美術鑑賞
最近見た美術展などの印象や感想です。東京は世界各地の博物館や美術館の展覧会が一年中開催されており、
大変恵まれています。
三菱一号館美術館 印象派・光の系譜(2021.12.29) 年末のため予約が取れなかったので、30分ほどの待ち時間だった。 イスラエル美術館所蔵の印象派の名品コレクション。モネ、ゴッホ、ゴーガンなどの70点を展示。モネの睡蓮3作など大半が日本初公開。印象派に先駆けたクールベ、コロー、ブーダンそしてモネルノワールシスレーピサロ、そしてセザンヌゴッホ、ゴーガン、ボナールなど印象派の光の系譜を辿っている。館内の照明が暗いのと、絵の色彩が暗いせいか華やかさ感じられなかったが、印象派の光と色彩を楽しめた。 |
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江戸東京博物館 縄文2021(2021.11.24) 特別展 縄文2021-東京に生きた縄文人に小野さんを誘って行ってきました。東京という地域の縄文時代に焦点をあてた企画展。1986年に銀座で開かれて以来、35年ぶり。東京には各区に郷土博物館があるが、どこも縄文時代のエリアが狭く、これほどの遺物を一堂に会することはなかった。縄文時代の東京を感じ、考古学の新たな楽しみ方を発見。多摩ニュータウンのビーナスや国宝の仮面のビーナス(長野尖石)が特別展示。 |
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国立新美術館 第8回日展(2021.11.20) 明治44年の第1回文展から114年を迎える第8回日展。日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5部門にわたり、会員、入選者などの作品約3000点が展示されており、作品数が多すぎて全部観るといささか疲れた。部門別の開催もーがいいかもしれない。入選作や特選、大臣賞などの作品と他の作品の違いが判らなかった。このあと京都、名古屋、大阪、安曇野、金沢を巡回予定。 |
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高島屋横浜店 安野光雅展(2021.10.3) 1968年絵本作家としてデビューし、やさしい雰囲気が漂う絵本や水彩画で人気を集めた画家安野光雅の追悼展。国際アンデルセン賞をはじめ、紫綬褒章や文化功労者に顕彰された。洛中洛外の作品95点と京都御苑の花26点が紹介されている。洛中の寺社仏閣だけではなく、洛外の京都北部から南部まで広範囲にわたる風景画や歴史ある街並みを描かれている。また司馬遼太郎の街道をゆくの挿絵を担当した。 |
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Bunkamuraミュージアム(2021.9.22) ポーラ美術館展 箱根のポーラ美術館のコレクションから印象派から20世紀美術まで28名の画家、74点の作品を展示。ルノアールのレース帽の少女、マチスの襟巻の女、デュフィのパリなど甘美なるフランスが再現されている。また、ラリックなどの12件の化粧道具の展示されている。デュフィのパリは日本の屏風4枚で構成され、華麗なパリの世界が表現されている。 |
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東京都美術館 ゴッホ展(2021.9.22) 世界最大のゴッホ作品が収集されているクレラー=ミュラー美術館コレクターから厳選されたゴッホ油彩28点、素描・版画20点を展示。クレラー=ミュラーはゴッホがまだ評価の途上にあった1908年からおよそ20年間に積極的に作品を収集した。1938年に個人美術館を開館した。今回の展覧会ではゴッホの初期から晩年の作品までの画業を辿っている。亡くなる2ケ月前に描かれたプロヴァンスの田舎道(糸杉)の傑作は16年ぶりの来日。更にファン・ゴッホ美術館から黄色い家が出品されている。 |
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川端龍子記念館 川端龍子VS高橋龍太郎コレクション(2021.9.8) 日本屈指の現代アートコレクターである高橋龍太郎のコレクションを日本画家・川端龍子の作品とともに展示。龍子は文化勲章を受章し、草の実や爆弾散華などの作品のほか浅草寺や池上本門寺の天井画を描いている。現代アーティスト会田誠、鴻池明子、天明屋尚、山口晃と時代を超え共鳴し合う作家のイマジネーションの世界が広がっている。晩年龍子は、大田区の自邸前に自身の設計した龍子記念館を開館。次回は龍子公園にある旧宅・アトリエと庭を見学したい。 |
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そごう美術館 謎解きゴッホと文化財展(2021.8.22) 東京藝術大学による高精度の複製スーパークローン技術による名画の複製展。昨年は法隆寺の金堂壁画だったが、今年はオルセー美術館の油絵やボストン美術館の浮世絵等の再現作品、映像など30点を展示。特にゴッホの作品のうちひまわりは芦屋の空襲で焼失した作品で世界で唯一の貴重なもの。また、マネ、モネ、セザンヌ、ゴーギャンなどの作品もあり、筆のタッチや厚塗りをリアルで体験できる。また、マネの笛を吹く少年の立体再現もあり、まさに絵から飛び出した作品。 |
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大田区郷土博物館 川瀬巴水展(2021.7.24) 新版画の巨匠川瀬巴水の久しぶりの大規模な展覧会。新版画で旅する日本の風景と題し、前期は東京の風景編、後期は旅先の風景編約400点を展示。すべて大田区郷土博物館の所蔵。前期は身近な東京の風景が描かれている。芝増上寺、清州橋、日本橋、目黒不動、池上本門寺など現在でも観られる風景を繊細なタッチで表現されていて、思わず見入ってしまう。同時に巴水の自筆日記やスケッチを展示され、製作過程も興味深い。帰りに思わず図録とポストカードをまとめ買いしてしまった。ポスターが四枚もおまけは嬉しい。 |
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目黒区美術館区民ギャラリー 西陣織 若冲動植採絵展(2021.6.30) 奇想の画家伊藤若冲作品を西陣美術織で見事に再現した展覧会で全国を巡回している。オリジナルは元は京都のお寺にあったものだが、現在は皇室に献上されて三の丸尚蔵館が所蔵している。入口にはルーペが置かれていて織物を拡大して観ることが出来る。オリジナルを観たことがあるが、西陣織で再現された作品も見事としか言いようがない。老松白?図や南天雄鶏図など動植採絵が一堂に再現され、若冲のダイナミックな息吹を感じられる。案内チラシが新聞に折り込まれて偶然知ることが出来てラッキーだった。帰りに目黒駅のアトレ2にてイタリアンでワインとピザで昼食。 |
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サントリー美術館 ミネアポリス美術館展(2021.6.20) 室町から近代へ時代を彩る絵師たち雪村、山雪、若冲、蕭白、北斎、写楽などのミネアポリス美術館所蔵の日本絵画の名品展。海外に流失した狩野派・琳派・奇想派・浮世絵など初の里帰りのものを含む日本美術の名品が集結。日本では国宝級や重要文化財級の作品が目白押しで、迫力に圧倒された。特に伊藤若冲の鶏図屏風は筆のタッチに勢いがあり、さすが若冲と思わせる。これだけの作品が日本で生き残れたかを考えると複雑な気持ちになる。 |
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東京ステーションギャラリー 福富太郎の眼(2021.6.13) 昭和のキャバレー王といわれた福富太郎の日本画コレクション。戦後最高のコレクターとも言われ、鏑木清方をはじめ美人画はもとより、洋画黎明期から第二次世界大戦中に至るまでの魅力的な作品約80点を展示。有名な作家ばかりではなく、自分の眼で選んだ未評価の作家まで実に幅が広いコレクション。福富のコレクションの一部は以前も観たことがあったが、一堂に会するのを観たのは初めて。また福富が品川区の大井出身だと初めて知った。勝海舟や永井荷風が好きで、海舟のお墓がある洗足池の近くに住んでいた。 |
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そごう美術館 篠田桃紅展(2021.5.4) 今年3月に107歳で亡くなった篠田桃紅の画業を辿る展覧会。文字の形にとらわれない水墨抽象画で独自のスタイルを確立した。1956年43歳でニューヨークに渡り、各地で個展を開催し、欧米のアートシーンを牽引した。心に感じたもの、心の形を追求しそれを墨の色や線で表現する方法は他には見られない。 その作品は世界各地の美術館のほか、ホテルや寺社などにも展示されている。ビートルズが来日した際、ヒルトンホテルで篠田の作品を観て感激し、同じ筆を購入したというエピソードがある。2005年には世界で尊敬する日本人100人に選ばれている。 |
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三井記念美術館 小村雪岱スタイル(2021.4.14) 大正から昭和初期に活躍した意匠の天才。装丁、挿絵、舞台装置画、木版画、肉筆画を手がけ江戸の粋から東京モダンと言われる形を作り出した。小説挿絵画家として泉鏡花や永井荷風などの多くの作品を担当し人気を博した。今回は京都にある清水三年坂美術館からの作品が主。影響を受けた現代作家の作品も展示。前日にやっと日時指定予約が取れたが、会場は年配の女性が多く、なかなか正面から鑑賞出来なかった。小学校時代の先生にミュージアムショップで盃を持つ女、おせん雨、青柳のポストカードを購入した。 |
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東京都美術館 吉田 博展(2021.3.18) 没後70年の木版画家 吉田 博の展覧会。明治、大正、昭和に活躍。日本よりも海外での評価が高く、ダイアナ妃もその作品を愛していたという。浮世絵とは一線を画した新しい作風は、今の我々にも新鮮さを感じさせる。劔山の朝など山を題材とした作品がこれほど多いとは思わなかった。瀬戸内海集の帆船や88回擦りを繰り返した亀戸など西洋と写実的な表現と日本の伝統的な技法がみごとに統合されている。黒田清輝との確執は初めて知った。 |
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Bunkamuraミュージアム 写真家ドアノ―展(2021.3.7) シャンソン、オペラなどの音楽が聞こえるフランスの国民的写真家ドアノ―の世界。まさにパリで聴こえる音楽をテーマにした初の試み。昔懐かしい街角の音楽を会場に流れる音楽で、立体的に感じられるドアノ―の世界。1930年代から90年代の作品約200点が展示されている。何故か流しのピエレット・ドリオンのルネッサンス絵画に描かれた聖女のような顔立ちに惹かれる。この女性の動画も流されており、一瞬の表情を捉えた技量がうかがい知れる。ジュリエット・グレコ、マリア・カラス、ピアフ、イブ・モンタンなどの歌手や詩人、文化人なども被写体となっている。パリの音楽博物館で大好評を博した展覧会を日本向けに再構成。 |
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世田谷美術館 魯山人とルソー展(2021.2.24) 美術館所蔵の中から、北大路魯山人の器とアンリ・ルソーなど素朴派の作品を紹介。塩田コレクションとして寄贈された魯山人の作品から日々愛され使われた器約50点を展示。素朴派からはルソーの作品が3点(夕暮れ、ビッシュの肖像、散歩)と素朴派の作品が50点を展示。パリの税官吏だったアンリ・ルソーは素人画家と言われましたが、ピカソなど前衛的な芸術家に注目されました。素朴派の画家たちは独学で表現を探究し、今日を生きるための絵画を描きました。 |
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横浜美術館 トライアローグ展(2021.2.14) 横浜美術館、愛知美術館、富山美術館所蔵の20世紀西洋美術コレクションが集結。トライアローグとは三者による話し合いという意味。ピカソ、ミロ、マグリット、クレー、アンディ・ウォーホルなど約120点が展示されている。横浜美術館は大規模改修工事のため、2年間の長期休館となる。特にマグリットの王様の美術館は前日の新美の巨人で紹介されて事前に知識を得ていたので、何とか判ったような気がした。 |
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宮本三郎記念美術館 描かれた女性たち(2021.2.10) 九品仏周辺を散策している時に偶然前を通りかかり即入館した。 数多くの女性像を描いた宮本三郎のアトリエ跡に世田谷区が建設した美術館。モデル、歌手、女優、バレリーナなど華やかな表舞台で活躍する人たちが描かれている。また、浅草の踊り子たちなど都市文化の担い手たちを舞台裏まで取材し描いている。その中でも特に裸婦像は数多く描かれ美のエネルギーが表現されている。 |
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サントリー美術館 美を結ぶ。ひらく展(2021.2.7) リニューアルオープン記念展V。日本美術を軸に、江戸時代から1900年のパリ万博までの間の美を結ぶ物語、美をひらく物語をサントリー美術館所蔵のコレクションから展示。美の交流を雲だ6つのストリーを展開。1.ヨーロッパも魅了された古伊万里。2.将軍家への献上で研ぎ澄まされた鍋島。3.東アジア文化が溶け込んだ琉球の紅型。4.西洋への憧れが生んだ和ガラス。5.東西文化が結びついた江戸・明治の浮世絵。6.異文化を独自に表現に昇華したガレ |
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そごう美術館 ミレーから印象派への流れ展(2021.1.3) 19世紀のフランスの画家ミレーを中心に同時代から印象派やその後のポスト印象派までの作品の系譜を フランスとイギリスの美術館から出品された珠玉のコレクション。ミレーは落穂ひろいで有名だが、今回の冬、薪集めもなかなかいい。ミレーは日本には明治時代に早くも紹介されていて、現在も人気がある。風景や田園生活を描いたバビルビゾン派が光や色彩を追い求めたモネ、ルノアールなど印象派に引き継がれ、その後のドニやボナールなどは20世紀の絵画を切り開いたといわれている。 |
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