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労働基準法が改正され、就業規則に解雇の具体的な事由を記載することが義務づけられました。記載がないと、解雇が事実上、困難になってしまいます。この機会に就業規則を見直して、職場の実態にあった就業規則にしましょう.
今回の改正により、労働基準法第18条の2に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定されました。この考えは、最高裁判所の判決で既に明らかにされていましたが、一般に広く周知されておらず、解雇に関する紛争は、長引く不況の下、増加しています。そこで、解雇のルール及び手続きを予め明確にし、トラブルを防止するため、今回の改正が行われました。
解雇に関する改正点は、次の三つです。
まず、1ですが、労使間において、解雇についての予測可能性を高めるため、就業規則に退職に関する事項として、解雇の事由を記載することが、法律上明確にされました。つまり、就業規則を新たに作成する場合、必ずその文中に解雇の具体的な事由を記載し、労働基準監督署に届出しなければなりません。また、既に作成されて使用されている就業規則に解雇の事由の記載がなければ、それを記載して労働基準監督署への届出が必要です。なお、就業規則に解雇の事由の記載がされている場合も、この機会に是非、見直しをして下さい。懲戒解雇事由は勿論、普通解雇事由についても具体的に列挙されていることが必要です。そうでないと、従業員を解雇しようとしても、就業規則にその事由が記載されてないと、事実上、解雇できない事態になってしまいます。
次は、2です。使用者は、労働者と労働契約を締結する際に、解雇の事由を書面の交付により明示しなければならなくなりました。これは、どの様な場合に解雇になるか、予め労働者に明示することにより、紛争を未然に防止しようという趣旨です。そして、実務上の手続としては、就業規則に解雇事由が記載されてあれば、その就業規則の条項番号を書面に記載して明示すればOKです。
最後に3です。労働者が退職する際、本人の使用期間、業務の種類、その事業場における地位及び退職の理由について、労働者から証明書の請求があった時は、遅滞なく交付することが義務づけられています。そして、今回の改正によって、この従来の退職時証明に加え、労働者は、解雇の予告がされた日から退職の日までの間においても、解雇の理由についての証明書を請求できることになりました。なお、使用者側が行う実務上の手続としては、就業規則に記載されている解雇の事由の中で、それぞれの解雇に該当する条項を記載することが必要となります。解雇は、しなくて済むのならそれに超したことはありません。しかし、解雇しないと会社の存続が困難な時や、周りに悪影響を及ぼす不良社員等、どうしても解雇しなければならない事態は、起こりえます。そうした時に慌てない様に、就業規則の解雇事由を整備しておきましょう。
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今回の改正により、解雇のハードルは高くなった、つまり、解雇するのが難しくなったとため息をついている事業主の方も多いでしょう。しかし、従業員にとっては、解雇されれば生活の基盤を失うのですから、ハードルが高いのも仕方ないかもしれません。解雇には、大別して普通解雇と懲戒解雇があり、普通解雇の中に整理解雇があります。それぞれどの様に対応すれば解雇がスムーズに行くのか、検証してみましょう。まず、整理解雇です。これは企業の経営内容が悪化したために人員の整理を行う、いわゆるリストラを指します。そして、次の4つの要件が必要とされています。
つまり、整理解雇をする必要性があり、それを回避するための努力をし、解雇者の人選を経営側が恣意的な判断をせずに公平、合理的に行い、会社の経営状況や解雇に至った経緯を労働者や労働組合に詳しく説明することが求められる訳です。かなり大変ですよね。しかし、整理解雇は、労働者には特に落ち度がないのに、会社の存続のために一部の社員を犠牲にするわけです。しっかり手順を踏んで、誠意ある対応をすることが何より大切です。続いて、普通解雇です。これは、勤務成績や業務能率が著しく不良な場合、勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがないとき、病気やけがによる長期入院で職場復帰の見込みがないとき、協調性を著しく欠くとき等に認められます。しかし、本当に従業員がこのような状態なのか客観的に判断するのは難しい面があります。たとえば、勤務成績が著しく不良といっても、どの程度不良なら解雇できるのでしょうか。一概には言えませんが、どう指導しても勤務成績が改善せず、他の部署に移しても同様の状況であれば、解雇できるかもしれません。大切なのは、その社員を改善させようとする指導を何回もすること、配置転換をする等何とかその社員の解雇を回避する努力をすることです。そして、こうした指導や努力をしたことを記録として必ず残しておきましょう。争いになったとき大事なのは、何より証拠です。最後に懲戒解雇です。刑法上の犯罪を犯したとき、重大な経歴詐称があったとき、賭博行為や風紀を乱す行為により、他の労働者に悪影響を与えたとき、無断欠勤が2週間以上続いたとき、遅刻が多く、何度注意しても改善されなかったとき等です。懲戒解雇になれば、通常退職金は支給されず、次の就職先を見つけるのが困難である等、従業員が受けるダメージは甚大です。よって、会社としても慎重な対応が求められます。例えば、、刑法上の犯罪を犯したら全て懲戒解雇が認められるわけではありません。休日に飲酒運転をして歩行者を死亡させ、禁固10ヶ月、執行猶予3年の判決を受けた従業員を懲戒解雇したところ、処分が重過ぎるとして認められなかった判例があります。一方、金銭の横領については、裁判所は一般に厳しく判断しています。某信用金庫が1万円の横領があったとして従業員を懲戒解雇にした処分を、有効としています。争いになれば、従業員の会社における地位、従業員が犯した罪により、会社の信用や名誉が著しく傷つけられたか否か、他の従業員に与えた影響はどうか等を総合的に勘案して判断されることとなります。そして、会社の地位が上の者ほど、裁判所は厳しい判断を下している傾向があります。何度も言うようですが、裁判になったときには何と言っても証拠が大切です。それも具体的なものが必要です。例えば、ある不良社員に始末書を書かせたのを会社で保管し、それを証拠で裁判に出したとします。しかし、その始末書の内容が、「私が起こしたこのたびの不祥事について深くおわびし、今後かかることの無き様反省し、十分注意します。」であったらどうでしょうか。このたびの不祥事という表現は、非常に抽象的です。相手の不良社員がその気になれば、言い逃れも可能です。例えば、「私が始末書を書いたのは、会社が問題にしている事件ではなく、別の事件についてです。」と反論してくるかもしれません。始末書を従業員に書かせるときは、いつ起こした、どの事件について反省しているか、後になって読んでも誰もが理解できるように、明確に書かせることが必要です。