都市住宅設計ナビ
田中設計
昭和49年開設
東京都品川区小山台1-15-4
TEL・FAX 03-3791-0176
設計資料室
東京都渋谷区広尾2-5-15
携帯TEL 090-9974-0176
代表 田 中 邦 男(S20年生)
1974年一級建築士免許取得
東京都防災ボランティア登録
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結露の発生を防ぐ住まい
多湿な室内は、結露を生じ、結露はカビを発生させ、カビはダニの餌になる
高気密・高断熱・低換気の家に全自動エアコンは理想の家なのか?
冬 の 結 露
結露が発生するメカニズム
空気は酸素21%と窒素78%で構成されていますが、その他1%の中に必ず水蒸気を
含んでいます。その水蒸気は、空気の温度によって含まれる量の限界が変わり、
状態が変化します。水蒸気から水へ変わり結露となります。
この限界量を超えた水蒸気は、その場所で最も低い温度のものに結露します。
冬の水蒸気は、いつも室内から外に向かって流れる途中で結露します。
結露は夜中から朝にかけて発生し、原因は断熱不足のための室温低下です。
空気の温度と水蒸気の関係 ( 下記のグラフを参照 )
空気が温度によって含むことのできる水蒸気の限界量
空気の温度  0℃で水蒸気の量は   4.8g/m3 です
空気の温度 10℃で水蒸気の量は   9.4g/m3 です
空気の温度 20℃で水蒸気の量は  17.3g/m3 です
空気の温度 30℃で水蒸気の量は  30.3g/m3 です
低い温度の空気より、高い温度の空気はたくさんの水蒸気を含むことができます。
上のことから、高い温度の空気が低く下がると結露が発生します。
冬の室内には普通 6〜12g/m3 の水蒸気があり、外気は1〜4g/m3 の量です。
高い温度の部屋では、少々の水蒸気が余分に発生しても結露することは少ない。
家の中の室温にバラツキがあると、最も低い温度の部屋に水蒸気が集まり結露します。
おおむね室温が10℃以下になると結露が始まります。
水蒸気の性質
水蒸気は大変粒子が小さいので、目には見えません。調理中の湯気は水滴です。
水蒸気は温度の高い空気から温度の低い空気へ移動し、逆流はしません。
温度の高い室内から温度の低い室内へ、建物内部全体を平均化する働きをします。
水蒸気は空気よりも少し軽いので、室内では上の方にたくさん溜まります。
また、水蒸気は下の水蒸気より上の水蒸気の方が少し温度が高いです。
建築材料は、水蒸気を通すものと通さないもの(透湿抵抗)があります。
水蒸気をよく通すもの   タイベック0.08・フスマ紙0.29・透湿防水シート0.4
漆喰0.48・木毛セメント板0.6・石膏ボード0.63・タタミ0.88
珪酸カルシウム板0.98・軟質繊維板1.3・セルロースファイバー1.34
水蒸気を通さないもの   耳付グラスウール17・合板23・杉芯材28・吹付硬質ウレタンフォーム30
吹付タイル50・ビニールクロス58・コンクリート69.9・プライマー72.5
アスファルトルーフィング137・ポリエチレンシート452・石・ガラス・金属
通さないものとは、水蒸気をせき止める力が強いので、その部分で結露します。
建築材料は、水分を吸収したり、放出したりする材料と、しない材料があります。
呼吸性材料(調湿)        木材・タタミ・コンクリート・レンガ・塗り壁・木毛セメント板・プラスターボード・布・紙
無呼吸性材料(無調湿)     金属・石・ガラス・タイル・プラスチック系材料・ビニールクロス・ペンキ
内装材は結露防止からも調湿性のある建材がおすすめで、調湿性のない建材は結露します。
4人家族の住宅(30坪 240m3)で1日24時間に発生する水蒸気の量
人体から発生する水蒸気の量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4000g
炊事で発生する水蒸気の量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1600g
洗面・トイレ・掃除で発生する水蒸気の量・・・・・・・・・・・・1000g
洗濯・乾燥で発生する水蒸気の量・・・・・・・・・・・・・・・・・900g
入浴で発生する水蒸気の量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1300g
植木鉢で発生する水蒸気の量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・600g
発生する水蒸気の合計量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9400g  1m3当たり 約 39g 
家の中で9.4リットルの水が水蒸気になります。 昔の住宅は寒くて隙間だらけの低気密・低断熱であり、
結露せずにすみましたが、現代住宅は高気密・高断熱で、ライフスタイルにもよりますが、結露だらけです。
冬の水蒸気と結露に真正面から向き合わざるをえない状況です。
沸騰している鍋やヤカンから発生する水蒸気は、小さいもので 500g/h 大きいもので 1500g/h 位です。
人体から発生する水蒸気は起きて活動している時は、100g/h前後  寝ている時は、50g/h 位です。
寝てる間に約 350cc 缶ビール1本分の水が水蒸気になって、寝室(6帖 24m3)の中に拡散します。
暖房を止めた寝室では、明け方に室温が10℃以下に低下すると結露します。
見える結露(表面結露)と見えない結露(内部結露)
現象面から結露を見ると、表面結露は住宅内の床・壁・天井 等の表面温度が、露点温度(冬で約10℃以下)
より低くなっている場合に発生する結露です。 内部結露は、建物を構成している材料の中で発生している結露
です。通常の生活をしていても気がつかない、壁の中や天井裏の小屋や1階の床下に発生します。特に北側の
外壁の中で柱の下部部分や土台に結露する場合はやがてカビが生えぶすぶすになり腐ります。
日本人の暖房方法 ( 下記のグラフを参照 )
暖房のしかたは必要な部屋だけ暖めて、人のいない部屋は温めない。また、夜寝る時には、暖房を停止する。
この暖房方法は長い間の生活習慣ですが、このことが結露の原因になります。
このことを含めた住宅の断熱設計が必要です。
冬の結露の発生を防ぐには
住まい方の工夫ですが、晴天の日は窓を開け、室内空気の入れ換えを冬でもする。特に、就寝前に、
家の中の一番寒い部屋の窓を全開にして1分間、水蒸気を外部に放出すると、結露の量は減ります。
室内で水蒸気を出来るだけ発生させない
ガスや石油の開放型ストーブはやめ、FF式・電気ストーブやエアコンに換える。
開放型のガス湯沸かし器はやめ、屋外型ガス湯沸かし器 または 電気温水器に換える。
ガスコンロをIHヒーターに、ガスレンジは電子レンジに、ガス釜を電気釜に換える。
室内で発生した水蒸気をすぐに外部へ排出し、それも出来るだけ発生源の近くで行う。
換気扇は熱交換型換気扇を使い、室温の低下を防ぐ。
夜間、暖房を止めずに12℃〜13℃に温度設定し、室温を10℃以下にしない。
暖かい家が結露を防ぐ
オープンな間取りで家全体をワンルーム化し、部屋どうしの温度差を小さくし、最低温度を上げる。
冬季の明け方で、家の中の一番寒い部屋で、室温を10℃以下にさせないことが重要です。
そのために、開口部を含めた家全体の断熱設計をする。
セントラルエアコン方式とし家全体に空気が回るようにする。
下記は1992年に建てた住宅の冬季の熱損失を表しています。
冬の窓からの熱の損失は全体の約5割ですので、開口部対策(ペアガラス等)が第一です。
夏 の 結 露
日本の結露はほとんど冬に発生しますが、夏の水蒸気をたっぷり含んだ空気は、梅雨時15℃前後、
盛夏で20℃前後が露点温度となり結露します。よく見る現象はトイレのロータンクや金属パイプに結露しています。