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「実は、健康診断で、肺ガンの可能性ありということで、精密検査をしていたんです。」
「で、どうだったんですか?」
「異常なし。」
「先生は煙草を吸われるんでしたよね。1日、何本くらい吸われるんですか?」
「22本くらいかなあ。」
「喫煙は肺ガンと関係あると言われていますよねえ。先生、煙草を止められたらいかがですか。スポーツをやられるなら、禁煙すべきではないのですか。」
「そういう君は煙草を吸いますか?」
「はい。」
「君は、”F1”と言う言葉を知っていますか?自動車のレースや格闘技のことではありません。”F”はフィーメルの略で、女性と言うことです。”1”は20代から30台前半と言うことです。テレビCMの効果が一番出る世代のことを広告業界がこう名付けたのです。テレビCMの効果が良く出るということは、言い換えれば、だまされやすいと言うことです。」
「例えば、”ダイエット”がはやっているのも、それで幾つかの業界が儲かるからです。煙草についても、米国では訴訟が相次いで、煙草業界は大きな痛手を受けています。そこで、米煙草業界は東アジアや東南アジア、特に、日本の”F1”をターゲットに本国では禁止されているテレビCMを盛んに流し、その結果、頭の悪い女性が喫煙するようになり、米煙草業界は一息ついているのです。」
「JTの統計では女性の喫煙率は増加していないといっているけれど、そんなことないですよねえ。駅の喫煙所などで観察すると、煙草を吸っているのは若い女性ばかりですよねえ。それに、奈良県の統計では、若い女性の喫煙率が増加しています。」
「それに、男性から見て、”最も嫌われる女性の仕草”の第1位が”喫煙”です。ついでに言っておくと、2番目は”しょっちゅう髪をかき上げる”、3番目は”足を組んでイスに座る”です。」
「体外から入ってくる異物の多くは肝臓で代謝されて、腎臓から排出されます。肝臓には薬物代謝酵素や、抱合といって、グルクロン酸やタウリンを付けて、水に溶けやすく、つまり尿中に排泄しやすくする酵素があります。実は、肝臓の機能には男女差があって、薬物代謝酵素やアルコールを分解する酵素は女性の方が弱いのです。それで、煙草の害は女性の方に強くでます。女性では煙草の中に入っている発ガン物質の解毒が遅いので、長く体内にとどまるため、50,60代で乳ガンになる人が多いそうです。」
「特に女性では喫煙により脳血管性障害のリスクが高くなります。また、煙草を吸うと皮膚の毛細血管が収縮するので、肌荒れの原因になります。煙草を1本吸うと、ビタミンCが25mg破壊されるので、ビタミンCが足りなくなってメラニン代謝がうまくいかず、シミの原因にもなります。」
「煙草からは一酸化炭素も出るので、煙草を吸うと一酸化炭素が赤血球の中のヘモグロビンと強く結合してしまい、常に貧血状態になります。妊娠中に煙草を吸うと、胎児に悪影響をおよぼし、早産、死産や低出生体重児の原因となります。一酸化炭素とニコチンは、特に、胎児に悪影響を及ぼします。授乳中に吸えば、母乳に出てきます。煙草はすぐお止めなさい。」
「それに煙草に含まれているニコチンは、自律神経系を刺激して、臓器の血流を減少させます。胃に働くと胃酸の分泌を促進し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発や発生の原因になります。ニコチンが副腎髄質に作用するとアドレナリンとノルアドレナリンを分泌させます。アドレナリンは心臓と血管に働き、脈拍は増加し、血圧も上がるので心臓に負担をかけます。また、アドレナリンは肝臓に働いて、グリコーゲンの分解を促進させるので、血糖値が上がってしまいます。」
「もちろん、ニコチンは脳にも作用します。脳は複雑なので、脳のどこにどのように作用するか、まだ、わかっていません。作用のわからないものを使うなんて、正気の沙汰ではありません。ちょっと、資料が古いけれど、1990年に死んだ人820,305人のうちで、煙草が原因で死亡した人は91,144人、交通事故で死亡した人が14,631人となっています。これを見ると、いかに煙草が有害かわかるでしょう。是非止めなさい。」
「先生、どうして肺ガンの可能性ありと言うことになったんですか?」
「健康診断では、結核を発見するために、肺のレントゲン写真を撮りますよねえ。その写真に、私の右肺下部に血管の集まっている場所が見つかったからです。」
「先生、なぜ血管が集まっているとガンの可能性があるんですか?」
「それはね、ガン細胞と言うのは盛んに分裂して増殖していくのは知ってますよねえ。」
「ええ」
「増殖するには、沢山栄養が必要です。それで、ガン細胞の固まりがあると、新たに血管を作らせる因子を出して、”血管新生”といって、血管ができてくるんです。」
「”液体サメ軟骨エキス”が効くとも思えないが、ガン”兵糧攻め療法”なんて言うのも、あるくらいです。」
「まあ、ガン治療の本命は近い将来実用化されるはずの”血管新生阻害剤”を使っての治療と言うことになるでしょう。現在、使われているほとんどの抗ガン剤は、細胞分裂を阻害して作用するものです。これは、ガン細胞以外にも、腸の粘膜とか造血系の細胞など、分裂の盛んな細胞の分裂を抑制するので副作用が多いです。ひどい下痢とか、悪性の貧血とか、毛髪が抜けてしまうとか、起こります。それに、多くの抗ガン剤に発ガン性があり、仮に、うまくガンが治っても10年くらいたつと別のガンになってしまうことがあります。」
「あ、ずいぶん話が長くなってしまいましたね。では、練習を始めましょう。」
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