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結婚披露パーティーは・・派手だった。
プーの友達のピックアップトラックの荷台に乗り込み,
着いたのは・・お寺の境内じゃないか!
敷地にステージが作られていて,簡易テーブルにテーブ
ルクロスをかけたものがたくさん,とにかく沢山点在し
ている。
旨そうな料理がのっている。
もうパーティーははじまってるが,いったい何人いるの
か広くて分からんぞ。100人以上はいるのかな。
ステージはどう考えても場違いなことになっていた。
6人のビキニの女の子たちが挑発的に踊ってるー!!
後ろにはロックバンドときたもんだぁ。
両サイドのでかいスピーカーがものすごい音量でロック
を響かす。 寺の境内で?結婚披露パーティーで?
・・・・プー,あの娘達なんだけどー。
「おー,可愛いだろ?パタヤからバンドとセットで呼ん
だんだよ。俺の知ってる娘達だよ。気に入ったならあと
で紹介してやるよ。」
・・・いや,そーいう事じゃなくてー,ムニャムニャ・・
まー,こういうやり方が流行なのかもな。
俺は楽しいからこういうの好き。
テーブルにつくと,またプーに紹介されまくる。
そのテーブルのメンバーはプーの友人4人とタムだった。
「イトウ!元気?」
・・・・もちろん!
タムの服装も特にいつもと変わらない。
少し化粧をしてるくらいである。
笑顔が魅力的だ。
他の4人も周りでもう出来上がってる連中もいつもの格好の
ようだ。なーんだ,こういうものなのか?
しかしプーの格好はぶっちぎりである。
今日は海賊巻きはやめてテンガロンハット,チェックの
登山シャツに紐ネクタイ,皮のベスト!! 分厚いジー
ンズにいつものキャラバンシューズときたもんだ!
暑くない?
一杯目のシンハーですぐにリラックスしきってしまった。
何杯目かのメコンソーダ割りで一気に酔っぱらった。
まー飲め,さー食え状態である。
プーは初めからハイになっていて,あちこちのテーブル
を行ったり来たりしてして騒いでいた。
新郎と新婦が挨拶に来た。新郎は真っ白のスーツ,新婦
はピンクのドレスである。
どう考えても自分たちとは関わりのない日本人が酔っぱ
らっているのを見て,内心どう思っているのかはわから
んが,とりあえず二人と記念撮影をしてしまう。
・・・・プー,トイレはどこだろうな。
「あー,チーの方だろ?隅にいってやっちゃえ,やっち
ゃえ。」
・・・おいおいおいおい,ここはお寺だろ,まずいだろ?
(でも,こいつは本気でいってるな)
ふと周りを見ると,立ち小便をしてるヤツが確かにいた!
なるほどータイ人がやってんならいっかー
ダケド,ヒロウエンデー,ソンデモッテオテラノナカデ
ーヤッテルスガタヲミラレテー,イーノカナー
ヤッテシマエ!
雨が少し降ってきた。
雷がゴロゴロと唸ってる。
パーティーは11時過ぎくらいにステージの終了とともに
終わった。
正確には終わり始めた。
パラパラと席を立つ人達が出始めて,ああ,帰らなけれ
ばならないんだな,
酔った脳味噌が考える。
「イトウ!このまま帰るのはもったいないな。仲間と飯
でも食いに行こうよ。」
俺もプーもあんまり食べてない。飲んでばっかだったの
である。
騒いで踊ったりしてたから腹が空いている。
みんなで町の深夜までやってる屋台に行くことにした。
一緒にピックアップに乗ってきた連中も騒ぎ足りないの
か,みなハイになって歌っている。
遊びの時のタイ人は本当に生き生きしている。横社会の
タイでは友達の無いヤツはかなり生きにくいようだ。
やはり友達を大事にしてるんだわな。
ソバをすすってると急に雨足が強くなってきた。
ドドーン!!バリバリバッシャーン!!
凄い雷の音。
かなり近いんじゃないか?
ドドーっと激しい雨になる。
かじりついていたドンブリを離して近くの軒下に逃げ込
んだ。
雨は通り雨ではなかった。
ハイペースであたりを水浸しにしていく。
「しかたない,帰ろう。」
プーの一言でみんなバラバラと帰り始める。
ピックアップのトラックの荷台に乗り込み,雨風に吹か
れると凄く寒い。
もうみんなやけくそである。 雨は大粒で顔に当たると
痛い。
この夜の雷はこの地域を爆撃してるみたいに鳴り続け,
光り続けた。
全身ずぶぬれでプーの家にたどりつく。
凄いものをみれた・・・
空で雷が何本も何本も,迫力のある光りの筋を作ってい
る。
まるで雷のダンスだ。
恐くてきれいなダンスだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
つづく,です。
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