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もう,あたりはしっかり暗い。
中途半端な雨がしょぼしょぼ降ってきた。
もう宿を決めないと。
「ウィ!!安いホテル? コン・ユィープンなのに貧乏
なんだねぇー誰か知らないかーい?」
でっかい声のおばさんはスタンドに座って興味津々でこ
ちらをみているタイ人達に声をかける。
みんな若者だが,目をきらきらさせてケチな日本人を見
つめる。てれるよ,おい。
「いくらぐらいのホテル?俺,けっこう知ってるよ。」
真っ黒のカオの若い男が声をかけてくれる。
ぶ男だけど目が優しい。
・・・・100ぐらいか,出して200バーツくらいかなぁ
汚くても蚊が入ってこなければ気にしないけど。
トンと名乗ったその男,連れの女性となにやら早口で相
談する。
「オーケー,じゃ後ろに乗りなよ。連れてくから。」
・・・・有り難う!!
こういうときにはとりあえず好意に甘えることにしてい
る。
ためらいもなくトンのバイクの後ろにまたがる。
基地の検問所の手前を左折して,街の外郭の部分に当た
る道をけっこうなスピードでとばす。
(夜なんだからサングラスすることないだろうに・・と
っぽいにいちゃんだ。)
後ろからトンの連れの女性,タムがもう一台のバイクで
ついてくる。
バイクは路地に入り,砂利道になる。
バンガローみたいな建物が連なる敷地に入った。
ちゃんと門があり,敷地の真ん中辺りに大きな玄関のあ
る建物がある。バイクはそこで止まった。
ここだ,と言われて降りて改めて見ると,かなり新しい。
各棟にエアコンの室外機も付いてるし,高そうである。
トンは玄関に入り,早く来い,と言う。
ま,いいか。
鍵をもらい,そこで初めて値段を聞いたら250バーツ。
疲れてるし,まーなんでもいいや。
部屋にはいって気が付いた。
これはラブホテルだ。
日本のそれのように派手ではないが,天井は鏡貼り。
でかいベッド。うーん,面白い!
夜中まで3人でお喋りにならぬようなお喋りをする。
タムはトンのお姉さんだった。
流石に色黒なとこは似てるけど,お姉さんは美人と呼べ
る顔立ちである。
まだ26才と若いのに6才になる娘さんがいるとのこと。
・・・・結婚,早かったんだねー
「そんなことないわよ。 この辺じゃ普通よ。
ほとんど軍の船に乗ってて一緒にいる方が少ないの。
私,日本に行ってみたいなぁ,ここにいるとつまんない
の。あきちゃう。」
話はあっちに飛び,こっちに飛び,こちらはそんなにボ
キャブラリーがない。
いい加減に疲れてきて,正直に眠いのだ,と申し出る。
オーケー,とトンが立ち上がり,
「イトウ,明日ゲートの中に連れていくよ。中にはいっ
てみたいんだろ? 夕方,ゲートの周りをウロウロして
たからすぐわかる。」
・・・・ホントに?有り難う!!
じゃあ,明日の9時ころ迎えに来るから,ということにな
り二人とも帰っていった。
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つづくのじゃ。
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