぜ型は、平甲板型であった。
Pict_0526.

続くDDK103あやなみ型、DDA107むらさめ型、DDA162あきづき型では、長船首楼型とされ、艦内容積の増大が図られた。
Pict_0527.

DDG163あまつかぜでは、さらに延長され、遮楼甲板型となった。
以降は、基本的に、この構造が続く。
Pict_0528.

が、DDH141はるな型では、ヘリ甲板の配置の結果、艦尾の作業甲板の確保の都合から、艦尾を一部切り欠く形となった。
外見上は、長船首楼型であるが、上部に甲板があり、遮楼甲板型と呼ぶか、説もいろいろである。
ただ、遮楼甲板は、あくまで風浪から守られる空間を持つものであるから、横が吹き抜けの構造を言うのは理にかなっているとはいえない。
もっとも、遮楼甲板型も長船首楼型も、本来は、上甲板の上に更に甲板を持つ構造であり、上甲板が強度甲板であるが、かつての自動車でハードトップという車種があったように、本来とは離れつつあるようだ。
Pict_0560.

DD122はつゆき型では、艦尾の一部を切り欠く、長船首楼型となったが、DD151あまぎり型では、DDH141はるな型同様となり、DD101むらさめ型では、船体の大きさが十分確保できたことにより、遮楼甲板型となっている。
DDG171はたかぜ型も、DDH141はるな型同様となり、DDき173こんごう型では、船体の大きさが十分確保できたことにより、遮楼甲板型となっている。


[DE]
DE201あけぼの型、DE202いかづち型は、平甲板型であった。
Pict_0526.

続くDE211いすず型では、遮楼甲板型となった。
以降は、基本的に、この構造が続く。
Pict_0528.

が、DE226いしかり型は、当初はPC駆潜艇の後継のPCEとして計画されたが、盛りだくさんの要求により大型化し、護衛艦となった経緯から、中央船楼型で建造された。
Pict_0531.

DE229あぶくま型は、遮楼甲板型となった。


搭載機関による変遷

[DD]
DD101はるかぜ型は、蒸気タービンに始まる。
Pict_0556.

以降、蒸気タービンが続くが、DDK113やまぐも型、DDK116みねぐも型、DDK119あきぐも型は、ディーゼル艦として建造された。
Pict_0555.

大型艦の蒸気タービンも、DDH143しらね型が最後となり、DDH171はたかぜ型以降は、ガスタービン化された。
DD122はつゆき型では、ガスタービン化された。
Pict_0557.

[DE]
DE201あけぼの型は、蒸気タービン、DE202いかづち型はディーゼルで建造され、比較検討された。

その結果、DEには経済的なディーゼルとして、DE211いすず型、DE215ちくご型が建造されていった。

DE226いしかり型では、ガスタービン化の趨勢もあり、CODOGとして建造された。
Pict_0558.

続くDE229あぶくま型では、CODOGが継承された。


参考
船の雑学
船型
船の構造
艦艇の構造
煙突(給排気口)
船の設備
船橋の色々
船の指揮所(船橋)の変遷
艦長室/船長室
船のパーツ
航海用機器
舶用機関
舶用機関(補機)
推進器





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新規作成日:2006年12月3日/最終更新日:2006年12月3日